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革新的なソフトシンセ・エフェクトのコントロール環境を生み出せることで話題を呼んだNative Instruments KOREに、Native Instruments社が誇る主要サウンドエンジンの入った音源が搭載されたKORE2。コントローラーとしての機能もKORE1よりまた一歩進んだ、柔軟な操作ができるようになっています。今回は、おなじみDirigentの小泉 雄嗣さんをお迎えして、柔かなアットホームな雰囲気の中、KORE2の魅力をたっぶりと解説していただきました。そんなセミナーの様子を、ロックオンスタッフ高橋がお送りします。
シンセエンジンを積んだKORE2
各社バラバラのプラグイン操作画面をKOREコントロール画面に自分の好みの配置に統合でき、すべてのプリセットをカテゴリ分け・検索のできるプリセット管理と、8つのツマミ・8つのボタンによる高解像度のハードウェアコントローラーの機能が主だったKOREの機能にプラスして、KORE2は音源へと進化。サウンドエンジンとして、Reaktor、Massive、Absynth、FM8、Kontakt、FM8、エフェクトエンジンとして、 Guitar Rig、Reaktor。これらのサウンドエンジンを駆使した440のサウンドがプリセットされています。小泉さんが見せてくれている画面の中には、「Reaktor+FM8」で作られている音色なども垣間見え、KORE2プラットフォームならではのプリセットも新たに収録されています。
全てのプラグインプリセットを見渡せるブラウザ
プラグインを複数インストールしている場合でも、サウンドリストは一元管理されています。どのソフトシンセを立ち上げるかは、気にする必要がなく、カテゴリーごとに分類できるので、スピーディーにイメージする音を探し当てることができるのは嬉しいです。さらに、プリセットを試聴するモードも用意されているので、試聴アイコンを押してモードに入っておけば、ロード時間をかかけずに次々とプリセットを試していけます。プラグイン立ち上げ→プリセットダブルクリックという行程に比べると、かなりのサクサク具合をを感じました。
ソフトウェアと完全に連動するハードウェア
音色名のリストはハードウェアにも表示されるので、手をマウスやキーボードに持ち替える必要がない上、PCのディスプレイすら見ることなく音色選びができ、使用感はハードウェアシンセさながら。先ほどのプリセット試聴のボタンも付いているので、MIDI鍵盤を弾きながらざっとサウンドを確認しながら、PCに戻らずにワンタッチで確定できます。これは使ってみると、これまでにない快適さを体感いただけると思います。さらにメニューなどの深い階層へもアクセス可能で、とても便利なんですが、せっかくのスタート、ストップボタンが、後述するKOREに搭載されたMIDIプレイヤー、または立ち上がっているプラグインの制御しか行えないので、個人的にはKOREをプラグインとして使用している時は、ホストシーケンサーを制御できるようになると嬉しいところです。
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KORE2 demo1:KORE2ソフトと連動するKORE2ハードウェアコントローラー
パラメータの状態をモーフィングできるシーンメモリー
KOREのコントロールツマミにアサインされているパラメーターの状態を、A〜Hまで8つのシーンメモリーとして登録できるサウンドバリエーション機能。隣接するシーンではモーフィングによって、なめらかにパラメーターを変化させることができます。Kontaktエンジンで、ギターの奏法が変化するパッチや、縦横無尽に音色が変化するステップパッドが披露されました。直感的に音色の抑揚を付けられるので、重宝しそうな機能です。もちろんシンセだけでなく、エフェクターのパラメーターも同様にコントロール可能です。
アルペジエーター、MIDIプレイヤーで簡単なシーケンスも組める
MIDIによるプロブラミングも可能で、ステップシーケンサーでは、KORE2エディタ上に表示されたピアノロール画面に、ノートを入力して、様々なループ範囲をA〜Hのシーンに記憶し、グリグリ切り替えてまったく新しいパターンを作り出していました。アルペジエイターはパターン変化、スケール、ルートなど細かな設定が可能です。さらに、任意のMIDIファイルを読む込めるMIDIファイルプレイヤーも搭載されており、こちらはA〜Hのシーンで再生するMIDIを変化させることができ、ドラムキットを様々なMIDIでトリガーすることで、フィルなどを自在に操っていました。
ソフトシンセ同士をレイヤーして独自のサウンドを構築
これはKORE1の時に衝撃だった機能ですが、複数のシンセをレイヤーしたり、スプリットして、パラメーターも同時にコントロールできます。パラメーターの動き方もカスタマイズ自在で、1つのKOREのつまみで3つのつまみを同時に動かしたり、カットオフが下がってレゾナンスがあがるなどなど。自分の使用しているシンセの特性を生かした組み合わせのアサインをすることで、おいしい音色変化をプログラミングすることができので、個性的な音色を求めている方には重要な機能といえるでしょう。もちろん他社製同士のシンセを組み合わせたり、オートメーションとして動きをシーケンサーに書き込むことも可能です。
他社製ソフトシンセのプリセットも自動で吸い出し
KORE2では他社製プラグインの自動プリセット吸い出し機能が搭載されました。吸い出した後は、自分の好みにカテゴリ名をアサインすることができます。(一部のVSTに準拠していない、深い階層のバンクなどは、1つづつしかインポートできません)セミナーではKORGのPoly6プリセットの吸い出しが行われましたが、数秒で完了していました!
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KORE2 demo2:他社製ソフトシンセプリセットを自動で吸い出し
KORE2を架け橋にしたシーケンサー間の移動
シーケンサー間の移動も、KORE2をプラットフォームにしていればスムーズです。デモではLogicにAUとして立ち上げたKORE2上に、VSTのMASSIVE、FM8、BATTERYを展開したものを、別のMacに移動し、今度はProToolsにRTASとして立ち上げたKORE2に、VSTとしてLogic上と同様のプラグインセットを立ち上げていました。これはCubaseや、ableton Liveなどの間の移動でも、同じことが可能となるでしょう。
KOREのために設計されたシンセ -KORE Sound Pack
KORE2のために生まれたKORE Sound Packの威力を披露。KORE2でコントロールすることを前提に作るられているため、KONTAKT SAX & BRASSでは先ほどのA〜Hに割り当てられたサウンドバリエーションを操作するだけで、表情豊かなビッグバンドの演奏が鳴っていました。KORE Sound PackのKONTAKT SAX & BRASSは、収録されている音色もこのパッケージのために新録されたものなので、前作をお持ちの方も、聴き比べされてみてはいかがでしょうか。
KORE2のコントロール機能によって広がりそうな制作、パフォーマンスの可能性
最後のシメはKORE Sound Packから、Massive Exp.Vol.1。こちらもKOREのサウンドバリエーションをフルに生かした設計となっており、グリグリとシーンをモーフィングするだけでテクノ系トラックのような徐々に展開していくサウンドスケープが披露されました。「シーケンスを組むのとはまた違った制作方法の楽しみを提供してくれる」との小泉さんの言葉通り、KORE2ハードウェアのコントロール機能を演奏の手段としてとらえ、先にも挙げた音色変化の仕掛けをカスタマイズしていくことで、より幅広い表現を創作していくことが可能でしょう。
今後も増え続けていくプラグインを、今からKORE2で集中管理できるフォーマットを自分なりのカテゴリを作りながら構築して、増え続ける音色の資産運用をしていきたいものです。制作曲の保存も、KORE2のプラットフォームで作っていれば、カズタマイズしたシンセ音色やエフェクト設定を一元管理できるので、それぞれのプラグインの保存ファイルが散らばって、曲が再現できなくなったというトラブルも防げそうです。さらに、常にエディット済みの音色がKORE2上にあるので、あの曲で使った音色をこの曲でも使いたいという時、音色資産を即座に呼び出して活用すことも簡単に実現するでしょう。 ROCK ON PRO デモスタジオに足を運んでくださった方々とDirigentの小泉 雄嗣さんに、感謝申し上げます。ありがとうございました!
記事内に掲載されている価格は 2008年5月21日 時点での価格となります。
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