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ファンキー松本:2022年は既存製品のアップデートが目立った中で、Blackmagic Cloud Storeは完全に新しいサービスというインパクトが大きかったです。DaVinci Resolve 18のiPad版もBlackmagic Cloud Storeに対応しています。クラウドで共有作業をすればパソコンのDavinchでもiPadのDavinchでも、共同作業ができるようになりました。リモートで映像製作をするというコンセプトがあると思いますので、クラウドを活用したリモート製作が2023年以降もトレンドになりそうですね。
パパ洋介:次世代映像伝送プロトコルSRTも盛り上がってきたけど、クラウドは使ってみると非常に便利なので、今後一気に浸透するという感覚があります。
DaVinci Resolveの編集内容を複数のユーザー間で共有・同期を目的として発表された機材・サービスとなります。リモートワークにより編集部屋に集まることができない、また海外のエディター・カラーリストと編集を共有する場合、クラウド接続により作業をほぼリアルタイム共有することが可能に。
また本機自体もRAID5にて構築された非常に高速なSSDを内蔵しており、複数のユーザーが同時にアクセスしてもストレスなく同期が可能になります。ストレージ容量によりモデルを選択しましょう。
スティービー竹本:Ozone 10 は得票数やユーザー評価でも、人気はダントツでした。Ozone 10 Advancedでは従来のような固定ターゲットへのEQマッチングでなく、楽曲の時間変化に対応できるStabilizer Moduleが搭載された点も大きかったと思います。
かつてないほど迅速で柔軟に、プロフェッショナルなマスターを完成させることが可能になったOzone 10。更に進化したマスターアシスタントがヒット曲や参考曲を解析して、自分の曲でそのサウンドを再現してくれます。全てのクリエイターにお勧めしたい最新最強のマスタリングスイートです。
パパ洋介:MIL STUDIO では、43.2チャンネルのサラウンドシステムに一番活用しているのがSony 360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)フォーマットになっています。3Dの上方空間ソースが入っているのはDolby Atmosなどありますけど、下方空間ソースが入っているのは360 RAやアンビソニックス。その中でも商業ベースでローンチしているSony 360 RAはMIL STUDIOでもかなり活用しているんです。360 Walkmix Creatorという名前で2022年発売開始になりましたが、このソフトはバージョンを重ねるにつれてどんどん良くなっていまして、しっかりとこのソフト単品で、ファイナルの納品データが作れる所まで完成しています。プラグインとして簡単に使えるのもポイントで、ホストのDAWはほぼ全てに対応していると思いますので、ぜひこのソフトを触ってもらいたいなと思います。
360 Reality Audio の制作に欠かせないツールであるのはもちろん、高性能なバイノーラルエンコーダーとしても活用できます。全天球上にカラフルなオブジェクト(音の要素)を配置していくことで、視覚的にも分かりやすくイマーシブミックスを行うことができます。新たな音楽体験を、あなたの想像力から!
スティービー竹本:UJAMのVirtual Pianistは、フレーズのMIDIドラッグだけでなく、自分で音域やキーを指定したりModホイールでピアノの手数やフレーズが変えられるという発展性もあり、記録的なセールスとなりました。シンプルに伴奏を任せたい人にも、ピアニストとして活躍してほしい方にも、ピアノを演奏できない全ての人にとっては救世主のような製品になったのではないでしょうか。
SCFED伊部:UJAMは製品リリースの勢いが2022年も凄くて、14製品リリースという圧倒的な数でした。
恒吉:1年間にこれだけたくさんのソフトをリリースしているメーカーは他に無いですが、UJAM製品のリリースが早い理由は何でしょうかね?
スティービー竹本:Goliraエンジンというフォーマットを利用することで、素早く新製品を開発出来る点は強みになっていると思います。
ACID渋谷:Native Instruments KOMPLETE 14もパワフルでした。最近のNIのKONTAKT系音源はPlayシリーズを筆頭に”イケてる”んですよね。オールドスクールを今の感覚で再解釈したようなEMPIRE BREAKSや、イカツイ雰囲気とメロウなコード感でワルさ満点のGLAZEなど、ユーザーインターフェース含めて音の世界観ごと表現したようなものになっています。そしてKONTAKTが7にメジャーアップデートしてブラウジングがKomplete Kontrolっぽくビジュアライズされ、それらのユニークな音源を目と耳で選べるので、音選びの時点でもうワクワクしてきます。またiZotopeやPlugin AllianceなどがKOMPLETE14に入り、今まで以上にミックスやマスタリングでも活躍できる総合力が高まりました。Soundwideとしてこれからさらにバラエティ豊かなラインナップになって行くことを期待しています。
UJAM Usynthはシンセの詳しい知識がなくても、シンプルなインターフェースで立ち上げた瞬間から誰でもクリエイティブになれる、UJAMらしいコンセプトに溢れた新しいシンセサイザーです。80年代シンセウェーブ、豊かなパッド、EDM系サウンドからオールラウンドな万能シンセまで、多彩なラインナップを誇ります。
ACID渋谷:セールス面ではではELEKTRON SyntaktとRolandのT-8がずば抜けていました。在庫が安定していればもっともっと売れたでしょう。
SyntaktはDigitaktやDigitoneなど正方形Digiシリーズの3機種目で、デジタルのドラムとアナログのオシレータ、そして12トラックシーケンサーが搭載された、いいとこ取りのマシンです。ELEKTRONの製品群にまだこんなセグメントが残っていたのかと目から鱗でした。
そしてT-8はAIRAシリーズのTR-8の更に小さい版で、TR-808とTB-303とエフェクトが合体。これ1台でアシッドハウスができてしまう面白い機種でした。オリジナルだけでなく海外のインスパイア系マシンについても良く研究されている感じで、すごく使いやすい仕様になっていました。音もACBモデリングなので間違いない音で、まさに小さな巨人と呼びたくなる逸品。
そして同じく人気があったのが、UDO AudioのSuper6 Blue。
発表自体は2019か2020年にされていて、今年国内代理店が決まりました。Roland JUNO風のルックスながら、中身は全くの別物でFPGAをベースにしたサウンドエンジンにアナログフィルターを搭載したハイブリッドタイプ。出音が抜群に良く、密度感、張り、ツヤが突出していると感じました。個人的な表現ですがとっても涼しい音がします。トラックメイカーから劇伴作家まで愛用しているプロユーザーが多いのも納得のモデルです。
Syntaktはアナログのパンチとデジタルの柔軟性を併せ持つマシン。Syntaktでトラックのスケッチを作ったら、オーディオ転送機能OverbridgeでマルチトラックでDAWへサウンドの流し込みも可能。逆にプラグイン音源からの実機差し替えも思いのまま!迫力のアナログサウンドでいざトラックメイク!
マエストロ佐々木:得票数1位のDreamtonics Syntehsizer Vが凄くて、人間の歌と間違えるんじゃないかというレベルに進化しています。バージョン2でいきなりここまで来たかという驚きが大きかった製品です。得票数では、Pro Sound Effects Core 4も得票数が多かったですね。
スティービー竹本:秋にPSE Coreがバージョン4になって、2022年にも更に多くのゲーム会社が導入しています。以前に追加されたカートゥーン系の”Anime”ライブラリなどはリアル志向のPSEにはないライブラリでした。
RED先生:Avid Pro Toolsがビデオ上にタイムコードを乗せられるようになったというのが、MA業界では大きかったように感じます。今までタイムコードを持っている動画をインポートしてもタイムコードが無視される形でしたが、ようやく表示可能になったのが大きなトピックでした。
パパ洋介:それとAUX I/Oですね、これは他のDAWで出来ていなかった事をPro Toolsが実現した久々の快挙だったと思います。スタジオ作業でリモート会議ソフトを同時に使用できるようになったので、これはスタジオで非常に重宝されていますね。
RED先生:アプリケーション間の内部バスに相当するブリッジを経由して、他のDAWから音を受けられるようになったのが画期的でした。
Synthesizer V Studio Proは直感的な操作と自動ピッチ調整を駆使することでとても人間的なリアルな歌声を作ることができるツールです。
仮歌だけではなく本歌にも十分使えるクオリティなので、自分自身では歌を歌わないけれども歌もの楽曲を作りたい方にもおすすめです。
PD安田:BIGSIXの新しい機能は、各チャンネルにUSB入力ボタンがあって、DAWの再生トラックを立ち上げてミックスする事ができます。通常のアナログミキサーとして使えるほか、DAWトラックをBIGSIXに立ち上げてアナログミックスできるのが特徴でした。同社のアナログミキサーSiXから乗り換えるというユーザーも結構いらっしゃいましたよ。
マエストロ佐々木:オーディオインターフェース機能が付いたというのも大きかったですね。これまで8チャンネルのオーディオインターフェースとミキサーを使用していた方が、BIGSIXに乗り換えるというケースも多く見られました。ミキサーに搭載されているオーディオインターフェース機能にこれまで満足できなかったけれど、SSLクオリティであれば信頼できるという声もありました。
イタリー多田:Avid MBOX Studio はとてもミュージシャンライクなコンセプトが面白かったです。これまでPro Toolsユーザーでないと使えなかったCarbonに搭載されているプリアンプが採用されているのも魅力ですし、Bluetoothが付いていたりと、特にWindowsユーザーには訴求力の高い製品だと思います。入力インピーダンスが複数から選べるというギターリスト向けの機能も魅力ですよね。
COOPER天野:オーディオインターフェイスという点ではAMS NEVEのNEVE 88Mも注目されました。NEVEコンソール88RLBは1チャンネルあたり約12万円するので、それと全く同一のプリアンプを2基搭載したNEVE 88Mは大変お得なんです。とてもどっしりしたサウンドが好評ですよ。そしてSym⋅Proceed SP-DI500は全帯域のトランジェントが秀逸で、これまで何気なくオーディオインターフェイスにギターやベースを直挿ししていた方などには、目から鱗が出るくらいのサウンドクオリティだと思いました。超ワイドレンジで、まさに自分がギターになった感覚です(笑)
伝統あるSSLのサウンド品質は当然ながら、現代の制作環境で必要とされる機能を新たに盛り込み、クリエイターの制作環境を一段上へ向上させる。プラグインと連携したフィジカルハードウェアデバイスから、SSLクオリティーのアナログサウンドによるミキシングまで導入することで満足度間違いなし。洗練された筐体デザインもデスクトップ環境で映えます。
COOPER天野:2022年の新製品は円安の影響で値上げ傾向でしたが、それでもコストパフォーマンスはどんどん良くなっていて、価格に対して手に入る性能が高くなった1年という印象があります。Austrian AudioのOC707はハンドヘルドでありながらスタジオクオリティを実現していて、店頭試聴で気に入ってご購入頂いたケースが多かったです。ADAMの新しいAシリーズもかなり注目されました。
恒吉:店頭試聴で印象に残ったスピーカーやマイクブランドはありますか?
COOPER天野:スピーカーはFocal、ADAM、Genelecのほか、最近はNeumann KH 80の試聴をご希望される方が増えていますね。イマーシブ系ですとGenelecが根強い人気です。
マエストロ佐々木:マイクはaudio-technicaのマイクが例年に比べて好セールスだったのと、LEWITT LCT 1040のインパクトが大きかったですね。各社がビンテージマイクを意識している中で、FETとTUBEサウンドをブレンドできる、見た目も中身もハイテク感のあるマイクというのが最近では珍しくて、試聴した方からの評価が非常に高かったマイクです。
COOPER天野:ヘッドホンではOLLOのS5Xがメチャメチャ音が良かったです!ピントがボヤけず周波数特性がとてもフラットで、バイノーラルでイマーシブオーディオを楽しむのにも大変お勧めのモデルです。
長時間の装着を想定し、音疲れや耳の軟骨にも負担をかけない耳に優しいヘッドフォンです。それでいて音の傾向は低域よりでも高域よりでもない、フラットなサウンドなので、クールな見た目とは裏腹に即実戦投入できる実力派です。
恒吉:AdPower Sonicを使用した印象はどうでしたか?皆さんの感想をぜひ聞きたいです。
マエストロ佐々木:帯電を除去して空気の流れを良くするという、自動車の世界では元々知らていたテクノロジーですが、スピーカーに貼ると音の幕が取れて、部屋の隅々にまで音が行き渡っている感覚になりました。空気の一番動く所に貼るのが効果的なので、スピーカーのバスレフポートに貼るのが理想的で、密閉型でも本体に貼ると効果があります。スピーカー以外の機材でも、静電気を除去するという意味で効果があるらしいです。
イタリー多田:ただのシールに見えますが、ちゃんと音が変わりますよ(笑)!AdPower Sonicのように機材に貼る製品ではOYAIDE NRF-005T もありますが、こちらはノイズを抑制することを目的にしています。オーディオプラグや電源プラグに巻くとRF帯の高周波ノイズが抑制されて効果的です。ピュアオーディオユーザーにも大好評らしいですよ。
また、かゆい所に手の届いた製品という意味では、Thunderboltポートの少ないMacユーザーにOWC Thunderbolt Dockが大好評でした。特にM1 Macになってから急激にセールスを伸ばしました。
パパ洋介:Sonarworks SoundID Referenceがマルチチャンネル・スピーカーに対応したので、イマーシブ環境ではこれまで人気だったGenelecスピーカーだけでなく、各社スピーカーを導入しやすくなりました。イマーシブ環境のマルチチャンネルをキャリブレーションできるという機能が大きなポイントですね。Sonarworksは複数のポイントで計測してリスニングエリアを広くする工夫があったり、ヘッドホンの補正もあるので、ヘッドホンとスピーカーで聞いた時の差異を無くすという事をマルチチャンネルでも実現しようとした発想も素晴らしいです。バイノーラルとリアルスピーカーの差異を無くす発想を持って補正をしている。補正比率も調整できるので、スピーカーそのものの音色を残す事もできるのも秀逸ですね。
2022年5月のアップデートで待望のマルチチャンネル対応を果たし、最大9.1.4のDolby Atmos対応はもちろん、サブウーファーを絡めた2.1chのキャリブレーションも可能になりました。
測定データは再生デバイスに適用するだけでなく、AVID MTRX with SPQやDolby Atmos Renderer Mastering suiteへプロファイルを適用する事も可能に。
チャンネルが増えるほど人力では難しくなるEQ、ディレイはSonarworksにおまかせ!
ファンキー松本:2022年はCerevoのLiveShell Wや、RolandからはSR-20HD、VRC-01 AeroCaster、UVC-02の3製品がノミネートされ、ライブ配信機材が続々と登場して配信市場の盛り上がりを実感できる年でした。
映像業界では、過大入力を気にせずに収録できる32bitフロート録音に対応した、8チャンネル入力の業務用フィールドレコーダー ZOOM F8n Proの導入が進んでいます。
2022年1月に急遽発表された3機種。中でもVRC-01 AeroCasterは複数のスマートフォンのカメラをWEBカメラとして利用することができ、簡単にマルチカメラでライブ配信が可能になります。
UVC-02 WEB PRESENTATION DOCKはHDMI・XLR入力が共に1系統内蔵されたシンプルな構成。オンライン会議やカメラ一台でウェビナーを行う際、効果を発揮します。カメラが足りない…そんな時はAeroCaster Switcherを利用しスマートフォンのカメラを最大4台追加することも可能です。
パパ洋介:これまで紹介してきたプロダクツが順調に進化した1年でした。超弩級リバーブのInspired Acoustics INSPIRATAは音像の位置や聞いている位置を、かなりの幅をもってエディットできるので非常に面白いIRリバーブだと思いました。22.2チャンネルへの対応にも期待が持てます。
NuGen Audio Halo Visionはマルチチャンネルの各チャンネル間の位相を可視化してくれるので、例えば今まで気づけなかった後方スピーカーの位相干渉が分かるようになる優秀なアナライザーです。
Sound Particles Space Controller StudioはiPhoneのジャイロセンサーを使って3Dパンニングをしてしまおうという製品で、3Dパンニングへの面白い回答だったと思います。使ってみてハマる人にはハマる、ジョイスティックよりもiPhoneを3Dパンナーに使用しているエンジニアもいます。
イマーシブオーディオ制作に重要な音響空間を構築するするサンプルリバーブの進化版!とにかく収録されたライブラリーがすごい。歴史的な空間の原音、中世の大聖堂の豊かな残響環境から伝説的なミュージッククラブまで実在する空間のサウンドが収録。衝撃的にリアルなリバーブでイマーシブミックスを始めよう!
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