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みなさんこんにちは、PD安田です。自宅イマーシブオーディオ導入計画「今シブ」ではこれまでスタンド、スピーカーのセットをご紹介してまいりました。
今回はシステムの肝心要のオーディオ・インターフェース編として、サラウンド対応のオーディオ・インターフェースをピックアップし、簡単ではありますがそれぞれどんな設定ができるかも含めて機能の紹介をしていきます!
まずイマーシブオーディオの制作を行うにあたりオーディオ・インターフェースに重要なのは、もちろんチャンネル数です!当然ながらこれまでご紹介してきたDolby Atmosの基本構成である7.1.4chを組むためには12ch以上のチャンネルが必要になります。とは言えなかなかアナログだけで12chというのは選択肢が少なく、だいたい16chや8ch + ADAT端子と言った形で、選びたいモデルによって工夫が必要になってきます。
もちろん最初から32ch搭載のモデルもありますので、ご予算と合わせて参考にしつつ、ご自身のシステムも見直し&ご検討いただければ幸いです!というわけで今シブ:オーディオ・インターフェース編、レッツゴー☆
スタジオ導入にておすすめシステム Pro Tools | MTRX Studioシステム
さて、いきなりにAvid Pro Tools HDシステムの導入かい!と思われた方も多いのではないかと思いますが、Avid Pro Tools | MTRX StudioはDolby Atmos対応として非常に理想的な機能が備わっております。上位機種のPro Tools | MTRXに比べて、Pro Tools | MTRX Studioはチャンネルの追加拡張はありませんが、元々アナログ16In/16Outと入出力は必要充分にありますので、これでアナログのチャンネル数としてはクリアしております。
なおDANTE用のLAN端子やADAT端子もありますので、もしイマーシブオーディオ以外のハードウェアインサートや、VUメーターに繋ぎたい場合でも、その際には別途DAコンバーターが必要になりますが、Pro Tools | MTRX Studioでもチャンネルを確保することが可能です。なおMTRXシステムを組む場合は、HD Native or HDXのシステムと、Pro Tools Ultimate(Flex)以上のライセンス(ちなみにライセンスも上位版が必須)にPro Tools | MTRX Studioが最低限の組み合わせになります。(ちなみにHDシステムを持っていなくてもDanteで接続する方法もありますが、録りの際にレイテンシーが気になりますので、HDがあるとベストです。)
HDXシステム新規導入ならバンドルがお得
バラバラで揃える場合
ソフトウェアをサブスクリプションにする場合
では続いて、このPro Tools | MTRX StudioとDADman CONTROL SOFTWAR(以下DADman)ができることを見ていきましょう!
まずDADmanでは、なんと自分のモニターシステムをアプリ内で設定することができ、多チャンネルのボリューム管理だけでなく、各モニタースピーカーへのディレイ設定、さらにはEQ補正もマニュアルで設定可能です。
このMonitor Profileでは、インプットソース(この場合は、Apple Musicでの出力に応じてインプットソースはDigilink 3-14と設定、
アウトプットソースは各スピーカーへの出力の3-14chとアサインをしております。この機能を有効にすることで、Pro Tools | MTRX Studio 本体のつまみで、全体のスピーカーレベルを調整でき、さらにボタン一つで7.1.4ch、2.1などと必要に応じて切り替えも可能にします。
そしてこれらのルーティングが完了した後に、Monitor Profileにてスピーカーのディレイ設定と、EQ補正も可能にします。なので、実はPro Tools | MTRX Studio然りHDシステムがあれば一気に今シブ環境として完成となります!簡単!
コンパクトだけど機能性上位!Antelope Audio Galaxy 32 Synergy Core
続いて、1Uながらも32chもの入出力を備えた強力なインターフェースAntelope Audio Galaxy 32 Synergy Coreの紹介になります!元々は多チャンネルのGOLIATHシリーズから進化して、今年新しくGalaxy 32 Synergy Coreが登場してきましたが、これ一台でTB接続、HDX接続、そしてDanteやMADI端子、ADAT端子も常備しており、イマーシブオーディオの出力だけに限らず、外現場のデジタル端子にもフレキシブルに対応できるのが非常に魅力的です。(しかもそれでも1Uで収まってしまっている…!!)もちろんこれらの端子はすべてAntelope Control Panelを使って好きなルーティングでパッチングも可能です。さらに違う種類の端子をスプリットして入力や、出力も同じソースを別の端子でミラーリングして出すことも可能で、さらにはMac/PCでコントロールをしつつ、本体はAD/DAとしての役割を担わせる事も可能です。もはやイマーシブオーディオの環境構築に限らず、アウトボードのインサートや、別部屋との連携などなど様々な用途で活躍間違いなしのモンスターマシンです。
そして肝心のイマーシブオーディオ対応になったコントロール部分ですが、画像のように、必要なモニタースピーカーのゲイン調整、ディレイ設定、そしてEQ設定があり、クロスオーバーフィルターもありとかなり細かく追い込みもできるので、フレキシブルにイマーシブオーディオ制作環境に適用する素晴らしいオーディオ・インターフェースではないかなと感じました。当然ながら本体のパネル上のつまみで全体のモニターレベルも調整可能です。既存のHDユーザーはオーディオ・インターフェースの候補して、またPro Tools UltimateやSteinberg Nuendo、Apple Logic ProなどをNativeで使用することも可能です。非常にパワフルですね!
充実のサウンドに定評のあるAPOGEE Symphony I/O
ApogeeのハイエンドモデルSymphony I/Oもアップデートによりサラウンドモニターが対応となりました。Symphony I/Oは背面に2スロットの空きがあり、オプションとしてアナログやデジタルのカードを追加することが可能です(最初から搭載されているモデルをお求めいただいた方がお値段はお得です)。なおもしご検討される際は、アナログ16In/Outのモデルを選ぶとベターでしょう!そしてApogeeの接続方法にはThunderBolt、HD、Waves Sound Gridのモデルとあり、HDシステムをお持ちの方でも選択できるオーディオ・インターフェースです。なおThunderBoltとHDを一緒に搭載することも可能ですが、本体のファーム切り替えが必要になっておりますので、現在のお使いシステムに合わせてご選択いただければと思います。
ThunderBoltなら
PTHDなら
そして、Symphony I/Oもサラウンドに対応しているので下記のようなコントロールアプリによって、マスターボリューム(本体のメインボリューム)で複数のモニタースピーカーをまとめてコントロールすることが可能です。さらには7.1.4chの場合とStereoの場合とでプリセットを組んで切り替えることができるので、Mixに合わせたモニターコントロールが行えるようになっております。プリセット以外には、各スピーカーへのトリムレベルも設定が可能。ただし!ディレイ設定がないので、ソフトウェアなどで距離を算出してディレイを設定する場合は、Dolby Atmos Rendererのソフトにて調整する必要があります。
これまでのオーディオ・インターフェースの中では複雑なルーティングを組むと言うよりは、良い意味でシンプルにサラウンドのシステムが組める感じかなと思います。
フレキシブルに多方面への接続が可能なFocusrite RED 16Line + R1
FocusriteのRED 16はアナログ16In/Outに加えてThunderBolt接続、Danteの接続、HDXとの接続を可能にし、ADAT、SPDIFの端子が付いておりこれまた多方面で運用できるモデルです。なおこのRED 16Lineの場合は、別途Focusrite R1というリモートコントローラーが必要になります。このR1があることによって、12chのアウトプットをグループ化することができ、さらにはコントロールアプリでルーティングなどの設定が可能です。
まずRedNet ControlにてRED 16Line とR1の接続を行います。この時、MacからTBで行う際でも、LANで接続する必要がありMac→Red 16Line→R1という接続になってきます。こうしないとコントロールアプリ上に認識されずコントロールができない仕様です。(認識すると画像のように設定が行えます)
最初にR1のプリセットを作ります(ここでは7.1.4を選択)
ちょっと面倒ですが、ソースとアウトプットの設定を行うと、Red16本体の方で「Used by RedNet R1」と出てきて、これで設定が完了です。
リモートコントロールR1の方でボリュームコントロール以外にもSOLOボタンがあり、特定のモニターだけ聞くなどもできるので、これもまた便利な機能かと思います!ただ、特別EQやディレイの設定はないので、Dolby Atmos Renderer側での調整が必要になります。
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複数のモニターを設置するにあたりやはり重要なのは、各々のモニターの距離が等間隔に設置されているところになります。しかし実際に部屋に設置するとなると、正面のLCRと天井のトップのモニターを同じ距離で設置することが難しいかと思います。そこで、遠いモニターの距離を基準とし、近い方のモニターにディレイを入れることによって仮想的に距離を揃えることが必要となりますが、インターフェースの機能によっては、全スピーカーのレベルは調整できるがディレイ機能がないという場合があります。
この場合は制作時に使用するアプリケーションである「Dolby Atmos Renderer」の機能として、モニターのディレイ設定を活用すれば、各々のモニターの距離を数値で調整することが可能です。
Dolby Atmos Rendererでは各スピーカーのレベル調整も可能ですので、最低限のセットアップはこの中でできるということですね。
https://www.avid.com/ja/plugins/dolby-atmos-production-suite
ただし、Dolby Atmos Renderは制作時のみに使用するアプリケーションなので、Apple Musicを聴く場合にこの調整を適用することができません。なので今の所ディレイ機能があるオーディオインターフェスを選んだ際は、できる限りスピーカーを等間隔においてもらうのがベストです。
さて、今回はオーディオ・インターフェース編として主要な機種と基本セッティングをご紹介してまいりました。記事に登場したオーディオ・インターフェースは全て単体で12chを補えるものでしたが、すでにお持ちのオーディオ・インターフェースを使って拡張したいという方もいらっしゃると思います。様々な方法が考えられますので、ぜひRock oNにご相談ください。
Rock oN スタッフに相談する_________________________
次回はソフトウェア編をお届けします!
そして2022.8.25(木)は18:00から豪華ゲストを迎えた今シブ生配信があります。お楽しみに!
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