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これまで音楽の世界ではモノラルサウンドからステレオに進化を遂げ、そこからよりリアルを求めて、5.1chサラウンドからイマーシブへ。そして昨今ではApple Musicを筆頭にDolby Atmos規格での制作から、再生までが一般でも取り扱えるようになり、身近な規格に今変化を遂げてきております。
Rock oNではクリエイター向けに、またスタジオをお持ちの方に、イマーシブオーディオをもっと身近なものとして気軽に導入していただけるように〜今こそ渋谷でイマーシブ〜「今シブ」企画を発足させました!
イマーシブオーディオと一口に言ってもDolby AtmosやSONY 360Reality Audio、Auro 3Dなど様々なフォーマットがあります。本企画では今後それぞれの特徴に触れつつDolby Atmosの基本となる7.1.4chのシステムを基準に、SONY 360Reality Audio、Auro 3Dなどへも発展可能な製品をご提案していきます。
初回はそもそも大規模なスピーカーシステムを日本の住環境の中で自宅に導入するためにはどんな選択肢があるのかを、「スタンド設置編」としてご紹介いたします。
7.1.4chの配置例
まずは下の図を見ながらDolby Atmos 7.1.4のスピーカーの名称をおさらいしましょう。7.1.4chとは、水平面に7ch、サブウーファーが1ch,天井方向に4chを表しています。通常のステレオと同じ位置のL,Rchに加え、水平面にセンターチャンネル(C)、リスニングポイントの左右後方4本(Ls,Rs,Lrs,Rrs)、そしてイマーシブならではの頭上方向へ4本(Ltf,Rtf,Ltr,Rtr)。実にスピーカー11本とサブウーファー1本という配置。通常のステレオ環境を水平面にも天井方向にも拡張したセッティングになります。
部屋の環境によって11本ものスピーカーの設置が現実的に難しい場合は、7.1.2chや5.1.2chなど本数を減らしてもATMOS Renderler上で設定することが可能です。なので、必ずしも制作の推奨環境である7.1.4じゃないと再生できないというわけではありません。ですが物理的に本数を減らすことは、減らした分を残ったスピーカーが代わりに再生する形になりますので(一番のネックはトップが減る場合、前方から後方に音が移動させる時など、再現性が低くなります。)、可能であれば7.1.4ch設置可能な環境の方は、頑張って制作における推奨環境である7.1.4chを構築検討していただければと思います。
L:Left
R:Right
C:Center
Ls:Left surround
Rs:Right surround
Lrs:Left rear surround/Left back
Rrs:Right rear surround/Right back
Ltf:Left top front
Rtf:Right top front
Ltr:Left top rear
Rtr:Right top rear
そして図に載っていないサブウーファーはLFEと表記します。
そしてここまで読み進めて頂いたら、次の壁があります。
お部屋の広さはあれどスピーカー11本とサブウーファー1本を具体的にどうやって設置するかです。おそらく多くの方がDolby Atmosの制作環境導入に向けて最もハードルが高いと感じているのがこのスタンド問題でしょう。特に天井のスピーカーは、普通のスピーカースタンドでは対応できず、かといって天井に穴を開けるわけにも行かない。かなり導入の障壁になっているのではないでしょうか。
今シブでは、自宅の一室にイマーシブを導入というコンセプトで、天井にスピーカーを埋め込んだりアンカーで吊るしたりという工事をせずに、スタンドやトラスで設置する3つのプランをご紹介します。これならば、マイ・スタジオにも導入できる!と共感いただけるプランになっているはずです!
3通りの設置プランのご紹介
①ALLスタンドプラン
LCR 3本、トップ4本(Ltf/Rtf/Ltr/Rtr)、サラウンド2本(Ls/Rs)、リアサラウンド2本(Lrs/Rrs)を全てスタンドで設置するプランです。
こちらはスタンド数は膨大になりますが、システムを常設できず作業時にのみ設置したいという方に向けたプランになります。
トップはスピーカースタンドでは対応できないためマイクスタンドを利用することになります。注意点はトップの安定性です。最適なリスニングポイントのためには少なくとも2m程度の高さと、そこから下方向に角度を調整する必要があります。高さを出すと当然安定性が課題になりますので、シンプルで安価なマイクスタンドではなく、堅牢な作りで尚且つ角度調整ができるオプション、そして重りなどが充実したTRIAD-ORBITなどのスタンドを選ぶ必要が出てきます。また角度の調整によってはそれなりのスペースが必要になります。設置するスピーカーの形状や重量によっても向き不向きが出てくるので、ぜひ一度ご相談ください。
例えばGENELEC 8320を11本設置する場合はトップ4本をTriad-Orbitのシステム、そのほかの7本をリーズナブルなK&M 26720にしてみるとこのようになります。
②照明トラス併用プラン(現在渋谷店に設置している今シブセット)
スピーカースタンドと照明用のトラスを併用するプランです。
常設ができる方にはこちらが非常におすすめです。既製品でなんとかできないかとRock oNスタッフが様々な商品を取り寄せ検証した結果、なかなか良かったのがこのプラン。照明用トラスを二つ組み合わせて四つ足のトラスを組み、クランプを使ってスピーカーを固定できる為、トップ4本(Ltf/Rtf/Ltr/Rtr)とリアサラウンド2本(Lrs/Rrs)のスタンドが不要になり、スタンドの本数を大幅に減らすことができます。そして驚くべきはその価格!非常にコストパフォーマンスが高く、エントリーにおすすめです。なおトラスは一般的な賃貸の6畳がすっぽりと埋まってしまうサイズ(一辺約1.5m)のため、設置予定のお部屋のサイズや天井高、そして現在使用しているデスクなどがそのまま使えるか事前に入念に確認する必要があります。
またスピーカーの種類によって設置に別途パーツが必要になりますので、ご希望のスピーカーを含め是非一度ご相談ください。
トップ4本(Ltf/Rtf/Ltr/Rtr)をクランプで設置し、リアサラウンド2本(Lrs/Rrs)をクランプ+アームで設置します。
*LCR 3本、サラウンド2本(Ls/Rs)の合計5本のスタンドが別途必要になります。
③カスタムフレームプラン(Coming Soon)
こちらはサイズに合わせてカスタムできるプランです。
リスニングポイント高さにフレームを設置することでLCR 3本、トップ4本(Ltf/Rtf/Ltr/Rtr)、サラウンド2本(Ls/Rs)、リアサラウンド2本(Lrs/Rrs)を全てフレームに設置可能。スタンドを0本にすることができます。
こちらは鋭意企画中ですので、今しばらくお待ちください!
いかがでしたでしょうか?ここまでで、スピーカーを設置するフレームが具体的に想像することができたのではないでしょうか!?Dolby Atmosの制作をやっているRock oNスタッフも実際に自宅導入を検討し始めました。設置方法が決まれば、ここからは実際に設置するスピーカーの選定になります。クランプでの固定となりますので、機種によっては、金具などが必要となるパターンも。機種に合わせてのオプションも含めてご紹介をしていきます。同時にサブウーファーのラインナップもご案内予定です。同じメーカーで揃えたほうがいいの?サイズは、どれくらいの製品が必要?様々な機種選定におけるアドバイス、おすすめ機種をご案内予定です。設置に関してのノウハウも合わせてご紹介予定です!
スピーカーが決まったら、Audio Interface / Monitor Controlerのご紹介。7.1.4chであれば、12本のスピーカーのボリュームを一括で制御する必要が生じます。それを実現する組み合わせ、Rock oNのノウハウを集結してご紹介いたします。そして、これだけの本数のスピーカーをしっかりと鳴らすためには、補正エンジンが重要。ディレイ、EQ、ボリュームを整えるソリューションをご紹介します。これがないとせっかくのスピーカーが活かし切れません。イマーシブ必須のツールです!
ご注意事項
スタンドやクランプの設置はお客様の自己責任で必ず複数人で安全を確保し慎重に行ってください。転倒や落下の対策はお客さまで確実行って頂けますよう、よろしくお願いいたします。
*渋谷店ではトップ4個(Ltf/Rtf/Ltr/Rtr)のスピーカーは別途市販の落下防止ワイヤーを使って対策をしています。
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記事内に掲載されている価格は 2022年8月5日 時点での価格となります。
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