新しくなったリファレンススタジオの試聴機能をご紹介する リファレンススタジオ大解剖も今回で最終回となります。私マエストロ佐々木が試聴システムのコアにもなっているDanteネットワーク製品、Focusrite RedNetシリーズをピックアップします。
Danteはデジタル伝送の音質劣化ニアゼロやEther ケーブル1本で賄える利便性、そして複数のプロダクトが繋がり一括管理が可能。その他これからの制作スタジオ運用に欠かせない柔軟性を備えています。長年の業務で当たり前になっていた煩わしさや時間の無駄遣いをDanteが解決してくれるかもしれませんよ!
DanteテクノロジーはAudinate社が提唱する非圧縮の多chオーディオ転送が可能なデジタル・オーディオ・プロトコルです。
24bit/48kHzのデジタルオーディオを1本のEthernet Cableで128ch IN/128ch OUT(合計なんと256ch!)で伝送可能でさらには「3ms」という超低レイテンシーも魅力。もちろんハイサンプルレートにも対応!!192kHz時でも32ch IN/OUT、トータルで64chのスペックを誇ります。
このDanteはオープンなテクノロジーであり、Focusrite、YAMAHA、Lab.Grappen、Media Matrix、Alien&HeathなどもすでにDanteテクノロジーを採用した機器の発売を行っています。
Audinate公式Webサイト : https://www.audinate.com/?lang=ja
Focusrite RedNetシリーズは、Danteによるネットワークオーディオ製品郡です。最新のデジタルコンバージョンを搭載したDA/AD、オーディオI/O、そしてマイクプリやモニタリングなどスタジオ構築のためのソリューションをラインナップしています。
Red 4 Pre
Redシリーズの最大の特徴は、たった1Uのボディにオールインワンと言えるほどの機能が詰まっていることではないでしょうか。伝統と先進性が同居するすぐれたマイクプリに代表されるサウンド・クオリティ、内部回路の工夫による超低レイテンシーと高いダイナミックレンジ、チャンネル数だけでなくアナログ/デジタル/Danteとフォーマットも豊富なI/O、ホストとの接続はDigiLink/Thunderbolt/Danteを揃え、ワードクロックを出力することもできます。
Red 4Preは8チャンネルのアナログインプットを持ち、そのうちの4機がマイクプリとしても動作します。アナログアウトプットはD-Subからの8チャンネルに加えステレオモニター用2chと、さらにフロントには2系統のステレオ・ヘッドホンアウトが備わっています。
一台で完結してしまいそうなくらい多機能な機体ですが、標準で対応しているDanteを使用することで、大規模なシステム構築にも対応する高い拡張性も兼ね備えています。
Red 8 Pre
名前から想像できる通り、4Preとの主な違いはアナログI/O数となります。インプットは倍の16チャンネル(そのうち8chがプリアンプとして動作)、アウトプットも16ch+ステレオモニター(2ch)+ヘッドホンアウト(2ch)x2。アナログアウトプットが増えているため大規模なモニターシステムにも余裕を持って1台で対応可能。Dolby Atmosに対応したPro Tools|HD 12.8のポテンシャルを最大限に発揮できるモデルということができるでしょう。
Red 16 Line
Red 16Lineは、64×64の入出力、Pro Tools HDおよび2つのThunderboltポートを搭載するオーディオインターフェイスです。最大121dBのダイナミックレンジを誇るA-D/D-Aコンバータ、ラウンド・トリップでも確かな超低レイテンシー設計、Red Evolutionマイクプリアンプ、さらにイーサネット接続によるネットワーク・オーディオ拡張までも対応します。
Red 16LineはDigiLinkおよびThunderbolt両方のコネクタを備え、かつてないほど簡単にPro Tools HD環境とネイティブDAWとを行き来することができます。オプションカードやインターフェイスの再設定も必要ありません。コントロール・ソフトウェアまたはデバイスのフロントパネルからホスト・モードを瞬時に切り替え、簡単に使用DAWの変更が可能です。
2つのコントロールルームから1つのブースの共用
ブースにRED-NET 4を配置することにより、複数のコントロールルームからブースの共有が可能となります。コントロールルーム側は、クライアントがPro Toolsならば、RED-NET 5を。クライアントがその他のDAWであればRED NET PCIe Cardを利用することで、Danteへの接続準備完了。各コントロールルームにRED NET 1をモニタリング用に配置して、システムが完成します。
音質もFocusriteクオリティーで、豊富なI/Oを持つことが可能となるRED NETシステムは、ボーカルブース、リズム録音ステージを共有し、クライアントは、毎日同じスタジオで作業が可能となります。(もちろん、使用するDAWシステムも移動も必要ありません。)このシステムは、複数の部屋を持つ大型スタジオに、革命を起こすことは想像に難しくありません。
ブース&スタジオでA/Dをすることのメリット
空気振動を電気に変換するマイク、そのマイクロフォンの発生する電信号は、非常に微細なものです。長距離のケーブル引き回しや、外部からのノイズにさらされやすい存在です。アナログならではのこういったデメリットを回避するのは、今までは容易ではありませんでした。解決策としては、マイクロフォンにできるだけ近い場所でオーディオ信号をデジタル化するしか有りません。そこで近年は、デジタルマイク、リモートマイクプリなども登場していますが、市民権を得るまでに至っていはません。これらは、やはり統合されたソリューションではない、ということで操作の煩雑さを生んでいることが導入に対して最大の障害になっていると感じます。
RED-NETでは、インターフェースと同化した、MICPREによりその問題を解決しています。FocusriteのREDのクオリティーを持つMic Preということで、クオリティーも問題なく導入が進むことが予想されます。COMP等のインサートは、コントロールルームに用意をしたAD/DAを使用して、インサート可能です、こだわりのアウトボードを使用する場合はスタジオ内に持ち込むことになりますが、この部分もサウンドの新鮮差が保たれるのであればトレードオフできる部分なのではないかと感じます。
ホール&コンサート・レコーディングのシステムに革命!
仮設で、レコーディング環境を構築するしか無いホール・コンサート・レコーディングの現場は、ノイズとの戦いでもあります。RED-NETシステムにより、ステージサイドでのデジタル変換が可能となりレコーディングブースが多少離れた場所であってもケーブルの引き回しが自由に可能となります。デジタル信号なので、電源経路を気にする必要もなくなるのです!!
しかも接続は、Ethernet Cable1本のみ。優れた可搬性、設置性と多チャンネル、ハイサンプルによる利便性を効率を誇ります。
多くのDAWの場合はインターフェイスを1つしか選択できないので、拡張にADATなどを使用していましたが、1対多のスター接続であれば拡張性の自由度が高まり、双方向で、より的確な録音/再生環境を個々人で選択できるのが強みです。
Danteソリューションについて、実際になにができるのか分からなかったり導入が難しそうという意見をいただくことがあります。しかしこれまでご紹介してきたように、Danteであればやれることの可能性が広がり、多chであってもケーブル1本という手軽さで導入もシンプルです。一度理解してしまえばワークフローの効率が格段に向上し、業務の自由度と速度が増すでしょう。それを証明する一つの手としてこの度の試聴システムの刷新がありました。ぜひRock oN渋谷店でお試しください。ソリューションのご相談ももちろんしていただけます。みなさまのご来店をお待ちしています!
新しく生まれ変わったリファレンススタジオの魅力が満載!
記事内に掲載されている価格は 2018年8月8日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ