リファレンススタジオ大解剖 第3弾は、新アウトボード大臣に就任したオルタネイト福山が担当します。アウトボードと一言で言っても多彩な製品があるため、今回は前編としてマイクプリをご紹介します。
さあ、ここから本番。私 オルタネイト福山が惚れ込んだマイクプリ6選をご紹介いたします!
Focusrite Heritage Soundを完全仕様のチャンネルストリップに凝縮
Rupert Neve氏とSir George Henry Martin氏によって1980年代なかばに製作されたオリジナルのISAコンソールをベースに開発された多機能なチャンネルストリップです。マイクプリ、EQ、VCA/オプティカル・コンプレッサー、エクスパンダー/ゲート、ディエッサーという完全なチャンネルストリップ仕様で構成されています。これらのファクターは自由な順番にパッチングすることも可能です。
インプットソースはMic / Line / Instの3種類から選べる上にMicは Low / ISA 110 / Med / Highからセレクトでき、使用するマイクに合わせたインピーダンスマッチングができます。つまりマイクを選ばないということですね。
モダンとクラシック両方の特性を持つNEVEマイクプリ
Neve氏の培ってきた伝統のクラシカルサウンドを現代のDAWベースの制作環境にスムースに統合させるべくして生まれた、最新ブランド Rupert Neve DesignsのSHELFORD CHANNELはマイクプリ+EQ+コンプのチャンネルストリップです。
マイクプリはNeveのカスタムトランスとクラスA回路で構成。EQはShelfordシリーズ5052のインダクターEQ、コンプはダイオードブリッジコンプ、とクラシック志向の回路構成でありながら、当時のビンテージ機器の倍の高い電圧駆動や最新のノイズ処理などが施されているのが特徴です。また伝統の質感を再現する”Silk”スイッチを搭載しているのもバリエーション豊富なサウンドを堪能できます。
もはや伝説となった1073プリアンプに3Band+HFのEQを搭載。オプションでデジタル入出力も可能
1073プリアンプに3Band+HFのEQを搭載しているのが1073SPXです。1073SPXは48Vファンタム電源はもちろん、フロントにセットされた入力端子に直接E.ギターやベースをさせるD.I機能も搭載。2018年内に発売予定のオプションカード*を取り付ければ、AESとFirewire接続が可能になります。Marinairトランス搭載の本家1073サウンドをシステムにデジタル入力できるというのは大きなメリットでしょう。
デジタル以外の拡張性として、1073SPXは外部エフェクターと使うインサートセンド&リターンを搭載。インサートポイントはプリ/ポストの切り替えが可能です。
(*オプションのデジタルI/Oカードは2018年中に発売予定)
3パターンのトランス切り替えによる多彩なサウンドはぜひ楽器録音に!
Shadow Hillsのカスタム・ディスクリート・オペアンプを軸に設計されたGAMAプリアンプをAPI500シリーズ準拠サイズに凝縮したのがこのMono GAMA Mic Preです。機能としてはファンタム電源、フェイズ・スイッチ、20dBパッド、D.I.入力といったスタンダードなマイクプリの機能を装備。パッド、フェイズ・スイッチはD.I.入力に対しても有効です。ゲインはスイス製の24ポジションアッテネーターでノブはかっこいいものが使われていますね。フロントパネルの印字も印刷でなく彫りこんであってこだわりと高級感が漂います。肝心のサウンドは、『雄大な響き、忠実な原音再現性、力強さ、奥行きと言った要素をサウンドに与える』と言われています。確かにその通りですね。あなたはこのサウンドをどう捉えるのか。ぜひ体験してください。
演奏家の感じている音をそのまま伝える
SP-MP2は『演奏家の感じている音をそのまま伝える』をコンセプトに開発されました。30年前のディスクリートマイクプリアンプの50倍以上高速なトランジェント特性と、倍音までフラットに伸びる周波数特性*でそのままの音を録音できるマイクプリとしてエンジニアに好評を得ています。
*sub 1 Hz to beyond 300 kHz (+0.1 / -0.1dB )
中まできれいですよね!一般的なバランスイン/アウトのプリアンプの1/3にまで絞り込んだ部品点数設計と贅沢に厳選されたパーツが適材適所で実装されています。
SP-MP2のゲイン幅は66dBもありますが大きく上げたとしても音質変化はニアゼロです。このダイヤルは固定抵抗で、3dBステップのゲイン・セレクターとなっています。トグルスイッチにより-1dB/-2dBゲイン・アッテネーターを加えることができるので実質1db単位でのゲイン設定が可能。固定抵抗ということでゲインアップはカチカチと段階式でステレオソースを収録する際に便利ですね。
正確なトランジェントとクリアでピュアなサウンドが必要とされるアコースティック楽器などの収録にぜひ使って欲しい製品です。
ハリウッドが認めた、極限までクリアなサウンド
名門バーニー・グランドマン・マスタリングスタジオのエンジニアScott Sedillo 氏が市販品を凌駕するクオリティを求めて生まれたのがPUEBLO AUDIOです。JR Series Preampsはその看板製品で、Rock oNで試せるのは2chモデルのJR2/2です。セパレートされた電源ユニットのPS34が必要となるため実質2Uとなります。
そのサウンドは極限までクリアで高S/N比。ありのまま音が見える感覚です。うまいプレイヤーはうまく、逆に下手な演奏はそれなりに録れてしまう演者泣かせのマイクプリと言えるかもしれません。このサウンドは 映画STAR WARSの最新作のフォーリーやオーケストラ録音にも使われているほど。
録音の音質やキャラクターはマイクプリとマイクとの掛け算で決まります。マイクプリの試聴をする際はぜひお使いのマイクも持ち込んで一緒に使ってください。もしマイク選びも一緒にしたい場合はプリとの相性もぴったりな製品をご案内いたしますので、ぜひRock oNまで試聴しにいらしてください!
新しく生まれ変わったリファレンススタジオの魅力が満載!
記事内に掲載されている価格は 2018年7月25日 時点での価格となります。
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