国内外のあらゆるイベントをいち早くレポート! またブランドや製品誕生の秘話に迫るDEEPなインタビューを掲載!
皆さんお待ちかね、まだまだ続くサウンドフェスタレポート第四段!今回は競合海外ブランドにも負けない品質と国産メーカーならではのカスタムメイド製品も充実している老舗ケーブルメーカー立井電線からスタート!
●TACHII(立井電線)
1958年に創立された立井電線は、長年に渡り高周波同軸ケーブルを始め、放送/通信/計装用などの業務用カスタムケーブルを作り続けていて、放送/通信業界人なら知らない人はいない大手ケーブルメーカーですよね。
「私たちが作ったケーブルを直に触ってください!」と同社製のケーブルが新旧取り混ぜて展示されていたのが印象的でした。さすがは物作りに心血を注ぐTACHII、といった印象でした。
今回壁掛けの大きな資料と共に展示されていた110ΩデジタルオーディオケーブルT-DA203は、柔軟性と高耐久性が両立しする同社の技術を注ぎ込んだ新製品です。
SR現場のフルデジタル化が進む今、様々なメーカーから柔軟なデジタルケーブルがリリースされていますが、TACHIIはこのケーブルに遮蔽性に優れた高密度編組シールドと架橋ポリエチレン絶縁体による構造を持たせたことで、「自由に曲げられかつ低ノイズ」という共存が難しかった性能の両立を成し遂げました。
この他には、コネクタ挿抜時に手が痛くなりにくい設計で、VSWR特性 1.1以下(30kHz~3GHz)!の低反射特性を持った「75ΩBNCコネクタとその専用圧着機」や、従来製品よりさらに耐ノイズ性能を向上させた「VTRリモート RS422規格専用ケーブル」が新商品として展示されていましたよ。
●DPA MICROPHONE
極めてフラットな周波数レスポンスと高い再現性、そして厳密なステレオマッチングが施されたペアマイクなどで、クラシックやアコースティック楽器レコーディングのスタンダードとして名高いDPA MICROPHONEのブースです。
9種類もの楽器に最適なアダプターによる製品バリエーションを持つ、ライブ用 超単一指向性マイクの代表格4099と共に、この4099の後継ラインとなる「d:vote」、DPAとしては初となるライブボーカル用ハンドヘルドイク「d:facto」、定評ある装着感を更に高めたデュアルイヤー・ヘッドセットタイプに進化した「d:fine」という3つの「d:」マイクが展示されていました。d:シリーズは近日発売予定ということですが、DPAクオリティのマイクでありながらも商品イメージをよりポップなものに変えた、今後のDPAの販売戦略の方向性を伺い知れる新製品といえます。
中でもRock oNが注目するのはライブ用ボーカルマイクd:facto。d:factoのカプセルのベースとなったのは、色づけのないサウンドと優れた単一指向性能で世界中の録音現場でスタンダードとなり、DPAの名を世界に知らしめた4011Aです。ここからボーカル用に特化させるために7kHzから20kHzまでにピークを持たせたチューニングを施し、分厚いバンドサウンドの中でも抜けるボーカルを実現しています。
コンデンサーマイクはダイナミックマイクよりも繊細な音を捉えることができるのは周知の通り。マイクと口の距離や使う角度、軸のブレによる音質の変化も少ないという利点もライブ現場では利点となるでしょう。インイヤーモニターが主流になりつつある大きなステージ上ではハウリングも非常に起きにくいため、これからはd:factoのようなハンドヘルドタイプのコンデンサーマイクが求められる機会も増えてくることでしょう。
昨今は様々な競合マイクメーカーからライブ用マイクが新製品としてリリースされてきていますが、録音現場で培った性能とノウハウを武器にしてd:factoがステージマイクの定番となる日が来るのか、今後の動向に期待してしまいます。
●APEX
ベルギーに本拠地を置くAPEX(Audio Products of Excellence)社のIntelliシリーズの最新作「Intelli-X2 48」は、IIRおよびFIRフィルターによるクロスオーバー、マスタリンググレードのコンプレッサー、システムアライメントディレイ、そして多ポイントのディレイを装備したシステムマネージメントプロセッサーの定番機器です。(入出力は4in / 8out)
サンプリングレートは44.1kHzから最大192kHzまで選択でき、I/Oはアナログとデジタル(AES/EBU)を共用して使用することも可能です。
シンクにはワードクロック、AES A/B、AES C/D、インターナルの4種類のシンクオプションが用意されていて、どれかのシンクソースが切れた際でも、音切れ無しで違うソースへの切り替える「3段階のシンクリダンダンシー機能」が装備されています。
Intelli-X2 48は非常に多機能ながらもフロントパネルの操作のみで全てをコントロール可能で、さらにトランスミッターとレシーバーで構成されるAPEX Intelli-Wareとそのコントロールソフトウェアを使えば、例えばタブレットPC1台で各サービスエリアの調整を手早く行うことも可能です。
プリセットとして保存も可能な日時管理のログは3Way イーサネットスイッチにより既存のイーサネットワークに統合が可能。プラグアンドプレイでPCに直接アクセスして管理を行えます。これは大規模なSR現場でのスピーカーアレイの調整に必須な機能が全て盛り込まれていると言っても過言ではないでしょう。
APEX社はSR現場での使用に耐えるため、振動や温度の他にも水没などのテストを包括的に行っています。そのテストの過酷な内容は競合他社をも圧巻するほどのものだそうです(これはベルギーのお国柄でしょうか)。高い信頼性と技術力が織りなす最先端のシステムマネージメントプロセッサーIntelli-X2シリーズ。ロングセラーの理由がそこにあります。
●TAKASAGO
機材の安定動作の要といえば電源!みなさんご存知の高砂製作所は、高品質な正弦波インバーター方式を採用したポータブル交流電源「PP-2502A」を展示。
PP-2501Aは大容量のリチウム電池を搭載し、AC100V、100Wの使用で約2時間の持久力(定格250W)!さらにPP-2501A同士を最大6台接続することで、AC100、600W(定格1.5kW)ものハイパワーで約2時間の使用を可能にします。
PP-2501Aのインバータ回路は電源ユニットメーカーとして名高いTAKASAGOの技術が存分に投入されていて、出力電圧変動±2V以下、電圧波形歪2%以下と極めて精度の高いサイン波の交流電源を生み出します。
またPP-2501Aは、停電を検知すると1秒以内で内蔵蓄電池のインバーター給電に切り替える停電自動切換え機能も搭載しています。
安定した電源、停電を感知する機能、そして比較的軽量なリチウム電池により6.5kgという持ち運び可能な本体質量。これらの優れた特性によりPP-2501Aは、機器トラブルが許されないSRや生放送の現場だけでなく、医療現場や災害時での活躍まで期待されています。
そしてTAKASAGOの別の顔、コンサートホールなどでは必ず導入されているといっても過言ではない吊りマイク装置のHC-Lシリーズ!吊りマイク装置自体は決して目新しいものではありませんが、最新のHC-3LはLANネットワークの対応と液晶タッチパネル式操作箱による一括操作で、非常に操作性と機能性を向上させています。またこの無線箱はオプションで無線LANに対応するので、コードレスでの使用が可能です。これさえあれば、マイクの微調整をするために重たいケーブルを引きずってステージ上でウロウロすることもなくなりますね。
●TOA
設備向け音響機器だけにとどまらず、セキュリティ機器の分野でもシェアを伸ばすTOAは平板スピーカー「PW1430SB」を参考出品していました。
PW1430SBは平面波をアウトプットできるスピーカー。平面波は電波やレーザー光と同じように直進性のある音波で、一般的なコーン型スピーカーの音が前面の上下左右に広がっていくのに対し、平面波はスピーカーの前と後ろに向けて直進性の高い音を放出します。このため平面波スピーカーはリスニングエリアを限定することが容易で、さらに音量が減衰しにくく、同条件ならばコーン型スピーカーよりも遠くまで変化の少ない音を届かせることができるのも特徴です。
PW1430SBははIPX4準拠の防水性を備えているということなので、薄型の筐体と高い指向性の機能を活かして、屋内外を問わずPAやアトラクションに活躍してくれそうです。
※IPX4準拠:IEC(国際電気標準会議)によって定められている防水・防塵の保護規格のグレード。IP4Xは「あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない防沫形」という仕様です。水没には耐えられませんが、雨などの水濡れによるテストはクリアしています。
記事内に掲載されている価格は 2012年6月20日 時点での価格となります。
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