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初めまして!トラックメイカーのミツビシテツロウです。普段は広告などの楽曲制作をしたり、”カタカナ” “GEEKS”といったバンドで活動しています。今回から全4回、Ableton LiveとMaxの解説をしていきます。よろしくお願いします!
さて、第1回の今回は、Liveの最大の特徴の一つでもある max for liveをご紹介! 大好き!Max!
まずはこちらの映像をごらんください。
こちらはRock oN CompanyでAbleton Liveを使ってライブパフォーマンスをしたときの模様です。この映像の中で使われている音、シンセなどは全て、Ableton Live10 Suiteの購入ですぐに手に入るもので作られています!
プロジェクトのスクリーンショットです。
全トラックにMaxのパッチを組み込んでいます。映像以外は全てAbleton Live10 Suiteを購入すると付属するものを使っていますので、これを読んでいるLiveユーザーはぜひ、Liveを立ち上げながら読み進めてみてください!
Maxは難しい?いえいえそんな・・・
まずは、「Maxって一体何?」「Liveに付属しているのは知っているけど、使った事は無い」なんて方も少なくないと思います。
MaxとはCycling ’74からリリースされている開発環境のことで、いわゆるプログラミング(言語?ツール?)です。
現在も単独で販売され活躍していますが、Live8以降のバージョンではmax for liveが使えるようになり、Live内でプラグインとして扱うことができるようになりました。
つまりざっくり言えば、”Liveの拡張ツールとして使用できるプログラミング環境”がmax for liveで、今回はそこに焦点を当てて解説していきます!
もちろん自分でMaxのパッチ(プログラムされ、出来上がったもの)を作ることも可能なのですが、Ableton公式のものやサードパーティ製のもの、ユーザーが自作したものをMaxコミュニティで公開しているものもあります。
なので最初のうち、というかMaxを覚えるやる気が出てくるまでは(そう時間はかかりませんが)、誰かが作ったプラグインを使い尽くそう!という気持ちで、気楽にMaxの世界に入ってきてください!
それでは、この楽曲内で使っている、僕の使用頻度の高いMaxパッチをご紹介していきます!
使用頻度Maxのプラグイン!
・Multi
この楽曲のイントロ部で使われているのはmax instrument [Multi] です。6種類のシンセエンジンを搭載していますが、中でも特徴的なのは、各シンセに与えられたパラメーターの少なさとRandomボタン!
Attack Releaseを使っての音作りも簡単で、シンセ初心者でも扱える好設計。そしてRandomボタンを押す事によってパラメータが勝手に変わります!
これによって偶発的な音作りもできますし、ライブパフォーマンス中にRandomボタンを連打すると、飛び道具的な使い方も可能に。
(さらにLive10から付属するようになったechoを使うと、よりサイケデリックな音色になっていきます!)
他にもノートを足したり、サンプルプレイヤーにもなっているシンセエンジンがあり、全てにRandomボタンがついています。そうです、もう音作りについては考えなくて良いのです。。。。
・LFO
この楽曲のプロジェクトファイルで一番使用率の高いMax Effectがこちら、LFOです。このエフェクト自体に音を変化させる機能はないのですが、トラックのボリュームからパン、シンセのパラメータ、そしてなんと楽曲のテンポまで規則的に変化させる事が可能です。
使い方は簡単で、Mapボタンを押してから変化させたいパラメータをクリックするだけ!
高速で上がったり下がったりするトラックのボリュームや、フリーキーに変化するフィルター、スタッターと呼ばれる音が断続的に切れるエフェクトなども、このLFOを使う事によって作り出せます!
変化の速度(Rate)変化の幅(Depth)を変更することによって、更なる作り込みも可能です。
またLFOを複数個使う事によって、LFOをLFOで制御させることもできます。偶然に身を任せ、適当にmapしていくのが僕は好きです。。。
・Buffer Shuffler
ヤバそうな見た目だー!!!!!!!!!と見ただけでどうにかなってしまいそうなこのエフェクトは、決められた小節数分ループするシーケンス型のエフェクターです。1,3,5,7拍目はStutterで音を切り刻んで、4拍目でGateをかけて音を止めたい・・・と悩んでしまう想像力豊かな貴方にもオススメできますが、これにもRandom機能が付いているので、Autoボタンを点灯させた状態でDiceボタンを押すとランダムに変化します。
そして、その横にあるプルダウンメニューからRandomを選択しておくことによって、1ループするごとに新しいパターンを作ってくれます。
僕のオススメは、ドラムトラックのスネアが入るタイミングでpitchをかけて多幸感を得る。です。他にもメロディに掛けても面白いですし、コードを鳴らすPadトラックにBuffer shufflerをかければ、謎の音響世界へ。。。。
・Map8
最後に紹介するのが、一番地味です。申し訳ない。申し訳ないのですが、Map8は僕の使用頻度ナンバーワンプラグインです!
Liveを使ってライブパフォーマンスをした事がある方(特にPushを使う方)にはわかってもらえると思うのですが(それ以外の方にも伝わると嬉しいですが・・・)
ライブパフォーマンス中に『1秒後に来るフレーズのフィルターを操作したいけど、そのトラックはどこだ・・・!』『リードフレーズのディレイを増やして次の展開に持って行こう! あれ、どのトラックがリードだっけ・・・』など!ライブ中に天才的なひらめきをするも、該当トラックを選択する前にそのフレーズが過ぎてしまったり、ハイハットのパンを操作しながらベーストラックのパラメータをゴリゴリに操作したい!など複数トラックにわたる欲求が生まれてしまう事があると思います。
Liveにはトラックごとにエフェクトをまとめてパラメータをアサインする方法はあるにはあるのですが、複数トラックをまたいで同時に操作しようとするとPushでは難しいと言えます。(選択したトラックのパラメータか固定したパラメータしか表示されないためです)もう一つMIDIコントローラを用意すれば良いのですが、それはそれで煩雑ですよね。
そこで、Map8です。
ライブ中に思いつきそうな部分(例えばフィルターやディレイなどで僕はよく思いつきます)、そんな同時に操作したいパラメータを予めMap8に登録しておくことによって、瞬時にそのパラメータにアクセスすることができます。
これをマスタートラックに複数個用意しておくことで、ライブパフォーマンス中の思いつきや、同時操作できる範囲など、パフォーマンス可能な世界が一気に広がります。
他にも、macのカメラの画像を認識し、その映像によってパラメータを動かすエフェクトや、天気情報を読み込むプラグイン、OSCを使ってiPhoneで操作できるプラグイン、そしてなんとApple Remoteを使うプラグインもあります。
さらにLive10になってからCV TOOLSがリリースされ、ビンテージシンセとLiveを組み合わせて使えるようになったり、LEGO MINDSTORMを操作できるようになったりと、すごく未来感があります。
では実際に組み合わせて使ってみましょう!
ドーン!先ほど述べたインストゥルメントとLive付属のリバーブでドローンマシーンをつくってみました。
このようにドローンにしたいトラックにMIDIノートを並べて再生してみると、時間変化するドローンの出来上がり!
GlitchノブとSliceノブを使って音色変化を楽しんでも良し、Dreamノブを使って楽曲の雰囲気にマッチさせるもよしです。
Diceノブは右に大きく回すとリズムが変化します!
このようなトラックをたくさん用意して[Map8]にアサインするとライブ中の操作性もアップです!
自作プラグインの世界へ
先述したように、Maxはそもそもプログラミングソフトなので、AbletonLiveで使うプラグインを自作する事もできます。
(画像はEnvelopeプラグインのパッチ画面です)
今回映像のプラグインは色々な事をしていますが、基本的にはサンプルプレイヤーです。映像をストックしておき、pushで切り替えています。MIDIノートで光の強さが変わります。
他にも色々なユーザーが自作プラグインを公開していますので、面白いもの探しにいきましょう!!
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記事内に掲載されている価格は 2020年3月25日 時点での価格となります。
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