IK Multimedia 1 ARC
IK Multimedia、モニター環境補正システム「ARC」を発表!
2007年に入ってからも、StealthPlug、Miroslav Philharmonik CE、AmpliTube Jimi Hendrix
と、精力的に新製品をリリースしてきたIK Multimedia。
今回のAESショーでは、これまでの路線から期待される新製品(別途、レポートいたします)だけでなく、驚きの新製品も発表していました。
■ タイム・ドメイン解析により、複数のリスニング・ポイントに対応!

ARCは、音響特性解析ソフトウェア、計測用マイクと、補正プラグイン(AU/RTAS/VST)の組み合わせによる、音響特性補正システムです。
ARCとは、Advanced Room Correction(アドバンスト・ルーム・コレクション)の略で、簡単に言うとモニター・スピーカーや部屋の反響によって歪んでしまった音響特性を、DAW再生時に補正するシステムです。
そのアルゴリズムとして採用されているのは、Audyssey社のMultEQ®。MultEQ®は、米国ホームシアター業界では有名な音響特性補正システムで、通常は$2500(約30万円)のSound Equalizer + インストール(設置、解析、設定)費というかたちで提供されてます。
MultEQ®の特徴は、スウィート・スポットだけでなく、複数のリスニング・ポイントのデータを解析して、最適な補正を提供可能な点にあります。
その補正データの算出も、単なる「合計と平均化」といった単純なものではなく、「複数のリスニングポイントで収集されたテストデータを総合的に分析し、心理音響学に基づいて、リスニングエリア全体の音質を向上する 」(MultEQ®技術を採用したDENONページより)とされています。
その背景にあるのは、Audyssey Laboratories設立スタッフの母体となった南カリフォルニア大学(University of Southern California)のIMSC(Integrated Media Systems Center)での10年以上にわたる研究、その中でも部屋の音響特性による悪影響に集中した5年以上の研究(総予算は$6M = 約7億円!)ということですが、ポイントは、「単なる周波数カーブの解析と補正ではなく、タイムドメイン(時間領域)の解析と補正を行う」ことと、「複数のリスニング・ポイントから共通する要素を解析してグルーピングする」ことにあるようです。
このタイム・ドメイン解析に基づく補正と、複数のポイントでの解析結果を統合する技術の高さが、IK MultimediaがAudysseyの技術を採用するポイントとなったようです。
IK Multimediaでは、通常の、周波数解析とその結果を反転させるリバースEQ処理では、周波数特性はフラットになっても、位相の乱れが発生するた め、「EQで補正されたモニターではミックスできない」というエンジニアの不満となっていることを認識しており、タイム・ドメイン補正技術により位相の乱 れが発生させないどころか、部屋、机、コンソールの反響によって生じている位相の乱れまで解決するAudyssey製品の音を初めて聞いたときは、驚嘆し たということです。
システム使用方法はシンプルで、下記のような流れとなります。
1. スタンド・アローンの音響特性解析ソフトウェアを起動する。
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2. テスト・トーンをスピーカーから再生し、測定マイクにて拾い解析する。
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3. 上記(2)を、最低12カ所、最高32カ所のリスニング・ポイントで繰り返す。
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5. DAWソフトウェアのマスタートラックに、ARCプラグインを起動する。
これだけで、解析を行なった結果がプラグインに反映され、フラットな特性でモニタリングが可能となります。
AES会場では、サブ・ウーファーとモニター・スピーカーの組み合わせによるデモを行っていましたが、最初にプラグインで補正を「ON」にした瞬間は、ちょっとスッキリしすぎかな、と思いました。
でも、その状態でしばらく音楽を聴いたあとで補正を「OFF」にしたとき、すべての音像がぼやけるのに驚きました。低域もボコボコと大きすぎで、この状態でミックスをするのは危険だなと、怖くなりました。
そこで再び補正を「ON」にすると、初回の違和感とは異なり、ブーミーだった低域がスッキリして、ミックス内の各音像がハッキリする快感が理解できました。蒸し暑い夏、閉め切った部屋の換気をして、エアコンの風を感じた瞬間に感じる快感に似ているでしょうか。
楽曲の中でギター・ソロが始まったときも、その位置、音像がしっかりと感じられ、周波数特性だけでなく、位相の問題にこだわる理由も納得させられます。
厚めのカーペットが敷かれ、天井まで数mあり、左右に壁のない会場でこれだけ効果がでるなら、固いフローリング、低い天井、四角い形状といった三重苦が揃いがちなホーム・スタジオでの効果は、絶大でしょう。
上記、Audyssey社のインストール・レポートでも「これまで投資を重ねても解消できなかった低域の濁りがなくなり、オーディオ関係にお金を使いすぎと反対していた奥様が購入の後押しをしてくれた」というクライアントの例が紹介されています。
な お、ARCにバンドルされたマイクは、テスト音の収音を目的に設計されていますが、解析が終わったからといってお蔵入りさせるのは、もったいないですよ ね。SampleTankシリーズのサンプリング時にあらゆるマイクを試してきたIK Multimediaのスタッフも「解析用マイクは、特性がフラットなのはいいけどS/Nに問題のあるものが多いが、このマイクは50 mV/Paと感度も十分なので、楽器の録音でも試してみて欲しい」と、語っていました。特に、無指向性のオムニ・マイクを持っていない人には、貴重な1本 となるのではないでしょうか?
このマイク、解析アプリケーション、補正プラグインがセットになったARC。日本価格はまだ不明ですが、IK Multimedia製品をお持ちの方には2万円以上お得なクロスグレード版が用意されるようです。IK Multimediaお得意の「なんでもアップグレード」が適用されれば、Pro ToolsなどにバンドルされたLE/SE版でもクロスグレードが適用になるので、未登録の方は早めに登録しておくと良いでしょう。
問題
IK Multimediaの新製品、モニター環境補正システムの名称は?
答えを下から1つお選び下さい。
(1) ARB
(2) ABBA
(3) ARC
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