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Focusriteの新しいオーディオ・インターフェースRED4Pre前回のレビューではプラットホームを選ばない接続方法や後発モデルらしい豊富な機能を中心に紹介しましたが、その後約一ヶ月自宅スタジオにて通常作業をすべてRED4Preを使って行いました。今回は重要な部分であるマイクプリの部分を中心にいくつかのシチュエーションを踏まえながら紹介して行きたいと思います。
名機ISA再び
Forcusriteといえばその特徴的なサウンドを持つISAシリーズのマイクプリアンプが挙げられると思います、その後REDシリーズのマイクプリアンプに引き継がれ数々の作品でその音を聞くことができます。そのISA〜REDのマイクプリの美味しいところどりな部分を実装したのがRED4Preのマイクプリアンプということで前回女性ボーカルで試してみましたがストレートでクリアな音質が好印象でした、そして目玉であるISAマイクプリを彷彿させる絶妙なサーチュレーション効果を付加させる『AIR』エフェクトですが様々なシーンで使えそうと書きました。よりマイクプリアンプの実力を知る為に今回は男性ボーカル、女性ボーカル、アコースティックギター、エレキギターの4つのソースをノーマルモード、AIRモードと切り替えながら録って比較してみました【録音環境】より正確な判断をする為に録音フォーマットうぃ32bit/96kHzでAKG214から直でRED4Preに接続、プラグイン処理や編集なしでサウンドサンプルを作成しました。
ノーマルモード
まずは男性ボーカルです、静かなAメロや唸りを入れた喉を歪ませたニュアンス、そのどちらも正確でクリアなサウンドが得られました、そしてマイクに近づいての近接効果もしっかりキャプチャーされて微妙な違いも表現可能でした。低音の響きも過度な色付けもなく録音後のコンプ、EQ処理がしやすい音色で録れました。
エレキギター(インストルメント入力)エレキギターやエレキベースのようなハイインピーダンスの楽器入力する際フロントのインストルメント端子に入力します、DIを使って録ることも多いですが最近のオーディオ・インターフェースではこのインストルメント入力が実装されていることが多いです。実はこのインスト入力が結構大事でその後のリアンプ(オーディオ・インターフェースのアウトからギター/ベースアンプに入力してマイクで再録音する)の音質やアンプシミュレーターのかかり具合にも影響するわけなのでここのクオリティーも見逃せません。
実際に録った音色はザクザクとしたトランジェントを残しながらも中域の美味しいところの主張も好印象で、よくある”とりあえず付いてます”的なインストルメント入力での細く使えない音ではありません。
ノーマルモード | 左:男性Vo | 右:Eg Inst In
続いて女性ボーカルでの印象ですが今回のボーカルの方がハスキーなキャラクターを持つ声だったので実はマッチングがものすごく合いました、少し弱めに歌った時のニュアンスや高域の張った時の抜けていくようなクリアな音色がREDシリーズのマイクプリのイメージに近いのかな?と思いました。アコギですがこれも中低域のふくよかな響きとピック弾きのザクザクしたところのこれも美味しいところが嫌な部分はほとんどなく簡単に得られました。後のコンプ、EQ処理も気持ちよくかかりそうです。
ノーマルモード | 左:女性Vo | 右:AcGt
AIRモードの実力は?
いよいよRED4Preの『AIR』エフェクトを試してみたいと思います、先ほどの男性女性ボーカル、エレキギター、アコースティックギターで同じソースを録音してみました、すべてのソースに劇的な変化が感じられ具体的に言うと先ほどの各ソースプラス『前に出て来る感』が非常に増したキャラクターが得られ、特に中高域のEQとはまた違った倍音と気持ちいいサーチュレーションが付加されます。ノーマルモードとは全く違うキャラが演出できるのは曲やアレンジに最適な録音ができるので重宝する機能です。そして筆者オススメの使い方なのですが可能であればマイク二本使って一つはノーマル、もう一つにAIRをかけたトラックをお好みのバランスでミックスするのがこれまたいいとこ取りなキャラクターな音質で裏技的ですがアリなのではないかと思いました。
AIRモード | 左:男性Vo | 右:Eg Inst In
AIRモード | 左:女性Vo | 右:AcGt
AIRエフェクトのバリエーション
さらにこの『AIR』ですがマイク入力インストルメント入力だけではなくLINE入力にも適用することが可能です。(インプット1-4のみ)これを外部シンセや外部マイクプリアンプで使用するのも面白いと思い、実作業で試してみたのですがRED4Preのマイクプリアンプでの『AIR』エフェクトとは違う倍音の付き方が使える音色だったので同じソースで複数のキャラクターをRED4Pre一台で得られるのも少ない機材でのスピーディーな作業に向いていると思いました。
まとめ
最後にここも重要なのですがこの一ヶ月間電源付けっ放しだったのですが本体に過度な熱を持つことなく安心して使えました、もちろん筐体横に小さなファンが付いているのですがノイズもほとんどなく『熱くならず』『静音』という音質ではない部分でも実作業向きだと感じられました、独立したオーディオ・インターフェースとしても優秀なRED4PreですがDANTEネットワークを使っての大規模なセッティングへの可能性も秘めている本機に次世代の機材の流れを感じました
前編はこちら
記事内に掲載されている価格は 2017年11月29日 時点での価格となります。
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