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“出来るだけマウスやディスプレイを使わず、コントローラーだけでトラックを作りたい”。そんな思いからNative Instrmentsの初代MASCHINEを導入して早8年。当時はソフトサンプラーとしてまだまだ未熟なところもあり、四苦八苦しながら使っていたように思いますが、アップデートのたびに可能性が広がり、またハードウェアコントローラーでソフトウェアをコントロールする可能性も広がっていきました。
そんなMASCHINEが新たな進化を見せ、MASCHINE MK3が発売されました。今回はMASCHINE MK3を実際に触ってみて感じた、進化のポイントをご紹介しましょう。
MASCHINE MK3 進化のポイント
ユーザビリティの向上
まず、デザインが一新されたMASCHINE MK3 コントローラーをご覧ください。シンプルながら、ボタンが増えていることが分かりますよね。MASCHINE MK3 は以前のモデルに比べ11個のボタンが追加されまして、この追加されたボタンが痒い所に手が届いた機能がアサインされているんですよね。
まず、大きくなったパッドの上に、”PAD MODE”、”KEYBOARD”、”CHORDS”、”STEP”という4つのボタンが増えています。個人的にこの4つのボタンは非常に重要で、リズムを打ち込むだけでなく、メロディを弾くため‥またコードフォームを打ち込む時などによく触るボタンなんですが、これまで呼び出しにはSHIFTを押しながらパッドを押し呼び出す必要がありました。
この、”SHIFTを押しながら”という動作から解放されることにより、パッドで演奏している最中にKEYBOARDモードに変更しリードを演奏したり、またCHORDSモードでコードを演奏したりと、再生中でも機能を読み出すことができます。
また、ディスプレイ部もMASCHINE STUDIOに搭載されていた高解像度カラーディスプレイが採用されております。MASCHINE MK2とMASCHINE STUDIOの最も大きな違いであったディスプレイ部ですが、ここまで大きなサイズのものがあれば音源探しも非常にラクで、間違えもありません。サンプリングしてチョップするときも、でかい画面で波形は見たいですよね。
ユーザビリティとしては、音源を探すときにプレビュー機能があるのも作業の効率化に一役買っています。人によっては何千何万というサンプルの中から使いたいサンプルを探すわけで、プレビューできるだけで、これまでのサンプル/グループ探しの時間が短縮されます。
また、コントローラーにはFILEボタンも増えています。これまでプロジェクトを保存するときはどうしてもマウスを触らなければいけなかったのですが、プロジェクト管理もMASCHINEコントローラーで操作することができます。これ、便利ですよ。
4方向プッシュ式エンコーダー
サンプルやプリセットを探す際、初代MASCHINEコントローラーの頃からノブを回してサンプルを探してましたが、MASCHINE STUDIOに採用されたジョグホイールはサンプル探しにぴったりで、ホイールを回して中央を押し込みEnterさせる動作は、ひとつの癖になっていました。
これはもう完成系…やはり大は小を兼ねる…そう思っていましたが、MASCHINE MK3は簡単に覆してくれました。MASCHINE MK3には4方向プッシュ式エンコーダーが搭載され、上下左右に倒したり、押し込んでEnterさせることも出来るのです。最初は慣れが必要ですが、この動作に慣れればサンプルやプリセットの読み込みに複数のノブを操作することなく、左手を固定して操作することも可能です。これ、使ってみると便利ですよ。
9個のボタンと1つのSMART STRIPが生み出す、新たな表現
コントローラー左中部には、プッシュ式エンコーダーを囲むように9つのボタンが配置されています。このボタン群の中でも他のボタンの2倍の大きさがあるNOTE REPEATボタン、これをうまく使えるかどうかがリアルタイム演奏の表情を大きく変えることとなります。大きなサイズなので他のMASCHINEコントローラーよりも、リアルタイムで操作しやすくなってますね。
また、もう一つのポイントとしてはKOMPLETE KONTROLやMASCHINE JAMでおなじみの「SMART STRIP」。いろんな使い方があるのですが、プロモーションビデオなどで異彩を放っている活用方法にノート演奏があります。これはかっこいいですよね、ほんと。ギターの音色を選び、パッドはKEYBOARDモードで好きなスケールを選び、パッドを押しながらSMART STRIPをなぞると、まるでアルペジオのような演奏が出来ます。ギターは右手で指板を押さえ左手で弦を弾きますが、MASCHINEの場合は逆ですね。
全てがリアルタイムパフォーマンスに繋がる
いくつかポイントを書いてみましたが、今回のアップデートはリアルタイムパフォーマンスのためのアップデートに重点が当てられていますね。これまでのMASCHINEはトラック制作の効率を上げるアップデートが採用されてきましたが、新たに搭載されたMASCHINE MK3の機能はリアルタイムでリズムを組み立て、ベースを打ち込み、コードをアルペジエーターで鳴らす…これらの動作はトラックを停止させることなく出来るので、まさにMASCHINEソフトウェアを楽器にする、大きな進化を見せたように思います。
ソフトウェアを楽器にする…そう言えば、Pushが登場した時も同じことを言っていました。Ableton Liveを楽器に変えてしまったPushとMASCHINEは比較されやすい関係にありますが、果たして相対する関係なのでしょうか‥?
ソフトウェアを楽器にしたMASCHINE MK3とPush2
PushはAbletonが発表しているLive専用コントローラーです。64個のパッドと8個のノブでサンプルのブラウズから演奏、シーケンスの打ち込みやサンプリングまでLiveの機能をよりクリエイティブにコントロールすることが出来ますが、PushはLiveユーザーに与えてくれものは、新たな演奏手段の提案を与えてくれました。
64個のパッドによるノートの演奏は、それまでのどのコントローラーにもなかった機能のひとつです。ルートとスケールを選んで演奏することによって、理論がわからなくてもフレーズを作ることができ、コード入力も苦ではありません。
PushとDrum Rackを組み合わせることにより、ステップシーケンサーでノートを入力することも出来ます。MASCHINEでもステップ入力は可能ですが、ここはパッドの数が多いPushの方が効率良く打ち込みに専念できそうです。ちなみに、Drum Rackとは言いますがドラムサンプルのようなワンショット以外にループ音源もアサインすることもできるので、ポン出しマシンとしてもストレス無く使えたりします。
最新のサウンドでトラックを作るならMASCHINE MK3とPush2を!
Pushの登場でAbletonがリアルタイムパフォーマンスに特化した楽器になり、MASCHINEもMASCHINE MK3に進化したことにより楽器へと進化しました。共にパフォーマンスに特化した進化を見せることにより共に比較されやすいのですが、そもそもLiveはDAWで、MASCHINEはソフトサンプラーなので純粋な比較は難しいです。
では、「出来るだけマウスやディスプレイを使わず、コントローラーだけでトラックを製作したい」方はどっちを選べばいいのか …。個人的には、MASCHINE / Push共に、両方とも導入してしまうのが良いんじゃないでしょうか。
トラックを作っている中で歌や楽器をレコーディングする場合、やはりDAWであるLiveとPushの組み合わせは抜群ではありますが、リズムやフレーズを作るのであればMASCHINEのシーケンサーや音源は魅力的に映ります。特に上では書きませんでしたが、MASCHINE専用の拡張音源”MASCHINE Expansions”を導入すれば、特定のジャンルに特化したサウンドをMASCHINEで鳴らすことができます(中でも、現代的なEDMやダブステップに特化したサウンドが集められている”Lucid Mission”はオススメ!MASSIVEのプリセットも入ってますよ!)。
MASCHINE MK3でオケを組み立て、レコーディングやミックスはLiveで行う。この組み合わせがかっこいいトラックを作るための近道なのではないでしょうか。
MASCHINE MK3の新機能を動画でもチェック!!
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記事内に掲載されている価格は 2017年10月13日 時点での価格となります。
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