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毎回Neumann製品の魅力を初心者の方にもわかりやすく伝えようと全力で取り組むこの企画。
今回はNeumann初のDAWプラグインとして6月に発売したRIMEを使って、自宅で空間オーディオを体験できるか?!に取り組んでみます。
RIMEはヘッドホンでイマーシブコンテンツをモニタリングするためのDAWプラグインで、Pro Tools、Pyramix、Logic、Cubase、Nuendoなど多くのDAWがDolby Atmosに対応。自宅に多くのスピーカーを設置せずともヘッドホンでイマーシブコンテンツを作成することができるというのはかなり画期的なことではないでしょうか。
今回はRIMEのインストールから使用DAWでの設定まで、導入手順をレポート。使用DAWはCubase Pro(Steinberg)なので、お使いの方は参考になれば嬉しいです。
①準備:RIMEのインストールとヘッドホン(NDHシリーズ)の用意
1)RIMEについて
・RIME
RIMEはNeumannヘッドホン(NDH 20、NDH 30)を使ってステレオ、サラウンド、7.1.4までのイマーシブフォーマットをヘッドホンでモニターできるDAWプラグインです。現在多くのDAWがDolby Atmosに対応していますので、RIMEプラグインを導入することでユーザーはDAWでの制限の無い3Dキャンバスで曲やサウンドスケープを実現できます。
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2)ヘッドホン(NDH 20とNDH 30)について
次にNeumannのヘッドホンNDH 20もしくはNDH 30を用意。RIMEはこのNDHシリーズ用にオーダーメイドされ、セットで使うことで空間オーディオミックスを実現することができるプラグインです。
このNDHシリーズ自体、「定評あるNeumannのスタジオモニタースピーカーのようなリニアなサウンドバランス」と銘打って、Neumannがこだわってモニタースピーカーとの互換性を意識して作られたヘッドホンとして発売以来高い評価を受けています。
NDH 20は密閉型、NDH 30はオープン型なので、それぞれの特性や好みでセレクトすることが可能です。
★NDHシリーズ関連記事
②DAWへのセッティング方法
RIMEをPCにインストールも成功し、MASTER OUTにインサートしてみました。
「なぜGUIにダミーヘッドマイク(KU 100)が出ているのか?」と疑問に思うかもしれませんが、RIMEはドイツのデュッセルドルフにあるZimmerli Soundスタジオ(ドイツの中でも残響時間特性や周波数特性などが理想的なスタジオ)にてKHスピーカー/MA 1/MT 48/KU 100などを使用した実測定データを用いて制作されたそうです。
RIMEのセッティングの大きな特徴として、自身の「Head circumference(頭囲)」と「Ear to ear(両耳間距離)」を入力します。これはITD(Interaural Time Difference)と呼ばれるもので、これは「両耳間時間差(音が左右の耳に到達する時間の差)」を表し、ユーザーの頭部の特徴を測定・入力することで、最適なITDスケーリング値を計算します。この計算を実行するには、頭囲と耳介間距離(耳珠間距離とも呼ばれます)が必要です。これらの値をcmまたはインチで入力後に「CALCULATE(計算)」ボタンをクリックすると、最適なITDスケーリング値が計算されます。
前述したITDのパラメータを入力することでKU 100ダミーヘッドの時間差を頭のサイズに合わせて増減できるということです。より精度の高いサウンドを提供できるという点で、実に画期的ですね。
「HEADPHONE PROFILE」にNDH 30をセレクトして、これで準備完了!
ところが・・
あれ?
RIMEにはSTEREOしか出てこない!?
(7.1.4がグレーアウトして選ばれませんが。。)
最後の関門でつまずいたようです、
これは何が足りないのだろう。
この件についてゼンハイザージャパン・真野さん(Neumannはゼンハイザーグループです)にご相談をしたところ、英文マニュアルを日本語訳して頂いたものをご送付して頂きました。
Cubaseでの使用方法には2つの選択肢があります。
オプション1:RIMEをマスター出力(7.1.4)に直接挿入することができます。
※その場合は他の出力チャンネルでRIMEを使用することはできない点にご注意ください。
オプション2:RIMEをコントロールルームセクションに挿入する方法です。
RIMEをコントロールルームセクション内に配置すると、複数あるモニタリングパスの一つとして使用できます。さらにセッションをレンダリングすると自動的にバイパスされます。
1 [Studio] > [Audio Connections] で7.1.4出力デバイスを作成します。
※Dolby Atmosの場合はレンダラー出力となり、[Project] > [ADM Authoring…] ウィンドウで直接作成できます。
2 Audio Connectionsウィンドウで [Control Room] タブに切り替えます。
3 ここで新しいモニターパスを作成します([Add Channel] > [Add Monitor])
※識別しやすいようこのモニターパスに「RIME」と名前を付けてください。
4 このモニターの左右出力をヘッドホン出力に接続します。
5 [Studio] > [Control Room] に移動し、[Inserts] タブを開きます。
6 インサートチェーンにRIMEを配置し、出力フォーマットを7.1.4に設定します。
これでCubaseのモニターパスとしてRIMEを利用できるようになりました!
③Pannerで各トラックの音を配置する
RIMEの設定は成功したので、各トラックの音を実際に動かして空間オーディオを体感したい!と考えたのでここでPannerというものが必要になってきます。
Cubaseには「VST MultiPanner」というものがあり、これを使用することでラウンドフィールドに音源を配置したり、入力されたオーディオをさまざまな割合で出力サラウンドチャンネルに振り分けます。
パンエリアでは音源が青いパンニングハンドルとして表示、ステレオまたはマルチチャンネル構成の場合、左右のフロントチャンネルが黄色と赤色のハンドルとして表示されます。
④RIMEで空間オーディオを自宅で体験!
実際にApple Musicなどで空間オーディオ(Spatial Audio)の音源を試聴したり、DAWに様々な音源を配置してRIMEを体験してみました。
音をLRだけでなく距離や高さを変えて配置することで聴こえ方が大きく変わること、それを自らの手で好みの配置にミックスできることは驚きであると同時に、非常に新鮮な体験でした。
個人的にはオープン型のNDH 30の組み合わせだと、より広がり感があって空間オーディオの定位がより鮮明に感じられる印象でした。NDH 20は密閉型なのでタイトなローエンド感でしっかりした音像を感じられます。 どちらのヘッドホンも音のキャラクターは近いですが、音像感の違いはあるので、この辺は各自の好みで選んでいただくことをおすすめします。
それと今回NDHシリーズを使って改めて驚いたのは、NDHシリーズがNeumannのモニタースピーカー・KHシリーズと同じ聴こえ方(出力されている音がそっくり)であるということです。私は自宅用モニタースピーカーとしてKH 80 DSPを使っているのですが、NDHシリーズと切り替えて視聴していたところ、どっちのモニター音が出力しているのかと途中で錯覚するほどでした。
NDHシリーズが「定評あるNeumannのスタジオモニタースピーカーのようなリニアなサウンドバランス」として開発されただけあって、これまで取材させて頂いたエンジニアさんからも同様のご指摘が多かった特徴です。
例えば以前セガのサウンド開発部さんへの取材で、スタジオのKHシリーズでミックスした音源を、作家さんが自宅でのチェックにNDHシリーズを確認するために使う、といった事例もありましたが、このようにサウンドに互換性があることのメリットを活かして同じチームでモニタースピーカーとヘッドホンを共有して使えるというのは大きな利便性かと思います。
★NDHシリーズ:参考記事こちら
セガ サウンド開発部が語る、Neumann KH 150のファーストインプレッション
NDH 30を自宅スタジオで使用!その利便性とは・・!?
今回はRIME導入までの手順を詳しく解説してみました。いざ自分でやってみると設定に時間がかかったり大事な手順が抜けてたりすることもありましたが、あえてそうした躓きやトラブルも教訓とすべく、記事に紹介させて頂きました。
Dolby Atmosや360 Reality Audioが浸透し、イマーシブミックスが特別なものではない時代となっていますが、まだ色々な理由で音楽制作での導入を見合わせている方も多いかと思います。RIMEはNeumannのヘッドホンと組み合わせて使うことで、複数のモニタースピーカーを用意せずとも、簡単かつ比較的リーズナブルに正確な音でイマーシブミックスを実現することができる画期的なプラグインです。
「創造性を解放」することを使命としてマイクロフォンのブランドとして世界中で確固たる地位を築いたNeumannですが、RIMEもまたイマーシブミックスにおける創造性を解放する、実に魅力的な製品であると感じました。
ぜひNDH 20/NDH 30ヘッドホンと、RIMEプラグインを使って、空間オーディオのはじめの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
Writer.サチュレート宮崎
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