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Neumannといえばコンデンサーマイクを中心にモニタースピーカーやヘッドホン、最近ではオーディオインターフェイスも登場し、プロフェッショナルのエンジニアなどスタジオ業務に愛用するユーザーから高い評価を受けているドイツの老舗ブランドです。サウンドクリエイターにとっては導入することが一つの目標であり憧れのブランドNeumannを、もっと身近に知ってもらい、その製品の魅力を深掘りしていこうというのがこの企画(私自身も長年憧れのブランドで、その意味でユーザーの皆さんと同じ視点で紹介できたらと思います)。
記念すべき第1回は、4インチ+1インチの2ウェイパワードモニタースピーカーながら、正確な音像定位や優れた位相感など高い評価を受けているKH 80 DSPをご紹介!KH 80 DSPはコンパクトながらもDSP搭載モデルで、アライメントマイクMA 1との組み合わせで、自宅の部屋でも環境に合わせたフラットな音響特性へと自動補正も可能にする大人気の製品です(私も1年以上に渡って、様々なエンジニアやアーティストの方々の「音を脚色することがないスピーカー」「どんなジャンルでもおすすめのスピーカー」といった意見を聞いていくうちにKHシリーズのサウンドと性能にすっかり魅了され、ついに自ら導入するに至りました)
今回はKH 80 DSPを自宅に導入する際の、基礎的なモニタースピーカーの設置方法からMA 1によるキャリブレーション方法までを、わかりやすくレビュー解説していきます!
KH 80 DSPが到着!モニタースピーカーを正しく設置
自宅のモニター環境をアップするポイントとしては、モニタースピーカーの位置と角度は正しく計測して左右揃えて、2本のスピーカーとリスニングポイントが正三角形になるように設置します。
なおかつモニタースピーカーと壁との距離はある程度開けることが望ましいです。作業する際の耳の高さとモニタースピーカーの音響中心軸を合わせます。マニュアル等に音響中心軸の記載がない場合は、ツイーターを目印に調整してみてください。
1)センターポジションを把握
2)センターからスピーカーまでの距離をメジャーで測る
センターポジションを把握したところで左右のモニタースピーカーとリスニングポイントの距離は、基本は3点が等距離で正三角形になるように設置します。
※測定の際はMA 1の向きは上向きになります。
★モニタースピーカー設置のさらに詳しい参考記事はこちら
MA 1でのキャリブレーションに立ちはだかる3つの壁!
KH 80 DSPを正しく設置したところで、次はMA 1によるキャリブレーションに入ります。MA 1は、ホームスタジオからプロのコントロールルームまで、あらゆる部屋で最高の音質を実現します。測定で得たアライメントデータはDSP搭載モニター本体に保存され処理されます。このソフトウェアでは振幅特性だけでなく、位相特性も最適化されますので、これによって音色やインパルス再現の面で最高の精度を実現します。
上の図を見ればわかるように、キャリブレーションにはオーディオインターフェイスにKH 80 DSPとMA 1を接続した上で、KH 80 DSPにはLANケーブル経由でPCのネットワークポートに接続する必要があります。それに付随して3つのミッションをクリアしなくてはなりません。
導入への試練①:MA 1のマイクポジションをバミれ!
測定の際にはMA 1を少しずつ動かして、「19cm左にマイクを移動」と言った具合に合計7ポイント実施します。ここでセンターにマイクを設置した際のリスニングポイントが把握できるよう、バミっておくと測定がやりやすいです。
導入への試練②:ソフトウェアAutomatic Monitor Alignmentのダウンロード!
次にソフトウェアをPCにダウンロードする必要があります。下記からMacかWindows、所有しているPCに合わせてダウンロードしてください。
導入への試練③:LANケーブルで繋げ!スイッチングハブが必要
最後にLANケーブルをKH 80 DSPに接続して、先ほどダウンロードしたMA 1 Automatic Monitor AlignmentにKH 80 DSPを認識させます。
先ほどの接続図に「Network Switch」とあったので、自宅のルーターに接続!背面ディップススイッチのNETWORK CONTROLも忘れずONに。
ところが・・いつまで経ってもnetwork interfaceをセレクトする画面には、Wi-FiのみでEthernetが表示されず・・(なぜ?!)
よくよくこの「Network Switch」を調べてみると、これは「スイッチングハブ」だということが判明!早速別途「スイッチングハブ」を購入して、LANケーブルを接続してみました。今度こそ・・・
ついに!KH 80 DSPがEthernetを通じてソフトウェアMA 1 Automatic Monitor Alignmentに認識されました!
ここでいよいよ最後のミッション、MA 1 Automatic Monitor Alignmentでキャリブレーションになります!
MA 1 Automatic Monitor Alignmentでキャリブレーションに挑戦!
Microphone and loud speaker positioning
ここで先ほど手間暇をかけた計測が生きてきます!2つのスピーカーとリスニングの距離が等しくなるよう(a=b=c)セッティングした距離「70cm」を入力します。
Measurement
いよいよ測定開始です。ここからスピーカーから信号音が鳴り、それをMA 1が拾って計測していきます。
Check measurement conditions
左右の信号音をMA 1が拾って計測中。この間は音も立てず窓は閉めてエアコンもオフにします。
ようやく1つ目の計測が終わりました。「次は19cm左にマイクを移動」という指示が出ます。ここで先ほどのマイクセッティングのバミりが生きてきます。
こうした指示に沿ってMA 1を少しずつ動かして、合計7ポイントにて測定を実施します。ですので最初の時点でセンターマイクの位置が把握できるよう、バミっておくと測定がやりやすいです。
今回の場合、測定位置は次のようなものでした。
1 センター
2 センターから●cm、左にマイクを移動
3 センターから●cm、右にマイクを移動
4 センターから●cm、前にマイクを移動
5 センターから●cm、後ろにマイクを移動
6 センターから●cm、上にマイクを移動
7 センターから●cm、下にマイクを移動
※●に入る数字は、一番最初の「Microphone and loud speaker positioning」で入力した、スピーカーとリスニングポイントの距離で変わります。
Result of Alignment
7箇所の測定で完了!結果が表示されます。
感想
まずリファレンスで色々なタイプの楽曲を聴き比べてみたのですが、特にK-POPなど最近の楽曲に顕著なのですが低音がスッキリ出てて聴こえやすくなったのと音の解像度が高くなって輪郭がくっきりと聴こえてくる印象です。
そして実際に音楽制作で使ってみると、自分がこれまで持っていたソフトウェア音源の解像度も上がり、意外と音が良いことに驚きました。(これまで音圧を上げたりプラグインを余計なプラグインを挿していたかも・・反省反省!)その他にも定位も補正前に比べてはっきり理解できたり、リバーブなどの伸びる音までしっかり把握できるようになったことで、より正確なミックスができるようになると思います。
私のような自宅スタジオで音楽制作をされている方も多いと思いますが、4インチ+1インチの2ウェイパワードモニタースピーカーKH 80 DSPとMA 1によるDSP補正を実施することで、本棚があったり他の家具があったりする環境でもきちんとした音楽制作が実現できます。
まずはKH 80 DSPの性能を、Rock oN店頭などで試聴してみてはいかがでしょうか。
いかがでしたか「第1章:KH 80 DSP導入&MA 1挑戦編」。これからも人気ブランドNeumann製品を、実際に使ってみて分かりやすくその魅力を解説していきたいと思います。
Writer. サチュレート宮崎
メーカーHP
NEUMANN
https://www.neumann.com/ja-jp/products/monitors/kh-80-dsp-a-g/
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記事内に掲載されている価格は 2024年9月3日 時点での価格となります。
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