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ZoomのマルチエフェクターMultiStompシリーズは、コンパクトなストンプボックス1台に多彩なエフェクトを凝縮した“マルチなストンプボックス”という製品コンセプトで、発売以来「コスパ最強エフェクターペダル」として世界中のギタリストに愛用された人気シリーズです。
昨年から発売されたMultiStompシリーズ待望の新モデル「MS-50G+」「MS-70CDR+、MS-200D+」は、いずれもマルチエフェクターの豊富な機能やサウンドはもちろん、操作性や視認性などもよりパワフルに進化!
私もこのZOOM MultiStompシリーズのユーザーで(MS-50GやMS-100BTといった製品を長年愛用)、話題の人気3製品デモ機を実際に使ってみてどのように進化したのか、その機能や魅力をご紹介していきたいと思います。
3製品共通の進化とは!?
●操作性や視認性が格段に進化!アプリによるエフェクト追加も
・ギターを演奏しながら、カーソル型フットスイッチで、操作性が格段に進化!
まず新たにカーソル型フットスイッチが4つついたことで大幅に向上した操作性と視認性が向上しました!エフェクトを探したりパッチメモリーの設定といった基本操作がかなり使いやすくなり(いちいち座り込まずとも)足元の操作が行えるようになりました。パッチメモリーなら右上、左上を押すことで切り替わり、それぞれのパッチに接続されたエフェクトも最大6エフェクトを接続順で確認可能に(パッチを選んだ瞬間に何個繋がっているのか表示されてわかるのも嬉しい進化です)
・選択中のエフェクトに応じて色が変わるLCDバックライト!
さらに3台とも現在選択されているエフェクトの種類が、色によって容易に識別できるようになりました。これはステージなどで本当に便利です。
MS-50G+:赤はドライブ、青はディレイ、オレンジはフィルターなど、エフェクトの種類に応じて7色に変化。
MS-70CDR+:コーラスは水色、ディレイは青、リバーブは緑など、エフェクトの種類に応じて6色に変化。
MS-200D+:オーバードライブは黄色、ファズは赤、ブースターは水色など、エフェクトの種類に応じて6色に変化。
・エフェクトがアプリから追加可能!
前機種MS-100BTは、アプリからエフェクトを追加できる世界初のBLUETOOTH対応ストンプボックスとして話題になりましたが、今回の新製品にもその系譜が受け継がれています。
3台ともiOS用アプリ「Handy Guitar Lab」から、追加エフェクト/プリセットパッチの入手、パッチメモリーの編集が可能です。USB接続されたスマートフォンから、エフェクトの追加、プリセットパッチの入手、パッチメモリーの編集が可能に。エフェクトライブラリを、さらに拡張することができます。アプリで操作できるというのが現代的で、若いユーザーにも使いやすいですね。
MS-50G+:専用アプリ「Handy Guitar Lab for MS-50G+(iOS版)」を利用
MS-70CDR+:専用アプリ「Handy Guitar Lab for MS-70CDR+(iOS版)」を利用
MS-200D+:専用アプリ「Handy Guitar Lab for MS-200D+(iOS版 )」を利用
3製品を使ってみた!
ここからは実際にデモ機を使ってみた印象と共にお伝えします。試奏動画ではアンプをクリーントーンにして、それぞれのエフェクターを接続してみました。
●MS-50G+ :102種類のギターエフェクトを内蔵するマルチなストンプボックス
MS-50G+は歪みから空間系、コンプレッサーやフィルター、飛び道具的なSFXまで幅広く80種類搭載されているので、基本的なエフェクトを揃えたい方にはぴったりです。
歪みもOver DriveからDistortion、FUZZまで用意されていますが、MS-50G+はコンプレッサーが搭載されているのが特徴です。ギタリストに人気の定番MXR Dyna Comp風のコンプレッサーや、お馴染みUREI 1176LNのモデリングのコンプレッサーも用意されているので、これはギタリストにとって大きなポイントですね。
そしてもう一つ大きな特徴がアンプ接続用に最適化された「マルチレイヤーIR搭載の22種類のプリアンプモデル」が収録されている点です。ここにはMarshallやFenderといった代表的なアンプが搭載されていますが、そもそもこの「IR」とは何でしょうか、詳しくわからない方のために解説します。
最後にMS-50G+プリセットパッチですが、ここには古今東西の有名ギターサウンドをコレクションしたサウンド85種類が収められています。そのままパッチメモリーを使ってギターを弾いても楽しめますが、そのサウンド設定や接続順などを参考にして自分オリジナルのサウンドを作ることも可能です。MS-50G+のパッチメモリーに最大6台同時接続できるので、エフェクトペダルボードの省スペースにもなりますし、シンプルなセッティングを実現することも可能です。
・LOOP ROLL(動画01:15〜)
フットスイッチの操作で演奏をサンプルホールドすることのできるエフェクトです。アイディア次第で効果的なプレイができそうです。
・LINE SELECTOR(動画01:23〜)
LINE SELECTORは入力された信号の出力先を次のエフェクト(ON)/OUTPUT端子(OFF)で切り替えます。押した瞬間後ろに繋いでいたエフェクトが一気にONになるので、例えばライブでバッキング時とギターソロ時に音色を切り替える(歪み+ロングディレイなど)時などに役に立ちます。ラインセレクターなどを使わずにこれだけで代用できるのはエフェクターボードの省スペースにもなって便利です。
●MS-70CDR+ :ディレイ、リバーブ等の149種類の空間系エフェクトを搭載する、新世代マルチストンプ
MS-70CDR+は空間系に限定しているとはいえ、この価格でこれだけの機能が搭載されていることに最も驚いた製品でした。
エフェクトも前期種「MS-70CDR」は86種のエフェクト(コーラス16、ディレイ26、リバーブ29) に対し、MS-70CDR+は149種類(コーラス/モジュレーション43種類、ディレイ29種類、リバーブ33種類、ダイナミクス/フィルター/SFX系エフェクト44種類を内蔵)の搭載となりましたので、かなりサウンドのバリエーションも充実が図られました。また最近話題の色々なブティックペダルをモデリングしたエフェクトが収録しているのも大きな特徴です。Strymon blueSkyのShimmerモードをモデリングした幻想的な「SHIMMER REVERB」や、Eventide Spaceのオリジナル・リバーブをモデリングした「DUAL REVERB」「TREMOLO REVERB」「MANGLED SPACE REVERB」などが収録されているのも大きな特徴です。
ディレイやピッチシフターといったエフェクトは曲に合わせた設定をしなくてはならないので、誰もが簡単に使いこなせるというわけではありません。使う側のセンスなども問われてくるエフェクターですが、うまく使いこなせば楽曲に絶大な効果をもたらしてくれるエフェクトでもありますので、個性的なサウンド作りを目指したいという方は、MS-70CDR+を駆使して取り組んでみてはいかがでしょうか。
●MS-200D+:200種類の歪みを搭載する、歪み専用の新世代マルチストンプ
今回一番試奏が楽しみだったのが、「200種類の歪みを搭載!?」とスペックを見て驚いたこちらのMS-200D+です。
23種類のブースター、60種類のオーバードライブ、51種類のディストーション、44種類のファズといった豊富なエフェクト数だけでも十分魅力的ですがMS-50G+のところでも紹介した「マルチレイヤーIR搭載の22種類のプリアンプ」も収録されていて、これらはMS-200D+では最大2つのエフェクトを同時使用可能なので、そのプリアンプ+歪みエフェクトの組み合わせで多彩なサウンド作りが可能になっています。プリアンプには定番ものからちょっとレアなブティックアンプまでありますが、実際試奏してみるとマルチレイヤーIRによるサウンドが予想以上にリアリティーと迫力のあるサウンドであったことに驚きました。このように多彩な歪みエフェクトとプリアンプをうまく組み合わせることで、自分のギターに合ったオリジナルなギターサウンドを作り出すという楽しさがMS-200D+にはあります。
また歪み以外にもNOISE GATEやEQなども搭載しているので、それらを併用して音作りができるのも魅力的です。ブースター+歪みエフェクトの組み合わせで、ライブ時のギターソロなどにも使えそうです。
●3台接続してみた!
最後、実験的に3台のエフェクターを接続してみました。それぞれの特色を活かすことでどんなサウンドが出来上がるのか取り組んでみました。
組み合わせテスト①
1176Limiter(MS-50G+) + Blooming Booster(MS-200D+) + Shimmer Reverb(MS-70CDR+)
組み合わせテスト②
POLYPHONIC OCTAVER(MS-50G+) + SLASH DEMON DISTORTION(MS-200D+) + MODULATION DELAY(MS-70CDR+)
組み合わせテスト③
AUTO WAH(MS-50G+) + ZEN O.DRIVE(MS-200D+) + SLICER(MS-70CDR+)
総評
ZOOMは優れた技術と開発力を持ちながら、ユーザー視点に立ってコストパフォーマンスに優れた製品を長年生み出し続けているところに、多くのユーザーが信頼を寄せています。3製品とも、定番のエフェクトから「よくぞこのエフェクトを!」と唸りたくなるようなちょっとマニア心をくすぐるようなブティックペダルまで、この価格で取り揃えているという点は評価されるべきポイントかと思います。
さらに進化して多彩なサウンドが存分に楽しめるMultiStompシリーズの新製品。3台とも長く愛用できる製品ですが、まずはどれか1台気になったものを試してみるのも良いかと思います(3台揃えてそれぞれ用途に合わせて使い分けるというのも効果的)
ライブやレコーディングなど様々な用途に使える「コスパ最強エフェクターペダル」として、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。
Writer.サチュレート宮崎
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