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Neumannが誇るDSPコントロールと、6.5インチウーファーによる驚異の低域性能、そして卓越した解像度を誇る、2ウェイパワードモニターKH 150。国内外で高い評価を受けているこのモニタースピーカーが、アンビエント・ミュージックの祭典「AMBIENT KYOTO」のインスタレーション作品に導入されました。
アンビエント(AMBIENT)・ミュージックとは「環境音楽」とも呼ばれ、ブライアン・イーノが提唱したとされています。メロディーや構成、リズムなどを持たずに音色や雰囲気を重視し、特定の場所や空間と一体化した雰囲気を添えることを指向した音楽です。「AMBIENT KYOTO」はアンビエントをテーマにした視聴覚芸術の展覧会で、世界的文化都市・京都で展開するアンビエント・ミュージックの祭典です。
今回はAMBIENT KYOTOでKH 150がどのように展示され、どういった経緯で導入するに至ったかを現場取材してきました。
“AMBIENT KYOTO”とは
文化都市・京都で味わう「環境音楽」体験
AMBIENT KYOTOは昨年2022年に第1回目が開催され、アンビエントの創始者であるブライアン・イーノの展覧会『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』を開催し、大成功を収めました。
それを受けて第2回目となる今年の『AMBIENT KYOTO 2023』は、坂本龍一、高谷史郎、コーネリアス、バッファロー・ドーター、山本精一といった日本が世界に誇るアーティストによる作品が出展。
また今年は展覧会だけでなく、会期中にライブも開催。ミニマル・ミュージックの巨匠テリー・ライリーが、東本願寺・能舞台で10月13日、14日と2日間ライブを開催したり、11月3日には国立京都国際会館でコーネリアス氏のライブも開催されていました。
京都中央信用金庫旧厚生センター
こちらの会場ではコーネリアスやBuffalo Daughterの楽曲が、ZAK氏による立体音響と、多彩な視覚効果でインスタレーション展示。様々な映像や照明による演出が独特の視聴覚体験を生んでいて、そのどれもが刺激的でした。
こちらの作品はコーネリアスの楽曲「TOO PURE」に合わせて、groovisons制作の映像作品が立体スクリーンに流れていました。
アコースティクギターや鳥の囀りが印象的なコーネリアスらしい楽曲。花や木々が万華鏡のように次々と変化していく映像のコラボレーションは実に見事で、神秘的であり幻想的でした。
こちらの作品にはKH 150が採用され、7.1chの立体音響で鳴り響くことで、オーガニックな心地良い空間を演出してました。
「霧中夢-Dream in the Mist-」と題したこの作品は照明だけでなく、霧による特殊演出が印象的。
タイトルどおり「霧の中の夢」にいるような不思議な感覚を味わうことに。霧だけでなく途中で激しく点滅する照明も実に効果的。
こちらの作品は最も大きな展示室に設置。コーネリアスの『QUANTUM GHOSTS』の楽曲に合わせて、360度に配置された20台のスピーカーから流される立体音響と、高田政義氏による照明演出が見事にシンクロしていました。
天井の高い空間を縦横無尽に飛び交うシンセサイザーによる電子音は実に心地よく、カラフルに点滅を続ける照明と相まって、神秘的かつ宇宙的な(映画「2001年宇宙の旅」のような)感覚を味わうことができました。
京都新聞ビル地下1階
そして新会場となる京都新聞ビル地下1階には、今年3月に亡くなった坂本龍一氏が2017年に発表したアルバム「async」の楽曲を元に、アーティスト・高谷史郎氏とのコラボレーション作品『async – immersion 2023』が展示。
印刷工場跡という広い地下空間に合わせて展開されている映像と立体音響は、60分という長さを感じさせることなく絶え間なく変化し、自然の中でいるような感覚で、見るものを圧倒させる存在感がありました。
こちらの作品でもNeumann KH 150が採用され、立体音響から流れて来る音は、場所ごとに聴こえ方が変化。天井の高いインダストリアルな空間で、大型スクリーンを眺めながら長時間聴いていると、五感で「環境音楽」を体験している感覚を味わうことができます。
深淵なテーマを持つであろうこの作品は、一言で言い表せるものではなく、聴く人に様々な印象を与えるものでした。環境問題に熱心に取り組んでいた坂本龍一氏からのメッセージのようにも感じましたし、人間が環境や地球の問題に、これからどのように取り組むかといった問題提起のようなものも含まれているように感じました。
ZAK氏・東氏インタビュー
現地ではディレクターであるZAK氏と音響設置の東氏に、AMBIENT KYOTOのインスタレーション作品の展示に、KH 150を導入した経緯についてのお話を伺うことができました。
●プロフィール
KH 150導入の経緯
Rock oN : 今回、こちらの作品にKHスピーカーを導入したきっかけは何でしょうか?
ZAK 氏 : 私が自宅で使っているスピーカーがKH 80 DSPなんですよ。Dolby Atmosのシステムを組んでいて、ここ一年くらいずっと使ってますね。印象としては高域が滑らかで違和感なくて再生した時にいい聴こえ方をしていて、アコースティックからクラシック、電子音楽のようなものまでオールマイティに使える感じがとても気にっています。
Rock oN : 普段使っているKH 80 DSPと、KH 150の音の印象に違いありますか?
ZAK 氏 : KH 150と比べても高域はそんなに変わらない印象ですね。低域の音量感は変わる感じではありますけど。
Rock oN : こちらの会場で実際に聞いてみた音の印象はどうでしたか?
ZAK 氏 : そんなに印象は変わらなかったですね。
設置に苦労した点
Rock oN : 割と横長の会場ですし、かなり苦心して設置されたのではないかと感じました。今回KH 150を設置した際に工夫したことはありましたか?
東 氏 : この場所でこの角度で接続するのは結構至難の業でして、設置する場所は決まっていたので日々継ぎ足したり角度を変えたりしましたね。
ZAK 氏 : 僕がやってきて、これは違うとか言って急に変えてみたり(笑)
東 氏 : 最終的に首が左右に触れるマウントを用意してくれて、それがとても助かりましたね。
ZAK 氏 : 建物自体こういう音楽をやるために作られたわけでは施設なので、どこまで鉄の材とか使えるかどうかわからないし、色々と調べて工夫して設置してもらった感じですね。
Rock oN : 会場ではスピーカーから音が鳴っているというより、スクリーンの映像と一緒に、自然と面で音が鳴っている印象でした。
ZAK 氏 : それはよかったです。ここに座って鑑賞しているお客さんは割と俯瞰して自然に見られるっていう感じで聴いてもらいたかったので。場所によって聴こえ方も全然変わりますし、固定されたところで聴くだけではなく、自由な位置で鑑賞してもらいたいです。
Rock oN : なるほど。場所と共に聴こえる音も変化するという体験がアンビエント的というか、インスタレーションならではの鑑賞方法でもありますね。こちらのインスタレーションをどういう風に楽しんでもらいたいですか?
ZAK 氏 : 音楽を聴いている状況で心の状態も変わると思いますので、一つの場所にとどまらず、場所の雰囲気と共に自由に楽しんでもらいたいです。
東 氏 : 場所との馴染みとかどういう鳴りがあるのかというのを考えた上で設置しているので、建物が鳴っている感じも含めて楽しんでもらえたらいいなと思います。
コーネリアス「TOO PURE」の展示にも、KH 150を導入
Rock oN : それと別会場の京都中央信用金庫旧厚生センターでもコーネリアスの楽曲とスクリーンの流麗な映像のシンクロがとても印象なインスタレーションが展示されていましたが、そちらにもKH 150を採用した理由は何かありますか?
ZAK 氏 : まずあの部屋に設置することが決まっていて、部屋が横長だし既存のフォーマットから7.1chだろうっていう感じに必然的に決まりました。
ZAK 氏 : 面が大きい映像がくるのがわかっていたので、音の解像度も必要だということで、KH 120とかKH 80 DSPだとちょっと小さいかなと。そこで映像の大きさと部屋の大きさから自然に聴こえるスピーカーということでKH 150に決まりました。
読者へのメッセージ
Rock oN : 最後に読者へのメッセージを、ぜひお願いします。
ZAK 氏 : AMBIENT KYOTOっていう名前からなんとなく難しいかなと感じがしてる方もいるかもしれませんが、来たら納得されるかなって感じがしています。見て聴いて体験したらきっとわかってくれると思いますので。
東 氏 : 割とバリエーションも多くて、それを一度に体験できるのは貴重だと思いますので、自分でもこういうのを作ってみたいと思う人とかも生まれると思いますし、いい刺激にもなると思いますよ。
ZAK 氏 : 言葉で説明するのは非常に難しいですけど、特定の目的があって最終ゴールを作ろうっていうものではないので、単純に楽しいなあって思ってくれても嬉しいです。それこそカジュアルにビールでも飲みながら楽しんでもらいたいなって思います。
2023年12月24日(日)までの会期で実施していた「AMBIENT KYOTO 2023」は好評につき、会期を1週間延長し、12月31日(日)までの開催が決定!
皆さんもぜひ足を運んで、最新のインスタレーション展示によるアンビエントな空間を体験してみてはいかがでしょうか。
★詳細はこちら
Ambient Kyoto
https://ambientkyoto.com/
メーカーHP
NEUMANN
https://www.neumann.com/ja-jp/products/monitors/kh-150/
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記事内に掲載されている価格は 2023年12月29日 時点での価格となります。
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