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04
Feb.2026
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サウンドエンジニア 遠藤淳也氏が語る / AIアンプ「BIAS X」で探る“打ち込みギター”のリアルさ

近年、トラックメイカーやビートメイカーが、ギターを打ち込みで取り入れるケースが増えています。ただし、ピッキングやミュート、アンプの挙動、弦の共鳴といったギター特有の仕組みを知らないまま音作りをすると、一見それらしく聴こえても、実際には“ありえない”ギターサウンドになってしまうことも少なくありません。

そこで今回は、「AIはどこまでギターのリアルさに迫り、その違和感を補正できるのか?」という視点から、ギタリストでもあるサウンドエンジニア・遠藤淳也氏にBIAS Xを実際に使用していただき、その率直な感想を伺いました。

遠藤 淳也
Recording Engineer

95年からスタジオグリーンバードでエンジニアとしてのキャリアをスタート。HIP HOP/R&B等のダンスミュージック系のプロダクツを中心に頭角を現し、現在ではBAND、POPS、ゲーム等の劇伴とジャンルを問わず活躍の場を広げている。

‘02年にはフリーになり、’06年には自身を中心とするクリエーター集団、「Plick Pluck」を設立、’10年にはホームスタジオとなる「STUDIO QUEST」を設立し、活躍の場を広げ、後進の育成にも力を注いでいる。

https://www.plick-pluck.co.jp/creator_staff/endo/

自身もメンバーとして活動中のシネマティックシンセポッププロジェクト、NoIDのシングル、「スプリンクラー」「スプリンクラー_Afterglow Remix」の2作品が配信中

NoID Instagram
https://www.instagram.com/noid.2025/

Q1. 「打ち込み特有の平坦さ」に対する、AIアンプ挙動の反応について

遠藤氏 :
最近は、「打ち込みっぽいギターで困る」という場面はほとんどなくなりました。昔は「これ、ギターに聴こえないよね」というケースが普通にありましたが、今はかなり減ったと思います。周りで一緒に仕事をしている人たちのレベルが上がっているのも大きいですし、弾ける人に最初から頼む流れができているのも理由のひとつですね。それに、スプライスのようなライブラリーが充実したことで、フレーズ自体がギターとして成立している素材を使えるようになりました。

打ち込みでも弦の出だしを少しずらすなど、自然に聴かせる工夫がされていることも多いです。音色単体では違和感があってもオケに入ると成立してしまうことがほとんどで、現場で問題になることは本当に少なくなりました。

Q2. ギターを知らない人が作る「ありえない設定」の補正力について

遠藤氏 :
これも、昔と今ではかなり状況が違います。ノンギタリストが作った素材で、ゲインやEQが極端におかしい、というケースは最近ほとんど見かけません。

以前は、設定以前にフレーズそのものに違和感があることが多く、音を直しても根本的な違和感が残っていました。今はフレーズ集や各種ライブラリが充実しているので、そもそも極端におかしな状態からスタートすることが少なくなっています。やはり、ソフトウェアと情報環境の進化は大きいですね。

Q3. 「空気感」と「弦の共鳴」の再現性(3Dキャビネット)について

遠藤氏 :
空気感については、正直まだ少しデッドだなとは感じています。IRや3Dキャビネットモデリングを使っても、「アンプの前で鳴っている空気感」をそのまま感じるところまでは来ていない印象です。ただ、これはBIAS Xが悪いというより、僕がエンジニアとしてマイクを通した音で判断している、という前提の違いもあります。そう考えると、マイク収音を想定した音としては、かなりよくできていると思います。

爆音で鳴らしたときの臨場感は、耳だけでなく振動や空気を体で感じるものなので、それを「耳で聴く音」に限定した時点で差はかなり詰まっている。
個人的には、コンボアンプの裏マイクを再現するようなモードがあれば、さらに立体感が出て面白いと思います。

Q4. ジャンルを超えた「音の説得力」について

遠藤氏 :
ジャンル理解に関しては、まだ伸びしろが大きいと感じています。それっぽい音は返ってきますが、思っていたものと違うこともあり、結局はプロンプト次第な部分が大きいですね。エディ・ヴァン・ヘイレンや「ブラウンサウンド」「78年」といったワードを入れると、それなりに寄ってくる感触はありました。有名どころは学習量も多い分、精度が上がりやすいのだと思います。

ただ、「クリーンギターがあれば何にでもなる」という考え方には、ギタリストとしては少し違和感があります。ピッキングの強さでアンプの反応も音の聴こえ方も変わりますし、アンプの前で弾くタッチとラインで弾くタッチはやはり別物です。そこまで含めて学習していけば、今後さらに進化していく期待はあります。

Q5. エンジニアから見た「トラックメイカーへのアドバイス」

遠藤氏 :
打ち込みでBIAS Xを使うなら、いちばん意識してほしいのはベロシティです。ここは、しっかりこだわっていいと思います。プロのギタリストは、クリーン指定でも少しクランチした設定にして、弱く弾いてクリーンに聴かせることが多い。一瞬だけ強くピッキングして歪ませ、アクセントを作る。そうしたタッチが無意識に入っています。

ベロシティを作り込むことで、BIAS Xのアンプモデリングが反応し、クランチやコンプレッションが自然に出てくる。ノートの長さやミュート以前に、「タッチ」をどれだけ入力に込められるかが、人間が意識すべきポイントだと思います。

Q6. 最後に、BIAS Xを使ってみた感想

遠藤氏 :
率直に言うと、楽しいおもちゃをもらったな、という印象です。プリセットを探し続けるより、プロンプトを入れて方向性を作り、そこから詰めていく方がずっと楽ですね。

これからギターを始める人にとっては、かなり気楽なツールだと思います。一方で、そのまま学習に使うと、本物からズレてしまう可能性もある。ただ、それも含めてまだ進化の途中段階ですし、今でこれなら、半年後にはかなり変わっているんじゃないかなと思います。

●製品情報

Positive Grid BIAS X
AI搭載 ギター・トーン・クリエイション・ソフトウェア&プラグイン
KH750DSP

世界初のAI搭載ギタートーン作成プラットフォーム「BIAS X」。Agentic AIによって生成されるプロレベルのトーンは、音の反応に優れた、リアルで柔軟性の高いアンプ、エフェクト、キャビネットのサウンドを再生します。デスクトップ版アプリケーションと、主要なDAWすべてに対応したプラグインです。

Positive Grid
BIAS X
¥25,300
本体価格:¥23,000
0ポイント還元

こちらもご覧ください

記事内に掲載されている価格は 2026年2月4日 時点での価格となります。

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