あなたの楽曲制作にヒントをもたらす数々のノウハウ記事に加え、膨大な動画コンテンツは制作トレンド&Tipsの集大成!
これまで多くのエンジニアやアーティストに、NeumannのモニタースピーカーKHシリーズの印象を伺って来ましたが、今回は新潟県を中心に活動しているレコーディング&ミキシングエンジニア・井上 一郎氏に、自社スタジオに導入したというKH 150の音の印象や使い勝手などをインタビュー取材しました。
かつては名門スタジオ・テイクワンに所属しエンジニアとして長いキャリアを持つ井上氏。KH 150についてどのような印象を持ったのでしょうか。お話を伺ってきました。
●エンジニア紹介
株式会社エヌトライブ代表取締役。レコーディング&ミキシングエンジニア。
エヌトライブ創業以降は音楽制作、CMソングやSoundLogo制作、MA等音に関わることは何でも積極的に取り組んでいる。
1987年、Studio TAKEONEに入社。1992年、坂元 達也氏が結成したエンジニア集団(DEEP)に参加。
2006年、地元新潟県の育成企業として認定を受け株式会社エヌトライブ創業。
レコーディング&ミキシングエンジニアとしては吉川 晃司、The Yellow Monkey、THE MODS、TM Revolution、Jun Sky Walkers、岡村 靖幸、及川 光博、カルメン・マキ、やしきたかじん、Hilcrhyme、Negicco 、RYUTist 、Weldon Kekauoha等、他多数のレコーディングセッションに参加。
他にも武道館等各ホールやドーム等各スタジアムや野外ライブ&フェスレコーディングも手がける。
★自身のエンジニア活動30周年を記念して地元のアーティストら57名と作った「Yes I Do」好評リリース中
モニタースピーカーに求めるもの
Rock oN : 井上さんがモニタースピーカーに求めるものは何ですか?
井上 氏 : モニタースピーカーといえば私が最初にテイクワンスタジオに入った時はラージスピーカーがあって、SSLとかNEVEの卓の上にAuratoneがあったりする時代でした。当時はYAMAHAのNS-10Mもよく置いてありましたが、エンジニアさんによっては元気がよすぎるのを抑えるためにツイーター部分にティッシュを貼る方もいました。
その中でも私が気に入って使っていたのはGENELEC 1031です。1031が出た時はセンセーショナルで、特にNS-10Mだと再現しきれない低音を再現できる点が良かったです。テイクワンスタジオを辞めた後にフリーランスとなり、坂元達也さんというエンジニアが結成したマネジメントオフィスに加わりましたが、その時はホームスタジオがない状態だったので、1031をスタジオに持ち歩いて四半世紀近く使ってましたね。
KH 150の印象は・・・
Rock oN : 今回KH 150からの音を最初に聴いた時の印象を自由にお聞かせください。
井上 氏 : 実は初めてNeumannのモニタースピーカー試聴させて頂いたのはRock oNさんのお店だったんです。
Rock oN : それはありがとうございます!
井上 氏 :最初は使い慣れているGENELECの新製品を試聴しようかなと思ってお店に行ったんですが、色々なスピーカーを聴き比べていく中で、KH 150を聴いた時に自分が求めているナチュラルさを感じました。
Rock oN :ナチュラルというのは具体的にはどんな印象なのでしょう?
井上 氏 : スピーカーのキャラクターに左右されない自然な魅力というのを感じました。作家さんが好むようなマキシマイズされたボリューム感というのはないけれど、そこがエンジニア向きな音だったという感覚ですね。それとKH 150から出てくる低域のスピード感がすごく自分の好みだったのが良かったです。
スタジオでクライアントと一緒に最終ミックスをチェックする機会も多いので、サイズ的にもKH 80 DSPよりはKH 150がベストだと感じました。
Rock oN : KH 150にはMA 1を使ったDSPによるモニター補正機能もありますが、それについてはご存知でしたか?
井上 氏 : 実は今回の購入機種には、DSP補正機能を持っているスピーカー前提で探していました。というのも私のミックスで使っているスタジオの部屋がそこまで広くないので、新しいスピーカー購入にあたってはDSP補正が絶対必要だなと感じていたんです。実際にMA 1の測定には松浦晃久さんという作家さんと2人で一緒に追い込んでやってみました。細かい差まで突き詰めて時間をかけて追い込んで行ったのですが、それで得られた結果も大変良かったですね。
KH 150は私の周りでも評判が良くて、この間も新潟県内の音楽専門学校にを持っていたところ、講師の先生方にも非常に評判が良かったので、そちらでも導入することが決まりました。
サブウーファーKH 750 DSPも導入してみて
Rock oN : 今回サブウーファーのKH 750 DSPも導入されたとのことですが、使ってみた印象をお聞かせください。
井上 氏 : KH 750 DSPは特にどこかで試聴した訳でもなく、同じNeumannだから相性いいだろうなと思って後から追加で導入しました。予想通りKH 150との相性も良くて、いつもの音量より少し下げたくらいでも十分ミックスに使えますね。
Rock oN : KH 750 DSPもMA 1のアライメント測定はされたのですか?
井上 氏 : はい、補正の結果がすごく自然な形でマッチングしている印象ですね。今はKH 750 DSPの置き場所をどこにするかを考えています。センターがベストポジションなんですが、クライアントが来た時に聴く場所によって色々な感想が出てくるので、まだまだ追い込んでいけると感じています。
KH 150はこんなユーザーにおすすめ!
Rock oN : 最後に今回のKH 150をどんなユーザーにおすすめしますか?
井上 氏 : モニター環境がそれほど良くなくて何らかの制限がある方は、DSP補正を使わない選択肢はないんじゃないでしょうか。位相特性や定位感も素晴らしいし、ウーファーとツイーターの各帯域の繋ぎ目も自然だと感じました。昔はそれこそオシロスコープにホワイトノイズを流して調整をしてたんですが、MA 1ひとつできるようになったのは本当に便利です。当時の手間暇を考えれば今は本当に夢のような時代になったと感じます。
関連記事
Neumann KH 150 in AMBIENT KYOTO ーエンジニア・ZAK氏が語る、Neumann KH 150の魅力ー
記事内に掲載されている価格は 2024年10月17日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ