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Neumann初のオーディオインターフェイスということで、昨年の発売以来、話題沸騰中のMT 48。
スイスのメーカーMerging Technologiesとの緊密な連携の上に開発され、136dBのダイナミックレンジで動作する高精度ADコンバーターを持ち、最大78dBゲインを備えた2系統の超低ノイズのマイク/ラインプリアンプや4系統の独立したモニターミックスなども搭載、タッチスクリーンによるユーザーインターフェイスの利便性も高い評価を受けています。
これまで何度かRock oNでも特集記事で紹介してきましたが、今回はアレンジャー・サウンドプロデューサー鈴木Daichi秀行氏と、現役レコーディングエンジニアとして活躍する加納 洋一郎氏に、MT 48を実際に使ってみた感想を伺ってみました。
数々のオーディオ・インターフェイスにも精通されたお二人は、MT 48にどのような印象を持ったのでしょうか。
●プロフィール
Music Producer/ Mixing ,Recording Engineer
株式会社Mixer’s Lab チーフEngineer歴任後、独立。現在はフリーランスとして活動中。
Bandサウンド、Vocalもの作品を得意としており、生きた声、楽器の音色は数多くのLiveレコーディング、劇伴、大編成録音からの経験も生かされている。近年はドラマ、映画、アニメの劇伴製作が増え、映像に寄り添った音作りに定評がある。
Sound&Recording Magazine で3年間にわたるサラウンド記事連載、専門誌などへの執筆活動をこなす一方、専門学校HALで特別講師 としても現場で培った知識や経験を学生に伝えている。株式会社ワイルドオレンジアーティスツにて音楽プロデューサーや作家マネージメントとしても活動中。
オーディオインターフェイスについて
Rock oN : 最近はどういったオーディオインターフェイスをお使いになりましたか?
鈴木 DAICHI氏(以下、鈴木 氏) : 僕は用途に合わせて使い分けてて2つシステムがあります。一つが打ち込みでwindowsのCUBASEを使うときにシンセをいっぱい繋いているのでOrion 32(Antelope Audio)、Pro Toolsの方はMTRXを使ってますね。外部に持ち出し用でSSL2(Solid State Logic)とか、M4(MOTU)とかを使ってます。
外部でレコーディングするためにUAD Apollo x8p(Universal Audio)もあります。機種は音質基準で選んでいて、色付けはアウトボードなどでしていくので音にキャラクターがない方がいいですね。
加納 洋一郎 氏(以下、加納 氏) : 僕はRME Fireface UFXですね。僕は自宅で個人の作業場なので、なるべく小さい形でヘッドホンを接続してスピーカーを切り替えたりできればという環境で、いろいろ聴いた中でRME Fireface UFXがいいなと思って使ってます。カラッとしていて色付けがあまりない点が気に入っています。
Rock oN : 音質以外でオーディオインターフェイスを選ぶとなるとどんな要素でしょう?
鈴木 氏 : 一番は安定しているかってことですかね。作りたい時にトラブルと嫌なので。RMEとかもドライバーは安定しているし人気があるのもそれが大きな理由だと思いますよ。音質も大事ですけどドライバーの安定度は大きいですよね。
加納 氏 : 値段とか解像度とか、プライオリティーが人によってそれぞれだったりするじゃないですか。あとはモニターセレクターとして使うとかデスクトップなのか持ち運んで使うかとか、自分がやりたいことがどれだけで着るかも大事なところですね。
鈴木 氏 : エンジニアの方だとリファレンスって要素があるけど、クリエイターは楽しく作業できるかとか、音も根本のところから何でも作ることができるっていうもあるかもしれないです。Apolloとかかなり濃いキャラクターですけど、UAD-2が録りで使えるというのも大きいですから。
MT 48のファーストインプレッションは
Rock oN : MT 48の第一印象はどのようなものでしたか?
鈴木 氏 : 製品の外観を見て音を聴いてみたいなって気になっていましたね。NeumannのマイクプリアンプV 402を持っているので、U 87などの印象もあるから、リファレンスになるようなものを作るんだろうなと思っていました。もっと大きいサイズなのかなと思っていたのですが、実機を見たら割とコンパクトだなって。
加納 氏 : 私もパッと見で小さいなっていうのが第一印象でした。機能面もそうですが、大きさというところも売りになってますよね。机の上にこれが置けるっていう利便性は高いですよね。この大きさだからどこへでも持ち運びができるし、昨今モバイルとか移動して同じ環境を作りたいって考える人も多いと思うので、ケースに入れて簡単に持ち運べるなって思います。
Rock oN : 実際触ってみた印象はどのようなものでしたか?
加納 氏 : デジタルとアナログのいいとこ取りっていう印象を受けました。やはり多機能なのがすごいなということと、マニュアルを読まなくても簡単に使える感じでした。
鈴木 氏 : ルーティングとか階層に分かれていたりとかしますけど、リバーブの設定とかも簡単な感じでセンドとかバスとかではなくクリエイターの方で自宅にボーカリスト呼んで録音するときにも便利そうだなと思います。スピーカーの切り替えもモニターしながら変えられるし、ヘッドホンも2系統あってボーカリストとエンジニアとそれぞれバランス変えられたりできるのがいいですよね。ブラウザで遠隔でコントロールできるのもこれだと本当便利に使えそう。
マイクプリもクセもなく、基準として使うのはいいんじゃないかなと思いました。マイクも歌う人に合わせて変えることもできますし、色付けがない分、マイクの特性もわかるのはいいですね。
加納 氏 : オーディオインターフェイスだけでなくアナログミキサーとかマイクプリアンプとかモニターコントローラー、リバーブなど、全部がこれに集約されていて余分なものを買い揃えなくてもいいのがいいですね。あと液晶だけでなくブラウザ上でも設定画面が見られるのも便利だなと思いました。
Neumannというブランドの安定感はMT 48にもありますから、値段の中に安心感も含まれているんじゃないですかね。マイクプリアンプやモニタースピーカーも最近評価が高いですし、マイク以外の製品でも責めてきた感じはしましたね。
MT 48の音質について
Rock oN : MT 48の音質についてはどのような印象でしたか?
鈴木 氏 : 音に強烈なキャラクターがつくわけでもない音質かなと思います。悪くないというか、そのままでも十分使える音色ですよね。
加納 氏 : 音質ですけど僕はマイクプリアンプに関しては、個人的には及第点かなって思いました。他の機種と比べて聴いてみたとき、昨今のパリッと明るいサウンドではない印象で、でもこれはNeumannが目指している癖を取り除いたスタンダードな音なのかなとも思いました。
加納 氏 : 気になったのはDAコンバーターのパターンがいくつか音質があるので、それはなぜ必要だったのかなって思いました。それで結構レンジが変わるんですよね。
鈴木 氏 : それは僕も思いました。セッティングのアウトプットのモードでDAコンバーターのキャラクターが選べるんですよね。デフォルトだと【SHARP】になってるんですけど、ちょっとヌルっとしているというか、迫力が足りない感じがするんですよね。ここを変えると結構音が変わって、【APODIZING】にすると今時の音になるんですよね。
加納 氏 : レンジの幅が変わるので、ローも出てくるようになるんですよね。
鈴木 氏 : 最初聞いた時にあれっと思うんですけど、ここで変わるんですよね。マニュアル読むとDAコンバーターのフィルターのバリエーションみたいですけど。それによってレイテンシーも変わるみたいです。音の印象がだいぶ変わるので、ここは最初に解説をしていた方がいいかなと感じましたね。
こんな方におすすめ!
Rock oN : 最後にMT 48をどういう方におすすめしますか?
鈴木 氏 : 30万という値段もあるし、そこそこ音楽制作をやっている方かなと思います。簡単な機能でちゃんとした製品ってないといえばないので。スタジオに持ち込んで作業するときも面倒臭くならないサイズ感ですしね。
加納 氏 : 機能的にもワンステップ上げたいって方向けかなと。余計なものを持って行かずにこれ一台で全部入ってますから、そう言った利便性も含めてこの価格なんでしょうね。
鈴木 氏 : 宅録でボーカリストがスタジオや部屋に来てレコーディングするというパターンも多いと思うので、そういう方にはこれだけあればほぼできてしまうので、かなり便利かなと思います。
ルーティングの設定が複雑な機種もあったりしますけど。それぞれのモニターの音量を調整できるのは利便性が高いですしね。ドライバー周りでトラブルが起きることも多いからそういうのもいらないっていうのは安定して使えますね。
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