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様々なテーマで音楽制作のノウハウをお伝えしていますが、最近DTMを始めたという初心者の方にとっては、まだまだわからないことや解決できないことも多いのではないでしょうか。
案外人に聞くのは恥ずかしい、そういうことも多いかと思います。
そこで音楽制作をしてクリエイターをお招きし、現実的に直面している悩みやさらなるステップアップに向けての課題について、率直にお答えしていこうというものです!
今回でいよいよ完結!シンセ音源編第3弾をお送りします!
●前回までの記事はこちら
第2回 私に足りない音源って何ですか?[シンセ音源編その2]
記事はこちら
第1回 私に足りない音源って何ですか?[シンセ音源編その1]
記事はこちら
MR.スケール(以下スケール):では今回もまたリモートでさっそく始めていきましょう、今回も相談者はこのクリエイターです。
文 愛実(以下ムンさん):文 愛実(むん えしる)です。今回で完結ということで、気合が入ってますよ。むん!
サブアシスタント・さぶ(以下さぶ):もうすっかり小慣れてきた感じですか?
ムンさん:いえ、まだ緊張します。けれど毎回楽しみに読んでくれている方もいて、嬉しいです!
スケール:今回も全国のクリエイターが参考になるような、充実した内容でお届けしましょう!
プリセットもなく音色も保存できない!?そのメリットは・・・
ムンさん:今回は音源の中で、ハードウェアのシンセについてお聞きしたいのですが、正直ソフトウェアの音源だけでいつも曲作りをしていて、鍵盤MIDIコントローラーしか持っていないんです。なかなか買うきっかけもなくこれまで来たんですが、ハードウェアシンセってどういう目的で選んでたりするんでしょうか?
さぶ:やはり来ましたね、こういう質問が。これも時代の流れですね。
スケール:いいんです、それが若い人の本音でしょう。たしかにハードウェアシンセは重いし場所も取るし、ソフト音源より高価な製品も多い。ですがハードウェア音源を使うことはそれなりにメリットもあります。
●アナログ・シンセサイザーの音の特性って?
スケール:ではまずハードウェアのシンセサイザーの中でもアナログとデジタルに分かれますが、まずアナログの方から話をすると、アナログ・シンセサイザーの音には独特の『電気のかたまり感とキレの良さ』があります。
構造的なことで説明すると、ソフトウェア音源は鍵盤を弾いた瞬間に計算が始まって音を出していますが、それに対してアナログシンセは電源を入れた瞬間から音が出ていて、VCAというボリューム機能で音を絞っているだけなんです。だから鍵盤を押すと一気に門が開く感じで音のアタック部分にパワーがあって、鍵盤を離した瞬間に音が消える、それが音のキレの良さを生んでいるんです。
ムンさん:そんな秘密があったんですね!
スケール:ぜひアナログシンセの代表的なSAWとSQUARE波形をお聴き下さい。Behringer Model Dでディケイノブをだんだんと上げていくサウンドで、アタック0の時のパチパチ音もアナログシンセによく見られる独特のサウンドです。
ムン:たしかに音に圧がありますね!
スケール:さらにアナログシンセではソフトウェア音源で薄くなりがちな音の中心を感じることができるので、ソフトウェア音源を使っているオケにまぜても埋もれることがありません。これはアナログ回路の歪みによる倍音や、回路そのものが発しているノイズ成分に由来しています。極端な例だとソフトシンセが水彩画やアクリル絵の具だとしたら、アナログシンセは油絵の様な密度で表現する事ができるのです。とにかく雑味成分、ノイズが非常に重要なのです。
さぶ:今でもミュージシャンにビンテージなアナログシンセを使い続けるのも、そういったギターやドラムに負けない音の存在感が貴重だからでやんすかね。
スケール:音が太いというのもピンとこないかもしれませんが、楽器店などで実機のアナログ・シンセサイザーの音を試しに聞いてほしいですね。ソフトウェアで再現した音やデジタルで作ったバーチャルアナログシンセとは違う良さを体感できるはずです。
もちろんソフトウェア音源はウェーブテーブルやFM音源といった複雑な波形やいくつもオシレータを重ねたりすることで多彩な音色を簡単に作れるのが魅力です。それぞれの特性に合わせて曲作りに取り込めるようになるのがベターだと思いますよ。
ムンさん:確かにアナログ音源が一台あると、リードやシンセベースに使えて良さそうですね!
さぶ:他にも色々使えるでやんすよ!あっしはほとんどSEで活躍しているでやんす!
●プリセットもなく音色も保存できない・・そのメリットは?!
ムンさん:あとアナログシンセだと音色が保存できなかったりプリセットもついてないと聞いて、果たしてお値段以上に使いこなせるかと不安なんです。
スケール:たしかに最近クローンで人気があるBehringer Model DやPro-1なんかはアナログシンセサイザーですが、プリセットがなかったりしますね。
さぶ:MOOGのGrandmotherなんかでもそうですね、作った音色を保存することはできません。
ムンさん:はい、失礼ですがちょっと想像がつきません。メモリーも出来ないとなると毎回作り直すのかなって。
スケール:音を保存できないなんて何て不便なんだ!とお思いかもしれません。例えばシンセベースの音が作ったあとシンセリードに切り替えたい!となったら自分でいじって設定を変えるしかありません。たしかにそれは不便かもしれませんが、ここできちんと音作りを勉強すれば、自分のイメージする音を無限に作ることができるようになるということです。シンセサイザーが『自分のイメージする音を合成して作る機材』という意味では、オリジナルの自分だけの音が作ることができるのは、醍醐味だと考えてほしいですね。
さぶ:エレキギターの音色が一人一人、セッティングやアンプの組み合わせで違うのと似てるでやんすね。段々と自分イメージしていく音が出せていくという点では楽器に近い気が。
ムンさん:なるほど!制約があることで人を成長できるんですね!たしかに私の専門学校時代の先生や作曲の師匠もおっしゃってましたが、昔はそんなにたくさんシンセは買えなかったので、本当に一台を壊れるくらい使ったらしいので、いまだに愛着が深いんだそうです。一つのシンセをとことん突き詰めれば、知識や経験も増えるでしょうし愛着も湧くでしょうしね。
さぶ:使い込むということで音色は頭と指に保存できるようになるってことでやんすね。あっしも最初に買ったハードシンセは使い倒したから思い出深いでやんすね〜〜。しかしさっき話に出たBehringer Model Dみたいに、かつて名機と呼ばれたハードウェアがクローンで復刻されているのってテンション上がりませんか?しかもこんな手に届くプライスで・・・昔はやっぱりアナログシンセって高かったでやんすよね。
スケール:本当に!今は昔じゃ考えられない便利な時代です。こうした復刻したハードウェアシンセで音楽制作することで得られることは多いと思います。MOOGは何と言ってもシンセ楽器の原点ですから。
初心者におすすめのポリフォニックシンセは!?
さぶ:ミスター!先ほどからモノフォニックでプリセットがないアナログ・シンセサイザーの機種ばかりではないですよね。もうちょっと普通にプリセットがあって音色メモリーもできて、ポリフォニック(複音)対応の機種だと、どんなものが初心者の方にはオススメですか?
スケール:最近だとKORG Minilogue XDなんかがおすすめです。これの大きな特徴は4音ポリフォニックで、アナログだけでなくデジタル・マルチ・エンジンも搭載されているんです。アナログとは違うサウンドの特色を活かして金属的な音を作ったりノイズを加えたり、アナログとデジタルを混ぜたハイブリッドな音作りができるんです!
さぶ:あっしも持ってるでやんすよ。幅広いサウンドのバリエーションを楽しめるシンセでやんすよね、一粒で2度美味しいというか。ステップシーケンサーやアルペジエイターもついているので3度か4度くらい美味しいかも・・
ムンさん:幅広く使えるのは、いいですね!
さぶ:あっし的にはオシロスコープがついてて、これがテンション上がるでやんす!視覚的に波形が映り出して音を揺らしたり様々な効果が目で見てわかるのは勉強になるでやんすよ。
ムンさん:単純にライブや動画配信でもハードウェアってばえますよね。部屋にあるとカッコいいかも!
スケール:たしかに制作のモチベーションが上がるというのも大事な要素です。PCでひたすらDAWに向かって作るのもよいですが、隙間の時間で遊び感覚でハードウェアに触れてみるところからふっと曲のインスプレーションが湧いてくる時がありますから。
さぶ:あっしなんてほぼそういう感じでガジェットというか、ゲーム感覚で曲を作ってますよ。
スケール:さぶよ、お前は人生そのものがガジェットみたいなものだからな。
さぶ:ひぃぃぃぃ!!
鍵盤だけがシンセじゃない?
さぶ:そういやちょっと話がそれますが、この間AKAI Professionalがスピーカーを内蔵したウインド・シンセサイザーEWI Soloを出したんですよ。昔F-1のテーマソングでT-Squareが流行りましたから懐かしい感じがしますけど、逆に今の時代新鮮かなって。値段も手頃でヘッドホンが付いてて夜中でも練習できるし。
ムンさん:はい、ウインドシンセはサックスをやっている私としてはとても惹かれます!ああいうのでサックスだけでなく他の吹奏楽器や、ソフト音源のMIDI入力もできれば便利だろうなって思います。
さぶ:できるみたいですよ。USB-MIDI端子も付いてて、内蔵音源だけでなくソフトウェア音源も鳴らせるみたいです。
ムンさん:ちょ・・ホントですか!?それはまじ神です!
スケール:それは便利でいいですね。前回も話しましたが楽器演奏ができることは音楽制作をしていく上で相当なプラスになるので、そうした経験を活かせるハードウェア機材を導入することは相当メリットがあります。シンセというかMIDIコントローラーというと鍵盤が主流ですが、今後はそれだけでなく色んなタイプのものが出てくる気がします。
スケール:ウインドシンセなら私的にはRolandのAerophone AE-10もコンパクトでオススメです。これでソフトウェア音源のSample Modering SWAMのサックスを吹いたのを聞いたことがあるのですが、とてもリアルで驚きましたよ。
ムンさん:でも私、普段はバリトン・サックスなので大きいのには慣れてる方なんです。でもどちらも楽しそうで迷いますね。
さぶ:サックスでシンセリードを吹くってカッコいいじゃないですか!価格も今までのウインドシンセと比べてだいぶ手頃になってきていいかもですね。DAW女改めEWI女(イウィじょ)!これは来るでやんすよ!
ムンさん:EWI女!なんか新鮮な響きですね!
スケール:・・・まあサブがき隊よりは流行りそうだね。
さぶ:ひぃぃぃぃ!!
感想:3回の出演を終えて
ムンさん:3回に渡って色々ありがとうございました!役立つ話が多くて、つい興奮して何度かポチってしまいました。
さぶ:最近は値段が安くて使い勝手のいいハードウェアシンセも増えて来ているので、そういうものから触れてみるのが良いかと思うでやんす!
スケール:夜が明けない朝はありません。たしかにソフトウェア音源は便利で気軽に買い揃えられますが1台くらいハードウェアの音源があった方が、音作りの幅が広がったり、違ったインスピレーションが生まれたりとプラスになると思います。両方の良いところを取り入れてみるといいでしょう。
ムンさん:ちょっと寂しいですが、また何かあったら相談しに来たいです。教えてもらったことを胸にまた今日から頑張ります。むん!
さぶ:ぜひいつでも!
スケール:更なる飛躍を期待します!
スケール:ムンさん、最後に言い残したことはないの?
ムンさん:実は最近・・TVアニメのキャラソン制作に関わらせて頂きました!
スケール:なんと!地上波のアニメ!?
さぶ:ちょっと!キャラソンなんていつの間に!?あっしより先にそんな快挙を・・・
ムンさん:アニメのDVDに特典として収録されるキャラクターソング「とびっきり☆キラリ」という曲の作詞をさせて頂きまして、そのDVDが2020年9月16日に発売しました!
スケール:なんといういいタイミングで!でもこれは嬉しいですね。おめでとうございます。
ムンさん:ありがとうございます!こちらがそのキャラソンのPVです。
PVはこちらさぶ:・・・あっしは今このDVD、ポチりました。秒で反射的に。いや、ちょうどキャラソンの勉強がしたかったでやんすよ、それだけでやんすよ!
スケール:え〜コホン、ワタクシも以前から最近の若者の流行(トレンド)を知りたいと思っていたので、ムンさんの曲も聞きたいしこちら買わせてもらいます。
ムンさん:ありがとうございます!皆さんもよろしくお願いします!
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記事内に掲載されている価格は 2020年9月11日 時点での価格となります。
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