蘇る伝説。 日本が誇るスピーカーブランドFOSTEXのニアフィールドモニタースピーカーNFシリーズの最新作 NF01Rが好評発売中です。不定期連載の『FOSTEX NF01R Revew ~ meets ~』では、プロのクリエイターがNF01Rを使ってその本音をレビューします。モニタースピーカーへのこだわりや業務のワークフローまで伺います。
記念すべき第一弾は、株式会社サムライ・エンタテインメントを主催する岡野’オカシン’慎一 氏。CHIHIRO(チヒロ)、8utterfly(バタフライ)、Fio(フィオ)などのアーティストを排出したサウンドプロデューサー/エンジニアの彼の耳にNF01Rの音はどう届いたのでしょうか。岡野’オカシン’慎一 氏のプライベートスタジオstudio marigoldで伺ってきました。
1. YAMAHA NS-10M studio (Power Amp : YAMAHA PC-2002)
2. Focal Trio 6 Be
3. Focal CMS40
以上の3ペアをCrane Song Avocetで切り替えて使用しています。NS-10Mには Focal CMS Subを繋げていて、手元のスイッチでオンオフできるようになっています。このスイッチはTrio 6 Beにも繋がっていてTrio 6 Be使用時は3way/2wayを切り替えます。
その他に、Audio I/Fの別アウトからAuratone 5Cに接続。AvocetとはRMEのTotal Mixで切り替えます。
それと10年くらい前のSONYのVAIOに付属してたスピーカーも使用してます。このVAIOのスピーカーは知人の家に遊びに行った時にすごく「曲が分かりやすく」鳴ってたので、オークションで探して入手しました。皆さんも外出先のレストランなどで、スピーカーがいい鳴り方をしてるな~、と感じる瞬間があったりしませんか?そういう時には機種を調べて、可能なら入手してみることをオススメします。モニター・スピーカーでは気づけないmixの欠点を見つけてくれることがあったりするし、何より楽しいですからね~! つくづくスピーカーは奥が深いです。
ここのstudioは、studioと名乗ってるだけの(笑)普通の住宅なので、自作のディフューザーをいたるところに設置したりYAMAHAの調音パネルACP-2を5枚設置したりと常に試行錯誤しています。それでも完璧な音響にはなりませんので、IK Multimedia ARC2を使って、補正した状態でもmixを確認します。
よく音の入口と出口が重要と言われますが、本当にその通りだと思います。特に出口であるモニター・スピーカーは、自分の活動では間違いなく最重要項目です。さらに大事なのはルーム・アコースティックだと思います。順位をつけると
ルーム・アコースティック > モニター・スピーカー > マイク(とかプリアンプ) > インターフェイスとか > DAWとかプラグイン
という感じでしょうか。
特に後半の2項目「インターフェイスとかDAWとかプラグインとか」は、ほんと~にどうでもいい、と考えておくのがオススメです(笑) エントリークラスのコンデンサー・マイクでも、極端に言うとiPhoneのマイクで録音した歌でもモニター環境が決まっていればヒット曲は生めると思います。だからお金、時間、アイディア、なんでもいいから自分の投入できるものを、モニター環境改善のためにガンガン投入して欲しいです。
最初のNFシリーズは発売された時から知ってました。当時の「ついにNS-10Mの後継になるスピーカーが現れた!」という盛り上がりをよく覚えていますね。ウチの会社でも実は自分以外は皆NFシリーズを使っているのですが、自分は「人が右なら左」というタイプなので今までなんとなく縁がないまま来てしまいました。今回NF01Rを使ってみてものすっごく気に入ったので、過去の自分には「機材のチョイスで個性を発揮しようとするな」と伝えたいですね。ロクなことがないです(笑)
NF01Rは非常に音の見えやすいスピーカーで、特に “音の切れ際の表現” と “音の前後関係の表現” には目を見張るものがあります。クラップにかかってるリバーブの左右の微妙なディケイの違い。あるいはシンセパッドとストリングスのどちらが前に来てるのか。という表現など、何でこんなに分かりやすいの? という感じです。
スピーカー選びで重要なポイントに
・どれだけLowが出るのか?
・ウーハーがどれだけの口径なのか
があると思います。
これらの条件から
・どれくらいの音量で
・どれくらいの距離で
作業するのか、というセッティングが絞られてきます。
4インチを遠くに置いても、8インチを近くに置いてもおいしくない。爆音で大きいスピーカーを鳴らせるシアワセな環境の方は、8インチ以上とか3wayとか、サブ・ウーハーを気分良く鳴らして頂ければよいと思います。
しかしそうではない多くの方にとってはNF01Rの「57hz~25khz」で「ウーハー口径 130mm」という仕様は、かなりベスト・マッチではないでしょうか。ちなみにこのstudioは約12畳ですが、Trio 6 Beなんかは「フェラーリで近所のコンビニに行く」くらいの使い方しかできません(笑)
NF01Rと同口径(約5インチ)でも最近のスピーカーはどれもパワフルだと思います。音量を上げていくと「苦情が来るんじゃないか」という恐怖との戦いで(笑)充分な音量が出せない機種も多いのですが、NF01Rの「57hz」はすっごく絶妙!大きくしても「苦情の恐怖」が来ないギリギリの線で、いい感じでキックもベースも見えます。これが50hzだったら危なかったかもしれませんが、この「57hz」には拍手を送りたいです。うるさくないけど、聞こえる低域、本当に絶妙です。
歴史は繰り返す…ということで、やはりNS-10Mの代わりに使ってみたいと思います。実際に10Mと入れ替えて、
・NF01R
・Focal Trio 6 Be
・Focal CMS40
以上で3日間ほど作業してみましたが、NF01Rの出番が一番多かったです。全体のバランスの確認がしやすく、深夜でも安心なLow(笑)Focal Trio 6 Beを鳴らせない時間帯は、ヘッドホンとNF01Rで、ほぼ間違いないバランスまで追い込むことができました。
はい、僕がNF01Rをおすすめしたいのは
1. 初めて本格的なモニター・スピーカーを検討している方
2. 条件的に複数のスピーカーで作業出来ない方
3. 狭くも広くもない、中くらいのルームサイズの方
です。
1つ選ぶならこのNF01R。本当にイイですよ!この価格もちょっとズルいくらいですね。お値段数倍の海外のスピーカーにも全然引けをとらないどころか、勝ってる部分が多いです。中域から上はNS-10Mにも少し似たちょうどよい「バイト感」があり、自分の場合はほとんど慣れる時間さえ不要ですぐに仕事で使えました。大きいスピーカーを併用しない場合はヘッドホンと併用するのがよいと思いますので、「それなりのヘッドホン」と「NF01R」で、よいミックスを生み出しちゃって下さい!
(Rock oN) オカシンさん、ご多忙の中インタビューに応じてくださりありがとうございました。
岡野’オカシン’慎一
株式会社サムライ・エンタテインメント主催。サウンドプロデューサー、エンジニア
プロデュース・チーム Mo’doo-! (モドゥー)として数々のアーティストに楽曲提供。
(KAT-TUN、柴咲コウ、関ジャニ∞、Tina、玉置成実、リュ・シウォン、スケルトエイトバンビーノ、ユンナ、TiA、SHY、etc…)
作家事務所に所属した後、自らの音楽を能動的に発信すべく、株式会社サムライ・エンタテインメントを設立。CHIHIRO(チヒロ)、8utterfly(バタフライ)、Fio(フィオ)などのアーティストを世に送り出す。
特にマイク、マイクプリ、スピーカーを愛し、これまでに思い出したくもないほどの「リソース」を投入。Amy WinehouseとLana Del Rayをこよなく愛する、ブル~ジ~野郎でもある。
Twitter : https://twitter.com/okashin1073
Ameblo : http://ameblo.jp/okashin1073
office : http://samurai-e.co.jp
STUDIO : http://www.samurai-e.co.jp/home/okashin.html
株式会社サムライ・エンタテインメント : http://www.samurai-e.co.jp/home/
NF01Rをよりよく知る記事
記事内に掲載されている価格は 2017年4月17日 時点での価格となります。
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