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08
Apr.2026
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イマーシブ映像と音の融合 〜レコーディングスタジオにおける制作ワークフロー〜


映像と音の融合がもたらすもの

イマーシブ(Immersive)とは「没入感」を意味し、まるでその場に存在しているかのような体験を指します。
従来の映像や音楽のように「見る・聞く」といった受動的な鑑賞とは異なり、体験者自身が空間の一部となり、「参加する」「体感する」ことで成立する点が特徴です。
近年では、映像・音楽・演劇・ゲームなど幅広い分野で取り入れられており、特に視覚と聴覚を組み合わせた表現によって、よりリアルで記憶に残る体験が可能になっています。

イマーシブとは何か

現在の音楽制作では、Dolby Atmos や 360 Reality Audio といったイマーシブオーディオ技術が急速に普及しています。さらにAppleは Apple Spatial Audio Format(ASAF)を発表し、空間オーディオは新たな段階へと進みました。
こうした中で重要なのは、特定のフォーマットに依存するのではなく、空間そのものをどう捉えるかという視点です。フォーマットはあくまで再生手段であり、本質は「空気感」「距離感」「位置関係」をいかに自然に再現するかにあります。

スタジオ紹介


DCH STUDIO

ボーカルレコーディングからバンドの生演奏まで幅広く対応できるブーススペース。
コントロールルームにはカスタムされたSSLコンソール、 圧倒的な解像度のラージモニタリングスピーカー・musikelectronic geithain RL901Kを配し、最高のモニタリング環境。
新デジタル機材からヴィンテージアナログ機材までご用意されていました。

公式サイト: ( https://digzinc.com/service/dch-studio/ )

使用機材(映像)

Blackmagic URSA Cine Immersive

Apple Vision Pro向けの「Apple Immersive Video」を撮影するために開発されたカメラ。
デュアル8Kセンサー(各8160×7200)により、左右の視差を持つ立体映像を高精度に収録できます。
16ストップの広いダイナミックレンジや、ピクセル単位で同期された2眼構造により、肉眼に近い自然な映像表現が可能です。さらに専用設計レンズや大容量ストレージ、高速転送環境も備え、撮影からデータ管理まで一貫したワークフローに対応します。


Apple Vision Pro

Appleが2024年に発表した空間コンピューティングデバイス。
visionOSにより、映像や音が三次元空間上に配置され、従来の画面とは異なる体験を提供します。
実際に空間ビデオを再生すると、被写体との距離や奥行きが明確に感じられ、まさに「その場にいる感覚」を得ることができます。イマーシブコンテンツにおける再生環境として、非常に重要な存在です。

使用機材(音声)

今回の収録では、空間再現を目的に複数のマイクを組み合わせて使用していました。

AMBEO VR Mic

 Ambisonics方式で360°全方向の音を収録。空間全体の情報を記録する中心的な役割。


MKH 8020

 無指向性マイク。空間の広がりや自然な響きを捉えるメインマイクとして配置。


MKH 8018

 ステレオショットガンマイク。方向性を持たせながら音像をコントロール。今回はKEYの方の声を録る用として立てられていた。


MCM 114

 楽器に装着するクリップマイク。近接音をクリアに収録。今回はギター本体の音と、声を録るのみ2本使用されていた。


KMS 104

 ボーカル用コンデンサーマイク。明瞭さと安定性を両立。

これらを組み合わせることで、「空間」と「個々の音」の両方をバランスよく収録していました。

制作手順(現場ワークフロー)

● 映像・音声フォーマット

音声は Pro Tools で収録・編集し、最終的にASAF形式で書き出し。
一方、カメラ側は90fps / F4.5 / ISO800で設定。高フレームレートでの撮影により、視点移動時の滑らかさが保たれ、没入感のある映像が実現されています。


● マイクセッティング(9本構成)

現場では合計9本のマイクを使用。
MKH 8020は部屋の左右とカメラ後方に高さ約2mに1本、地面すれすれに1本設置されており、空間の広がりや自然な反射音をしっかりと捉えていました。
さらにAMBEO VR Micで空間全体を収録しつつ、各楽器には近接マイクを配置。実際の現場の「位置関係」まで再現できるよう設計されているのが印象的でした。


● サウンドチェック

各マイクの信号確認だけでなく、音量バランスや位相のチェックも丁寧に行われていました。
特にボーカルは空間との馴染みを意識し、リバーブ量を調整。単体で良い音ではなく、「空間の中でどう聴こえるか」を基準にバランスが決められていました。


● カメラはレールを使用

カメラはレール上で前後に移動させながら撮影。
固定カメラとは異なり、視点が動くことで距離感や奥行きがより強調され、立体的な映像表現が可能になります。
実際にモニターで確認すると、空間の広がり方が大きく変わるのが印象的でした。


● コントロールルームでリアルタイム確認

撮影映像はSDI接続でコントロールルームに送られ、リアルタイムでモニタリング。
その場でカメラマンに指示を出しながら、構図や動きを細かく調整していました。

● DaVinci Resolveで即時確認

収録後はすぐに素材を取り込み、必要な部分だけを短時間で書き出し。
その場でApple Vision Proを使って確認することで、アーティストの意見を即座に反映できる環境が整っていました。
この即時確認のフローにより、無駄な撮り直しを防ぎながら効率的に進行していたのが印象的です。

● テスト撮影と調整

本番前にはテスト撮影を行い、構図や演出を細かく確認。
1回目の撮影後、映像をチェックし、カメラのガイドを見ながら画角を調整。キーボードがフレームから外れていたため、ボーカル寄りに配置を修正していました。これは編集時のクロップを想定した調整です。
また、MC部分についても導入が長かったため、その場で内容を整理し、よりコンパクトな構成へと修正されていました。

まとめ

今回の取材を通して感じたのは、イマーシブ制作において重要なのは機材のスペックだけではなく、
「空間をどう設計し、どう体験として成立させるか」
という点でした。
空間全体を捉えるマイキング、視点移動を活かしたカメラワーク、そして即時確認によるフィードバック。これらが組み合わさることで、初めて“その場にいるような体験”が生まれます。
今後、こうしたイマーシブ技術はさらに発展し、映像制作・音楽制作の新たなスタンダードになっていくと感じました。

Apple Immersive Video 制作ワークフローセミナー



イマーシブオーディオやApple Immersive Videoといった最新技術を活用した制作の裏側を解説するセミナーを開催します。

THINGS.とRock oNによる実制作をもとに、音響はバウンス清水がAMBEO VR MICを含む録音〜ミックス工程を、映像は今村知嗣氏がURSA Cine ImmersiveとDaVinci Resolveによる撮影・編集を紹介。映像と音がどのように融合し、イマーシブ作品として完成するのかを実践的に学べる内容です。

●こんな方におすすめ
・イマーシブに興味がある!
・Apple Immersive Videoコンテンツを制作したい!
・空間オーディオ、映像の基礎・応用を学びたい!
・映像制作をしているが、音のイロハを知りたい!
・一歩違った映画やミュージックビデオを作りたい!

●開催日時
2026年4月15日(水) 18:00〜

●会場案内
場所:LUSH HUB(Rock oN Company 店舗下 地下1階)
住所:〒150-0041 東京都渋谷区神南1丁目8−18 クオリア神南フラッツ B1F


記事内に掲載されている価格は 2026年4月8日 時点での価格となります。

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