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収録について
今回はボーカル&ピアノによる演奏を、以下、3つのモデルのU67とU87Aiの計4本を使い、マイクをローテーションしながら全4テイクを収録。なお、マイク信号は音響ハウス 1stスタジオのコンソール SSL SL 9064J – 64VUのヘッドアンプで増幅され、AVID HD I/Oを経てPro Toolsに96kHz/24bitで収録。全てノーEQ、共通のHA Gain設定。
(1) 2018復刻モデル(写真右)
今回、1960年製のオリジナルモデルと全く同じ仕様で完全復刻した最新モデル。以降、表記は“2018モデル”で統一
(2) 1993年リイシューモデル(写真中央)
音響ハウスが所有する1993年に数量限定でリイシューされたU67S。オリジナルモデルよりも明るい特性に調整されている。以降、表記は“U67S”で統一
(3) オリジナルモデル(写真左)
音響ハウスが所有するオールドのオリジナルU67。以降、表記は“オールド”で統一
(4) U87Ai
音響ハウス所有の現行U87。以降、表記は“U87Ai”で統一
収録結果 試聴
ボーカル:U67S
ピアノ/オン : オールド
ピアノ/オフ : 2018モデル
ボーカル:オールド
ピアノ/オン : 2018モデル
ピアノ/オフ : U87Ai
ボーカル:2018モデル
ピアノ/オン : U87Ai
ピアノ/オフ : U67S
ボーカル:U87Ai
ピアノ/オン : U67S
ピアノ/オフ : オールド
アーティスト・インプレッション
国内代理店 ゼンハイザージャパン 真野氏(以降、ゼンハイザー真野氏) : JILLEさん、八谷さん、お疲れさまでした。今日のセッションの感想はいかがでしたか?
JILLEさん : 「マイクでこんなに違いが出るんだ!」とびっくりしました。レコーディングの時、曲調によってマイクを変えることがありましたが、使うのはせいぜい1、2本だったので今日は楽しかったです。歌の持つメッセージの伝わり方がマイクのチョイスによって変わるんじゃないかなって歌いながら思いました。
宮崎県西都市出身。広大な牧場(畜産農家)を営む家の長女として生まれる。幼い頃から英語教育に熱心だった母親の影響により、サウンドオブミュージックやカーペンターズ、ABBAを始め、洋画や洋楽に触れる。小学校高学年に入るとホイットニーヒューストン、マライアキャリーに影響を受け英語の勉強を始める。中学、高校と市や県主催の各英語弁論大会で優勝し、高円宮杯全国英語弁論大会では、2年連続出場をはたした。英語教師になるべく大学に進学するが夢を諦めきれず、単身LAへ。オーディションに落ち何もできないまま本場の偉大さを感じ1ヶ月で帰国。その後、本格的に日本での音楽活動を開始。2011年インディーズ活動中に国籍、性別をふせシルエット動画として、英詞カバー楽曲(AKB48「フライングゲット」)などをYouTube上にアップし、わずか1カ月で再生数200万回を突破。SNSを中心に驚異的なスピードで世界中から”ダイヤモンド・ヴォイス”として注目を集め、2012年7月に英語カバーアルバム「I AM GILLE.」でユニバーサルミュージックよりメジャーデビュー。新人アーティストとしては異例の15万枚を突破し、2012年オリコン年間アルバム売上枚数ランキング 新人部門1位を獲得する。2015年3月27日、「第五回香港アジアポップミュージックフェスティバル」(アジア8ヶ国・地域から各国から選ばれた1組の新人アーティストが参加し、「スーパーノーバ賞」等の賞を競うコンテスト)に、日本新人代表として出場。日本人初となるグランプリを獲得。更に、ボーカルパフォーマンス賞とステージパフォーマンス賞も獲得し、グランプリである「スーパーノーバ賞」を含め3冠に輝き、大会初の大快挙を遂げる。2015年のGILLEは宮崎から世界への第一歩をスタートし、国内外で活動。2016年9月に、半年の休養から復帰。リスタートという意味でGからJに改名し『JILLE』として活動を開始。地元宮崎県西都市よりふるさと特命大使に任命され、市が推進している移住定住プログラムに参加しオリジナル『HomeTown』を楽曲提供している。
ゼンハイザー 真野氏 : 例えばですが、しっとりとしたバラード系の曲だと、どのマイクがいいと思いましたか?
JILLEさん : 個人的にはオールドが好きですが、2018モデルもいいなと思いました。綺麗に伝えられるので、くどくなく、かつ悲しすぎない感じがして今のJ-POP風には合うんじゃないかな。ロングトーンで歌い上げていく曲だと、2018モデルが向いてる気がします。今日の収録パターンになかったですが、ボーカル、ピアノともにオールドを立てると、自分の好きな感じになると思いますが、恋愛ソングのメッセージを伝えるなら、よりストレートに伝えるために2018モデルをボーカルに立てるのがいいかもしれませんね。
八谷さん : 自分もオールドのサウンドが好きなので、ピアノにオールドを立てるとして、歌がキラキラしているのが好みなので、ボーカルには2018モデルがいいかもしれませんね。色んな細部まで音を拾ってくれるので、今の音楽に向いてる気がしました。
サウンドエンジニア・インプレッション
音響ハウス 櫻井 繁郎氏 氏(写真左)
基本はスタジオレコーディングを主としていますが、今はフィールドレコーディングなど多岐にわたり活動しています。あらゆる録音に日々挑戦しています。
音響ハウス 中内 茂治氏 氏(写真中)
長嶋茂雄さんの[茂]と王貞治さんの[治]の字を頂きましたが、学生時代はずっとソフトテニスをやってました。ジャンル問わず幅広く手がけてますので一度お試し頂ければこれ幸いです。
音響ハウス 技術開発室 須田 淳也 氏(写真右)
ゼンハイザー 山本氏 : エンジニアの皆さんにお話を伺いたいと思います。今日の試聴の感想、ならびに、エンジニアとしてU67各モデルの使い分けに関しアイデアは浮かびましたか?
音響ハウス 櫻井氏 : 私がレコーディングでまず最初に立てるマイクはオールドU67やU67Sが多いんです。もちろん、ディレクターさんからの「ガッツリくるようなイマドキの新しい音がするマイクない?」みたいなリクエストがあれば状況に応じて変えますが、U67は声にすごく合って好きなんです。今日の試聴で使ったみた感想ですが、すっきりしたサウンドで録りたい時はU67Sで、しっかり深く録りたい時は2018モデルなのかな、というイメージを持ちました。
音響ハウス 中内氏 : 2018モデルはオフマイクで立てた時の感じもいいなって思ったんですが、、、
音響ハウス 櫻井氏 : そうですね。最近発売されている新しいマイクは、オフマイク向きでないものもありますが、2018モデルはちゃんと空間を録っている感じがしました。
音響ハウス 中内氏 : 2018モデルは色んな楽器に、かつ、色んな用途で使える、応用の幅の広さを持っている気がしますね。
ゼンハイザー 真野氏 : それはU87のオールマイティーさと違う感じですか?
音響ハウス 櫻井氏 : そうですね。「この楽器は合わないだろう」というのが思いつかないです。ウクレレや三味線といった線が細いサウンドの楽器にでもOKな気がします。今日は単一指向でしか使ってないのですが、無指向の結果も聞いてみたいです。大人数でのコーラスを録る時のオフマイクに関しては、無指向で録ることが多いんです。
ゼンハイザー 真野氏 : 2018モデルと音響ハウスで所有されているオールドとの比較ですが、どう感じましたか?
音響ハウス 中内氏 : もちろんオールドとは同じではないですが、2018モデルは今の時代のU67という打ち出し方を兼ね備え、オールドと比べても十分に納得できる製品です。最近、アーティストの方でも自分の声に合うマイクを持っている方が多いですが、自分にとって「これだ!」と思うサウンドならば、この2018モデルは高価ですが、絶対、期待に応えてくれる製品であることは間違いないです。また、最近多いプロジェクトスタジオでも「珠玉の一本として、どのマイクを買おう?」となった時のチョイスに最適な製品だと思います。私は「ビンテージだからいい」みたいなこだわりは持たずに、新しいモデルも含め、いい音がするなら色んな製品を使っていこうと思っています。そういう意味で、この2018モデルはオリジナルU67のいいところを継承しつつも、現在の新しさも兼ね備えているので、すごくいいマイクだと思います。
音響ハウス 櫻井氏 : 音響ハウスのブッキング担当者と話していると、1スタ、2スタの両方でストリングス録りが入った時にU67の奪い合いになったりするんですよ(笑)。だからU67はもっと増やしたいマイクなんです。この2018モデルも欲しいですね。
テクニカルトーク
ゼンハイザー 真野氏 : 須田さんは今日の試聴はいかがでしたか?
音響ハウス 須田氏 : NEUMANNがU67を復刻として、今の時代に作ったのはすごいことだと思います! オリジナルとほとんど同じものを作っちゃうんだから、相当研究したと思いますよ。
音響ハウス 櫻井氏 : U67を目指して作られた他社のマイクを、たまに須田が借りて来るんですが、それはそれで悪くないけど何かが違う、、って所でいつも終わるんですよね(笑)。
ゼンハイザー 真野氏 : カタログに掲載してる「何度も模倣されながら、誰にも再現できなかった」というキャッチコピーが言い当ててますよね。
音響ハウス 須田氏 : あまり知られてないかもしれませんが、U67はアウトプット・トランスのクオリティがめちゃくちゃ高いから音がいいんです。これは他社が、どうしても真似できないポイントなんです。出荷時点ではまだ若い音をしてるんですが、2年くらい経つと、さらに音が良くなるんです。ところでNEUMANNでは、ダイアフラムも含め、全部手作業で作っているんですよね?
ゼンハイザー 山本氏 : そうです。NEUMANN本社には作れるエンジニアが3人しかいないそうです。
音響ハウス 須田氏 : 欲を言えば、カプセルなどのパーツもNEUMANNから供給されると嬉しいですね。 音響ハウスで所有しているオールドU67ですが、やはりカプセルのメンテナンスが問題になってきていて苦労しているんです。それにしても今日の試聴で面白かったのは、スペックに関わる色んな事情を知らないミュージシャンのお二人が、一番新しい2018モデルとオールドの組み合わせがいいとおっしゃったことです。時代を経て、新旧が共存できるのがU67の凄さかもしれない。時代を超えて共存することができるのは、製品のクオリティの高さゆえのことかもしれませんね! このU67 2018モデル、音響ハウスに最低でも2台は欲しいですよ。それほど素晴らしいと思います!
ご予約受付中
NEUMANN 国内代理店 HP
ノイマン総合サイト- ゼンハイザージャパン StartPage
http://neumannjapan.com/
こちらもご覧ください。
記事内に掲載されている価格は 2018年9月14日 時点での価格となります。
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