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RED先生:スタジオの現場でも、SONY 360VME と MDR-MV1に興味を持つエンジニアさんがとても多かったです。実際にMILスタジオへ行って、プロファイルの計測を行ったという話もよく聞きました。
パパ洋介:360VMEの、イマーシブ環境をヘッドホンで再現できる能力の高さは奇跡的だという声が数多く寄せられていますね。
SCFED伊部:そのリアリティに、初めて体験した人は誰もが驚いて笑ってしまうんです。新感覚の体験は本当に一聴の価値があると思いますよ。360VMEという名称から、360 Reality Audio専用と誤解されてしまいそうですが、フォーマットを限定しないで様々なスピーカー設置環境をヘッドホンで再現できるのが画期的です。
RED先生:学校などの教育現場では研究用にAURO-3Dを導入しているケースもあって、その再生環境を教室や自宅で構築したいという声があります。
パパ洋介:そういったAURO-3D環境 や 360 Reality Audio、そして Dolby Atmos など、自身のスタジオのモニタリング環境をヘッドホンで、どこにいても再現したいという要望に応えて 360VME 出張測定への対応が予定されています。これはかなりの反響になるかと思いますよ。
パパ洋介:Waves Cloud MX や Audinate DANTE Connect の登場で、クラウド上でのオーディオミックスや、クラウドを介したオーディオ伝送が現実的なものになりました。クラウド上でミックスをしてそのままクラウド上の配信サーバーにデータを渡すという、シンプルかつ効率の良いソリューションで、従来のような専用線を必要としない汎用回線で実現したというのが、2023年の大きなトピックでした。
DANTE Connect は、DANTEのドメインマネージャーをAWS上に展開するこで世界中をDANTEで繋ごうという、クラウドのオーディオ伝送技術です。一般的なインターネット回線で、世界中でDANTEがつながります。Cloud MXのバックボーンとしても採用されているのをはじめ、遠隔地でのプレビューだったりバックアップ収録だったり、放送などプロフェッショナルな現場で様々な使い方が考えられます。
恒吉:今後、クラウドを見据えたオーディオ関連製品というものは、どんな展開になって行くのでしょうか。
パパ洋介:各社からクラウド向けの製品が出てくる可能性はもちろんありますが、Windowsベースで動くリアルタイムのオーディオエンジンは、Waves LV-1がいちばん進んでいるんです。なので、コンソールメーカーは自社製品の枠組みの中で、ミキシング・エンジンとコンソールを遠隔地で繋ぐ技術が進化しています。SSL の System T の場合だと、エンジンがA地点、コンソールはB地点で、インターネット経由でコントロール信号だけ送って、ミックス信号など必要な回線だけを受け取るという技術が実現しています。
RED先生:iZotope Ozone 11 はリリースから少し経ってから、ユーザーの評判を聞きつけてアップデートする人が私の周りでは多かったです。Stem Focus機能の搭載が大きくて、RXとOzoneがそれぞれイイとこ取りする関係になって来た事が興味深いです。
PD安田:「かけ声系」の音源って、ありそうでなかったのですが、「KA・WA・YO」- FOR MUSIC -と、POP STARS SHOUT!! がリリースされて、クリエイターの間でも大変盛り上がりました。AMPLE BASS TR6 III は、Yamahaの6弦ベース TRBJP2 (John Patitucci signature model) の再現で、フュージョン・ファン向けのかなり渋いセレクトでしたね!私を含め、コアなファンを大変喜ばせてくれた音源です。
Eastwestのファンタジックなオーケストラ音源 HOLLYWOOD FANTASY シリーズ が怒涛のリリースラッシュで、1年の間に Strings、Brass、Winds、Percussion、Voices、Orchestrator と、全部入りバンドルが発売されました。個人的には HOLLYWOOD FANTASY BRASS がかなりイチオシです。
SCFED伊部:ソフト音源の進化を感じたのは、UVIのSynth Anthology 4 に搭載された、マシンラーニングを生かした音色のインテリジェント提案システムや、AVENGER 2 に搭載されたアルペジオ・ランダマイザーが画期的だったと思います。ランダマイザーの中に用意されたシンメトリーボタンをONにすると、ランダムなフレーズの中に重心が生まれて、キャッチーなフレーズが飛び出すようになったのが衝撃的です。クリエイターとしては脅威を感じますね。
TOONTRACK EZ Keys2 は進化のポイントが大量にある中でも特にピアノの音が良くなって、ピアノ音源としての存在感が大きくなりました。TOONTRACKが EZ DRUM と EZ BASS、そしてピアノやキーボード音源をここまで完成させて、次にギター音源の登場はいつなんだろうと、待ち望んでいるユーザーは多いのではないでしょうか。
UJAMのVirtual Drummer LEGEND もデッドなサウンドがとても通好みで、私も大変気に入っています。2023年はメーカーが初心者だけでなく、プロユーザーにも目を向けてくれた製品が多かったように思います。特に UVIのHX-20 は、シンセファンにとって特別な思い入れがあるモデルの再現進化版です。MNTRA の製品もとてもユニークで、初心者向けのプロダクツが一段落して、個性を求める時代へとシフトしているのを感じました。
ACID渋谷:Teenage Engineering EP-133 K.O. IIがとにかくインパクトがありましたね。ルックスやユーザービリティーの高さだけでなく、スケッチ作りにも活躍してくれたり、PCとの親和性の高さ、リーズナブルな価格設定など、発売直後から手に入らない大ヒット製品となりました。
SCFED伊部:80年代の計算機のようなルックスに惹かれます!本当に計算機として使えるようになりませんかね?音楽制作だけでなく、事務にも活躍できる楽器というのは、80年代に大ヒットしたキーボードCASIO VL-1以来の快挙になると思いますよ。ファームウェアのアップデートか次回バージョンで、ぜひ実現して頂きたい機能です。
ACID渋谷:Acoustic Synthesis_phase5 は音源方式を新しく生み出そうということで、音叉のような振動板が基音と倍音を生み出して、それをピックアップで拾うというエレクトロ・アコースティックともいえる音源方式です。音の響きが非常に面白かったのと、新しい音源方式に本気で取り組んだという姿勢が凄いなと思います。
ACID渋谷:Native Instruments Kontrol S MK3シリーズ や、YAMAHA MONTAGE M8X が MIDI 2.0 に対応したこともあって、MIDI 2.0実用化の胎動を感じた1年でした。NIのNKSプラットフォーム対応音源が、今後 MIDI 2.0 を活用して普及して行くのではないかと期待しています。
SCFED伊部:Expressive E Osmose はMPEを活用して「演奏」するインターフェースとしては最も優れていて、MPEがもたらす恩恵を最大限に引き出せる鍵盤だと思います。鍵盤を横に動かしてビブラートがかけられるというのは、鍵盤弾きが最も欲しかった奏法なので、Osmoseであれば、かなり生楽器に近いオーガニックな演奏が可能になりますよ。
パパ洋介:AVID Pro Tools 2023.12 でDolby Atmos レンダラーが統合されたというのは大きいですね。ハードウェア・レンダラーやDolby Atmos Audio Bridgeを使用した外部アプリケーションとしてではなく、Pro Toolsの機能の一部としてDolby Atmosのレンダリングが可能になりました。Pro Tools Studioでは最大7.1.2Bedまで、Pro Tools Ultimateでは最大9.1.6BedまでのDolby Atmosレンダリングが可能です。Dolby Atmosミックスを行うハードウェア・コントローラーの登場にぜひ期待したいですね。
Pro Tools 2023.9 で Pro Tools Sketch が新登場して、従来の編集ウィンドウとミックスウィンドウに加えて、第三のウィンドウとなる Pro Tools Sketch ウィンドウが追加されました。「Scene」と呼ばれるシーケンスを作成して、それらを自由にリピートしたり繋ぎ合わせたりすることで、まさにスケッチをするように、楽曲制作のアイデアをすぐに形にすることが可能になりました。
RED先生:iZotope RX10 は毎回アップデートされる度に凄くなっているという評価ですね。テキストナビゲーションは前バージョンからありましたけど解析能力が上がって、日本語対応が待ち望まれている状況ではあります。
パパ洋介:RX10は各モジュールのブラッシュアップが今回も大きかったですね。ダイアログ・アイソレートの精度向上がユーザーから大絶賛でした。ワンノブでダイアログの背景ノイズが消せるようになったので、ユーザーからはダイアログ・アイソレートの話しか出てこないくらい、一度使ったら戻れないという声が多いです。
RED先生:今回はソフトウェア初のコンボリューション・リバーブ、AUDIOEASE Altiverb が久々のアップデートだったので驚いています。バージョン8ではAppleシリコン対応をはじめ、対応サンプルレートが最大384kHz、そして最大9.1.6chのイマーシブ対応になったのが大きな進化です。
パパ洋介:イマーシブ対応になったということは、IRデータを全部録り直したということなんですね。それには相当な時間がかかったのではないでしょうか。
BOUNCE清水:2023年はオーディオインターフェイスが豊作でした。Prism Sound ADA 128 、Avid Pro Tools | MTRX II、Antelope Orion 32+ Gen 4 /MRC、RME ADI-2/4 Pro SE など、各メーカーがDolby Atmosを意識して、順当にハードウェア対応させたという印象です。
PD安田:Antelope Orion シリーズも、既にイマーシブ対応していたGalaxy 32を踏襲してOrion 32+ Gen 4 になりました。セールスポイントは32チャンネル対応ということで、チャンネル単価がリーズナブルという点です。イマーシブに限らず、多チャンネル出力が求められる現場でAD/DAコンバーターとして活躍するケースもあります。
BOUNCE清水:NEUMANN MT 48 U は Merging が作ったオーディオインターフェースで、音質が凄く良くて、発表当時から話題になったコンパクトなオールインワンモデルです。
マエストロ佐々木:Prism Sound ADA 128 は最初の発表から4年くらい経っていて、途中でAD/DAをブラッシュアップするというアナウンスがあったりしながら、ついにリリースされましたね。
BOUNCE清水:エンジニアの間では、リリースされないのではないかという雰囲気があった中で、今回本当に出たんだ!という驚きで迎えられた製品ですね。音がとにかく良くて、Prism Soundのフラッグシップモデルがついに更新されたという思いですよ。Dolby Atmosのモニターコントロールにも対応する予定です。モジュール形式なので、今後色々なフォーマットへの対応が楽しみな製品です。
BOUNCE清水:Avid Pro Tools | MTRX II は、MTRX Thunderbolt 3 Option Module も出たので、HDX環境下でなくてもMTRX IIが使えるというのが大きなポイントです。
パパ洋介:そうですね、DADクオリティのAD/DAコンバーターを搭載したMTRX IIが、Pro Toolsユーザーでなくても使えるようになったという意味合いが大きいですね。MTRX IIとMTRX StudioはAvid製でありながらも、どんなDAWでも使えるオーディオインターフェースへと解放されました。
BOUNCE清水:Thunderbolt 3 Option Moduleを搭載したMTRX II と ADA 128のサウンドクオリティを比較すると、自分の評価的には競り合いになっているんです。ハイエンドモデルの中に選択肢があるというのはとても嬉しいです。
BOUNCE清水:Solid State Logic SSL 12 はSSLというブランドと、4Chプリというコストパフォーマンスの高さから、店頭でもとても人気がありました。SSLは製品の発売ペースが早くて、デジタルの機材に向かって行くかと思いきや、マイクプリをリリースするなど、現場のニーズをよく考えて製品を作っている感じが好印象でした。
また、Freqport FT-1 freqtube は発売前から問い合わせの多かった製品で、激しく歪ませた音を薄く混ぜるとか、そういったプラグインでは出せない質感が評価され、本体もコンパクトで人気でした。
パパ洋介:TOAは駅のホームや学校、官公庁など、設備をはじめとした幅広いシーンに採用されているスピーカーです。音楽制作用のモニタースピーカーとしては認知されていないので、ME-50FS の発売で知ったという方も多かったと思います。ME-50FSは、同社がこれまでの40年間で培ってきた技術の集大成ともいえるスピーカーで、フルアナログというのが大きな特徴です。
TOAはDSPプロセッサーをリリースした世界初のメーカーで、そのDSPのトップランナーが究極のスピーカーを作ろうと考えたときに、デジタル処理は情報を渡すだけの一方通行のため、DSPでは到達できない領域があると。80点を確実に出せるのがDSPの良い所で、そこから上を目指すにはアナログでないと不可能ということなんです。
スピーカーというのは、スピーカーのユニットが動いた時にコイルで起電するため、逆向きの電力が発生します。それを処理するためには、双方向に動作するアナログデバイスでないと処理できない領域があるということで、アナログのインピーダンス補正回路が用意されています。
スピーカーが動くことで生じるインピーダンスカーブによって位相ずれが起こるんですけど、それを打ち消すためのアナログ回路がアンプとスピーカーの間にパラレルで挟まっています。その補正回路とユニットを合わせてインピーダンスがフラットになると。また、小口径かつロングストロークなユニットを専用開発して、10cmのウーファーを通常の倍のストロークで動作させて、-6db / 40Hz までの再生能力を実現しています。アンプ部も含めて、各分野の専門家の知識と経験が凝縮され、コイルひと巻き単位で試行錯誤しながら調整しているという、本当にこだわり抜いた究極のスピーカーだといえますね。
COOPER天野:従来のLEWITTマイクは癖のないクリアーなサウンドに定評がありましたが、PURE TUBE STUDIO set はボーカル用にチューニングされたキャラクターを感じました。同社のフラッグシップモデル LCT 1040 と比較しても総合的なキャラクターは似ていますが、PURE TUBE STUDIO setは少しだけ中域が前に出て、歌っていて気持ちの良いマイクだなと思います。コストパフォーマンスがとても高いマイクです。LCT 440 VIDAは、森林保護のための寄付金が価格に含まれているというのも現代的でした。これからもっと、地球環境を考えたメーカーが増えていくといいなと思います。
パパ洋介:Genelecから久々に、大型のスタジオモニター8381A が発表されたことも話題になりました。特徴的なウェーブガイドを持ち、角度調節が可能なフリースタンディング型で、本体側面にもウーファーが搭載されています。ルームアコースティックを計測して、GLMソフトウェアとの連携で低音域に至るまで極めて正確なモニタリングが可能です。
イタリー多田:40年にわたってホームオーディオの分野で活躍しているTAOCが、2023年はプロオーディオ市場へ本格的に参入しました。Rock oNからも開発段階で要望を聞いて頂き、製品にフィードバックされたMSTPシリーズ が高評価・好調なセールスでした。
素材は天板と底板、支柱、充填される制振材も含めて全て鉄で作られていて、鉄のグレードはハイカーボン鋳鉄(FC100)をメインの部材として採用しています。
ハイカーボン鋳鉄(FC100)はマグネシウムを超える密度、鋼よりも早い減衰特性を持つもので、”スタンド自体が振動しない”という製品の必須条件にぴったりな素材です。他の金属と比べてもスタンド自体が音色を持たない、変化させないことが大きな特徴なんです。
パパ洋介:TAOCのスピーカースタンドは、音をタイトにする能力が圧倒的ですよね。
イタリー多田:MSTP-D は、TAOC史上初のニアフィールドモニター向けスタンドで、デクストップスタンドに求められる要望を具現化して、「最も揺れにくく、最も机上の振動を受けにくいスタンド」をテーマに開発された製品です。ボーカルや楽器の音を細部までチェックできるモニター環境を実現すべく、クラス最高のアイソレーションと安定性を備えているデスクトップスタンドです。
イタリー多田:スタジオユースのパッシブモニターコントローラー HAYAKUMO IZARAI は、パッシブタイプですが非常に低ノイズで、スイッチングノイズもなく、ノブダイヤルのメモリも使い手を考えた設定になっています。小さいボリュームでも左右のレベルが合う精度の高さを誇っています。
パパ洋介:MTRX Thunderbolt 3 Module は、NAMM Show 2023でPro Tools | MTRX IIとともに発表されて大きな話題になりました。オーディオ制作者の長年の夢であったかもしれないAvidのフラッグシップI/Oが、ついにネイティブ環境で使用できるようになりました。さらに大きな特徴は、MTRX II / MTRX StudioをCore Audioに接続できるだけでなく、DigiLinkポートの入出力と同時にThunderbolt入出力を追加で使用できるという点にあります。
RED先生:DigiLink入出力と同時にThunderbolt入出力を使って、1台のMTRX IIにHDXシステムとネイティブDAWを同時に接続することが可能になりましたね。双方に信号を出し入れして、中規模から大規模なシステム設計まで可能になったことが大きいですね。
ファンキー松本:投票数が一番多かったBlackmagic Camera は Apple iPhone用のアプリで、各メディアでも取り上げられていることもあって1位は頷けます。iPhone15が発表された週の後半にはリリースされて、iPhone15 の機能をほぼフル活用してBlackmagic Designらしいシネマティックな映像を収録できます。Blackmagic Cloudとの連携で、遠方にいる撮影者との共同作業といったワークフローをかなり意識して作られていて、収録・ポスプロともに、Blackmagic Cloudの恩恵がかなり現実的な物になりました。アプリが無料で手に入るというのもDavinch Resolve 同様に凄いことだと思います。iPhone15ユーザーにとってはとても実用性の高いアプリですね。
YoloLiv YoloBox Ultra はバッテリー、モニター、IN/OUT、SIMを使用可能というオールインワンモデルです。私は以前、YoloBox Proを使ってキャンプ場から配信したことがありますが、配信をするために必要な機能が全て揃っているので、カメラとマイクさえ繋げば屋外でもどこからでも配信が始められてしまうという製品です。バッテリーも搭載されているのが大きいですね。
パパ洋介:YoloBox Ultraにはレコーダー機能も付いて、本当に全機能をコンプリートしましたね。YoloBoxはNDIもSRTも受けるので、エントリーレンジまでIPテクノロジーが普及して、特にNDIの進出が目立ってきている気がします。NDIもそろそろバージョン6が出て来そうな気配はあるので、そこでまた革新的な事をやってくると思います。インターネットを使用する伝送に関してはNDIとSRTが2大巨頭になっている感があって、双方向性を考えたシーンでは低遅延のNDIで、高遅延だけど一方通行で高画質な信号を送りたい場合にはSRTという、用途に応じた使い分けが進んできています。
ファンキー松本:RolandはVR-400UHD と VR-6HD をリリースして、映像と音を軸に押さえながらVRシリーズの地盤を固めていますね。
ガジェット的な製品では、DJI の Osmo Pocket 3 が大きく進化しました。センサーサイズが1インチに拡大したことにより、前モデルに比べディテールが鮮明に収録でき、また高感度耐性にも優れ夜間でも満足のいく撮影が手軽にできるようになりました。
音のカテゴリーですと、32bit floatで録音できてタイムコードも出せる RODE Wireless PRO が印象的でしたね。
パパ洋介:海外の展示会でもNABやIBCで Wireless GO シリーズを使っている取材チームが圧倒的に多くて、現場でWireless GOシリーズが使われているという感覚がありますね。
パパ洋介:制作系のソフトウェアがメインの選出になっていて、ツールが出揃った中での機能追加であったり、バージョンアップだったり、正常進化という意味合いが強かったかなと思います。
かゆい所に手が届くような進化としては Audiomovers Binaural Renderer For Apple Music がまさにそうで、Dolby Atomos7.1.4ミックスをバイノーラルレンダリングして、空間オーディオとしてApple Musicでどう聴こえるのかをモニターすることができます。
そして2023年は、次世代のコーディング規格となる Fraunhofer MPEG-H Audio が、音楽制作に活用され始めたという象徴的な年でもありました。Sony 360 Reality Audio が MPEG-H Audioを基幹テクノロジーとして採用していたり、Pro Tools Ultimateで MPEG-Hオーサリング用プラグイン が無償提供されるなど、これからますます面白い製品やサービスが登場するのではないでしょうか。
恒吉:GPU AudioはSNSなどで、音楽制作者の間でも話題になっていましたね。
パパ洋介:PCでのオーディオプロセスとしては、フロンティアとも言える領域に踏み込んだGPU Audioに期待している人が多いですね。NAMM 2023の会場では、Vienna Symphonic Libraryが誇る、高精度かつ非常に動作が重いとされるVienna MIR PRO 3Dのセッションを、なんとGPU上で動作させるというデモを行って会場を驚かせていました。DAWのミキシングパワーはCPUで、プラグインプロセスはGPUで、といったような処理の分散による安定化など多くのメリットが考えられます。今後、GPU Audioの技術により業界が大きく変化する可能性を大いに感じられるのではないでしょうか。
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