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Nov.2023
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エンジニアURUによる360 Reality Audio Mixのためのセットアップ解説 ー第2回 オブジェクトの節約術ー

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いくつもの360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ 以下:360RA) Mixを手がけてきたエンジニアURU氏、アヤノハラグチ『Moen』の360RA制作に密着し、そのリアルなワークフローをうかがう連載シリーズ第2回!

今回は360RA Mix用テンプレート後編、オブジェクトの扱いについてです。

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★前回の記事はこちら

エンジニアURUによる360 Reality Audio Mixのためのセットアップ解説
 ー第1回 360 Reality Audio Mix用テンプレートー

ステレオ、モノラルの使い分け

URU360_05

URU:AUXトラックはステレオの他に少しだけモノラルも作っておいてます。刺さってるプラグインは同じですが、ステレオとグループは違います。

山内:モノ送りした信号をキーにして、サイドチェインで上を叩いているということですか?

URU:そうです。これは自分のアイデアじゃなくて、サンレコで拝見したエンジニアの髙山徹さんのアイデアで、いいなと思ったので。

山内:定位感がしっかり出るんですよね。最終的に配信する際、オブジェクトを減らさなきゃいけない時にステレオだとそれをモノにしなきゃいけなかったりしますが、モノでしっかり作っておけばそのままモノで使えるのもあります。

URU:僕はそんなにマスタリングの領域、例えば曲によってEQを微調整するとかまではあまりやっていなくて、全体のコンプ感、最後にレベルをコンプであげるようにしているくらいです。360RAミックスだとトランジェントが弱くなるので、そこを残すためにコンプでガッと持ち上げるんですよね。

山内:いわゆるトランジェント系のツールを使うのではなくて?

URU:単独のオーディオではそういうツールも使ったりはしますが、それでレベルが上がったりもするので。基本的にはミックスしている状態のものだからあんまりフェーダーを動かしたくないんです。

オブジェクトの節約術

URU:次に、各音源を一つ一つ確認してバスに送っていく作業です。まずドラムから見ていきます。この一番下で鳴ってほしいキックはアレンジする時からモノで作っていたので、その下にテンプレートのモノトラックを持ってきます。AUXトラックに名前をコピーして、バスへアサインしていきます。これでWMCへ音が渡りますが、まだパンナーは触りません。まずはトラックを一個ずつ並べることからです。

例えばこれはリバーブのついたドラム素材ですが、このままではステレオなので、下にバーンとリバーブを広げるために、リバーブ用のトラックを作って下や後ろに配置します。こういうのは360RA前提の作業ですね。2chで同じことをするとローがぼやけちゃったりしますが、360RAだとその部分も表現できます。そして、リバーブ用のAUXトラックをまたその下に持ってきます。このような要領で、全てのトラックをどんどんやっていきます。

URU360_06

※クリップの乗ったオーディオトラックと対応するAUXトラックを交互に配置。360 WalkMix Creator™(以下:360WMC)のささっているトラックだけ大きめの幅にしておくことで、一目でわかるようにしているとのこと。

URU:音色の違う2つのハイハットなどは、それぞれの音作りはミックスで既にされているので、時間的に被っていなければ同じ一つのバス(=オブジェクト)に送ったりもします。360RA的には一つの場所でいいんです。置き場所を変えるだけなので。

Rock oN:128しかないオブジェクトを節約するためのコツですね

URU:そう、要領よくやるための作業です。全てステレオ素材なら64オブジェクトということですから、結構すぐに減ってしまいがちなんです。特に最近はSpliceとかも流行っているので、1トラックに1クリップしか入ってないけど、他の音とは同じEQ処理が出来ない特殊な音とかもあります。そういうのにオブジェクト数を食われてしまうので、オブジェクトを節約できるところはしておかないと。

低音や高音は置き場所が下とかに離しておくから、オートメーションで書くよりは最初から分けておいた方が便利ですけどね。

Rock oN:別々の音源をおなじ一つのオブジェクトバスに入れられるのは、事前に2Mixでバランスを取っているからこそ出来ることですよね?

URU:そうですね。まあ基本的には2Mix前提で作られたものを360ミックスすることが多いと思いますが。2Mixされたものの360RAミックスは、単純に言ったらパンニングで球体に広げていくだけの作業なんですけど、それだけでは収まらない音の変化もあります。そこをうまくやるためにグループ化してリミッティングしたり、音の変化量の補正をしたり、逆に変化を活かした場所に置いたりなどしますね。

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※時間的に被っていないモノトラックをまとめて同じ1つのバスに送ることでオブジェクト数を節約。この楽曲ではモノラル4個、ステレオ69個(計142ch)のオーディオトラックを116個のオブジェクトにまとめています。

URU氏のモニター環境

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Pro Tools上での準備作業はスピーカーで、360WMCでの作業は主にヘッドホンで行うというURU氏。360RAコンテンツのユーザーの視聴環境はヘッドフォンが多いため、ヘッドホンでの鳴り方を意識することが重要になると語る。

また、360RA対応のホームシアターシステム ソニー HT-A9もお気に入りだと紹介していただいた。HT-A9もまたユーザーの視聴環境の一つとしてチェックできるうえ、Amazon Music Unlimitedですぐに他の360RA楽曲と比較できるのも便利だという。

今回はここまで!次回#3は360RA Mixにおけるエフェクト処理についてです。

ここで紹介したURUさんのテクニックは、実際の『Moen』PTセッションから解説する動画も後日公開予定なのでお楽しみに!


さらに、実際にURU氏、アヤノハラグチ氏、山内氏を迎えてアヤノハラグチ『Moen』における360 Reality Audio制作についてご紹介いただくリアルイベントの開催も決定!

12/7(木)、渋谷LUSH HUBにて行います。イベント後は参加者同士による360RA懇親会も開催予定!

イベント詳細、申し込みは下記フォームから

応募フォームはこちら

今回の記事で使用させていただいた実際の楽曲はコチラ!

 
『Moen』
アヤノハラグチ

物語を描くように音楽制作からアートワーク、映像制作までトータルプロデュースし、立体音響を含む独自のアートを追及するアーティスト。

記事内に掲載されている価格は 2023年11月27日 時点での価格となります。

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