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遂に発売されたPLUG-OUT SYNTHSIZER SYSTEM-1!世界中で大旋風を巻き起こているAIRAシリーズの第四の刺客はどんなサウンドを放つのか!?実機を手にして大興奮のAIRA Rock oN Lab.所長のACID渋谷が徹底レビューを行います!
96kHz/32bit浮動小数点処理が生み出す限りなくクリアな高解像度サウンド!
SYSTEM-1は2つのシンセサイザーを内部に持つ事が出来ます。1つはSYSTEM-1オリジナルのACBモデリングのシンセ。そしてもう1つはRolandより提供/発売されるACBモデリングのプラグアウト・ソフトウェア・シンセです。第1弾にはあのSH-101が用意されており、2014年7月25日からSYSTEM-1ユーザーに無償提供されます。(SYSTEM-1にDLクーポンが同梱)
このSH-101のソフトウェア上のルックスも最高!通常のグレーに加え、レアな赤と青も用意されており、更にはSYSTEM-1と全く同じレイアウトのバージョンまで用意されているようです。これは嬉しいですね。
従って現時点ではSYSTEM-1のオリジナルサウンドだけが使用出来るのですが、これがまた音が凄い!レンジが広く、上から下までヌケが抜群に良いクリアなサウンドです。AIRA開発担当者によればRolandの歴代アナログシンセの部品をモデリングし、組み合わせたのがSYSTEM-1との事ですが、PLUG-OUTシンセがレガシー系を中心を展開予定なので、その分意識的に派手なサウンドにしているとの事。現代のEDMや派手目なベース系ミュージックに向いた元気な出音が魅力です。
ちなみにSYSTEM-1とPLUG-OUTの切り替えはボタン一発で簡単です。
ユニークな”Super”波形
それではまずはオシレーターから見ていきましょう。
二基のオシレーターにはそれぞれ6つの波形が搭載されています。
1:ノコギリ波
2:矩形波
3:三角波
4:SuperSaw
5:SuperSquare
6:SuperTriangle
アナログモデリングの為ベーシックな波形構成ながら、JP-8000で当時のテクノ・トランスサウンドを決定づけたSuperSAWや、今回初登場となるSuperSquareやSuperTriangle等、分厚いサウンドを作り上げるのにぴったりな波形がチョイスされています。素の状態でも存在感のある、独特な涼しさを持ったサウンドが好印象。
また両オシレーターには「COLOR」というパラメータがあり、LFOやAMPエンベロープに合わせた変調を行う事が出来ます。なおオシレーター1にのみ「CROSS MOD」が搭載されており、オシレーター2の波形でオシレーター2の波形を変調する事で非常に攻撃的なサウンドを生成可能です。この辺りのギラギラとしてサウンドがSYSTEM-1らしい1つの特徴的なサウンドと言えるでしょう。
またリングモジュレーターやオシレーター・シンクも用意されており、とくにオシレーター・シンクは各オシレーターのオクターブの広さ(6段階というMOOGに匹敵する広さ!)も相まって効果抜群です。
そして低音がかなりでます。SYNTHBARでのデモ時にもクロスモジュレーションと共に過激な発振サウンドがFUNKTION-ONEを振るわせていましたが、50Hz付近にピークがあるTR-8のBASS DRUMと同じく、可聴帯域以下の蠢く低音が感じられます。サブオシレーターはOSC1の1,2オクターブ下を設定できます。OSC1のオクターブを下げればサブオシレーターも下がるので豊かな(過ぎる?)低域を作れます。波形は説明書にはありませんが恐らく三角波でしょう。
OSC1と2の音量を絞ってサブオシレーターとノイズだけにして、リバーブを掛ければダビーかつ情感豊かなUKストリート風ベースサウンドが出来上がります。これは個人的にかなりツボでした。
アナログらしからぬ抜群のレスポンス
ここまで触って感じたのは、その出音もさる事ながらエディットのし易さです。まずサウンドの時間軸に沿ったパラメーターレイアウトが分かり易く、全てのパラメーターにアクセス出来ます。ゴム製のツマミが非常に扱い易く手に馴染む漢字が素晴らしい。フェーダーのトルクはTR-8より若干重く感じられ、じっくりとエンベロープを書く事が出来ます。細かい部分ですが、ボタンも押し込み式(カチッとなるやつ)ではないのでは、将来的な故障のリスクも少ないかと思います。中古市場で古いアナログばかり漁っていた筆者には重要ポイントです!
ミキサー以降のパラメーターを見て行きましょう。PITCHはRoland伝統のADタイプ。FILTERとAMPは共にADSRタイプです。フィルターは同時使用可能なローパスフィルターとハイパスフィルターが搭載されており、ローパスは-12db/-24dbの切り替え式になっています。
そして何よりレスポンスが抜群ですね。アナログモデリングでありながら、鍵盤、ツマミ、フェーダーの反応は限りなくリニアに近く、ストレスを全く感じません。ただ、その分「所謂アナログ感」は薄いようにも思います。そこがAIRAシリーズとしてのSYSTEM-1の個性なのかもしれません。アナログレガシーを持ち出すPLOG-OUTと現代的なSYSTEM-1が一台に同居するこの感覚こそ新しいハイブリッドシンセという趣きがあります。
アルペジオを撒き散らせ!新型SCATTER!
SYSTEM-1は他のAIRAシリーズ同様、デスクトップでMAC/PCの横に置けるようデザインされているため、その筐体はとても薄く、軽くそしてスタイリッシュです。薄さを追求する為に鍵盤からアフタータッチは削除され、ピッチベンドスティックはジョグダイヤルへと姿を変えました。ジョグダイヤルを左右に回すベンド方式は最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてしまえば簡単です。
またSYSTEM-1は演奏よりもとにかく「いじり倒して音を創る」シンセと開発の方も言っていた通り、エディットに主眼が置かれているため、このジョグダイヤルにもベンド以外の秘密が隠されているのです。その秘密こそがSCATTERです。
SCATTERの説明の前に、まずはアルペジエイターを見て行きましょう。アルペジオの種類/STEPは6種類ずつ良いされています。このアルペジオはMIDIに同期する事が出来るようで、例えばTR-8のMIDIクロックを受けて、リズムパターンに追従するアルペジオ演奏も可能です。ぶっ太い低音のシンセベースにTR-8のリズムパターンが走れば、気分は完全にイタロディスコ!泣きのフレーズを量産しましょう。
そんな素晴らしいアルペジエイターの機能を更に拡張するのがSCATTERなのです。SCATTERはこれまた他のシリーズ同様10種類用意されています。使い方は簡単!
アルペジオ洗濯中に中央のダイヤルで種類を選択し、周りのダイヤルでDEPTHをコントロールします。こちらのSCATTERが今までのSCATTERと違う点はMIDIにあります。アルペジオで生成されたノート情報を撒き散らし、更にフィルターのカットオフやTEMPOなど、複数のパタメーターをMIDIで撒き散らします!SCATTERが作用しているパラメーターは緑の光が点滅するので一目瞭然。更に手でいじればもっと過激な効果も期待できますね。
以上実機レビューをお伝えしました。
AIRA Rock oN Lab.では今後もTR-8との同期やオーディオインターフェース機能、他機器とのセッションなど多くのコンテンツを予定しております。ぜひご期待下さいね!
記事内に掲載されている価格は 2014年6月25日 時点での価格となります。
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