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SONY 360 Reality Audioを発表し精力的なイマーシブフォーマットへの展開を行うSONYが、満を持して発表したのがMDR-MV1。音楽クリエーション、音楽制作をされるすべてのユーザーに向けたプロフェッショナル向けのフラッグシップモデルの登場です。
5月12日発売予定で、ただいま予約受付中です。
そして同時に、個人最適化されたイマーシブ視聴を実現する360VMEサービスの提供開始もアナウンスされました。
イマーシブ世代のリファレンスモデルのヘッドホンが登場!
スタジオ向けのプロフェッショナル向けの製品としては、業界標準として国内外のスタジオで愛用されているMDR-CD900ST。これは、その型番にもあるようにDigital世代に向けて登場しました。Digital Audioならではのサウンドをしっかりと確認できるように設計が行われたモデルとなります。
次の世代がハイレゾ対応をうたい登場したMDR-M1ST。広帯域かつレスポンスの向上を目指したモデルです。コンシューマ向けには、数多くのモデルを投入しているSONYですが、プロフェッショナル向けのモデルは、実はこの2機種のみ。「SONYの考えるリファレンスサウンドはこれだ!」と方向性を決定づけている、まさに業界標準と言える製品だと言えるでしょう。
そしてSONY360 Reality Audioを発表し、イマーシブ世代のリファレンスモデルとして登場したのが、今回のMDR-MV1となります。
イマーシブに最適な、オープンバック構造を採用
イマーシブのヘッドフォンモニタリングとなると、基本的にはバイノーラル処理されたサウンドを聴くこととなります。バイノーラル再生に置いては、オープンバックのヘッドフォンの方がより広がりを感じられると言われています。そのため、これまでのクローズバックではなくオープンバックで設計されたMDR-MV1は、より良くイマーシブサウンドを確認するのに最適な設計となっていると言えるでしょう。ただ単純にオープンバックにしただけでなく、もちろんイマーシブに最適かつ、リファレンスモニターとして使えるクオリティーを確保するために数々のこだわった設計が行われています。
オープンバック=背面開放型音響構造、単純に穴を空けて開放型とするだけでなく、ドライバー背後の音響特性にもこだわり、内部での反射音、残響音の低減、共鳴音のコントロールなどかなり追い込んだ設計となっています。贅沢にも金属が使われた開放部分は、丸穴とスリットが組み合わせれておりまさに音響設計上のこだわりが強く感じられる部分です。
ドライバーも完全新設計
MDR-MV1はドライバーも完全新設計のものが採用されていて、うろこ状のダンパー部分や、背面に設けられた音響負荷ダクトなど、オープンバック設計にしたことで生じる様々な課題を解消するための工夫が盛り込まれてます。
具体的には低域の再生が大きな課題で、クローズバックと比較するとオープンバックは低域の量感に物足りなさを感じることが多いです。スピーカーで例えるならばエンクロージャーがない状態とも言えるオープンバックにおいては、プロフェッショナル向けのモニターヘッドフォンとして満足できるレベルまでに持っていくために様々な苦労があったということです。
ドライバーの素材は、一般的なPET素材が使われています。もちろん特性の優れた希少素材を使うことも可能ではありましたが、プロフェッショナルモデルとして、この先10年、20年と均一のクオリティーの製品を提供するということを考え、入手性に優れた素材を使うという判断に迷いはなかったということです。30年以上に渡り、同一の製品が提供されているMDR-CD900STの存在を考えれば、イマーシブ時代のリファレンスモデルとして業界標準となることを目指した高い理想が垣間見えます。
装着性
そしてスタジオモニターとして音質以上に重要とも言われることのある装着性。軽いことはもちろん、圧迫感のないフィット、ヘッドバンドの柔軟性など、MDR-CD900STから受け継がれた美点も数多くあります。
重量に関しては223gと軽量であり、ユーザーが自分で簡単に交換可能なイヤーパッドはスエード調の人工皮革で肌触りのよい高級素材が奢られています。クッション部分は、大口径に設計されており耳たぶをすっぽりと覆うものになっていて、これも長時間の装着を考えると重要なポイントです。耳たぶが圧迫される不快感がないということは実はかなり重要なポイントになります。
残念ながら、オープンバックのため音漏れはそれなりにあります。そのため、録音時のミュージシャン用という用途に使用の際には、注意が必要です。
しかしイマーシブ世代の立体音響の正確な再現性、5Hz~80,000Hzというカタログスペックにも現れている広帯域再生、オープンバックの弱点である低域の再生も十分な量感を待たせる様々な工夫がされてあるので、収録時はMDR-M1STを、ミキシング作業になったらMDR-MV1をという使い分けもありと思わせる実力があります。
肝心のMDR-MV1のサウンドチューニングは、世界各国の現場のエンジニアからのフィードバックを受けて追い込まれています。数値上のスペックをいたずらに追い求めるのではなく、実際にサウンドを聴いて音楽的な再生が行われているか?エンジニアとして聞きたいところがしっかりと聞こえるか?実際にそのサウンドを聴くと、そういった世界の一線で活躍するエンジニアの意見が取り込まれていて、解像度とバランス感の最適解がしっかりと答えとしてこの製品に盛り込まれていることがわかります。
イマーシブサウンドの再生時には、オープンバックの効果もあり、非常に立体的なサウンドを聴くことができ、ここはイマーシブ時代のリファレンスと謳うだけのことはあります。
360VMEとは
そしてイマーシブ時代のリファレンスとしてさらなる高みを提供すべく、360VMEサービスの提供開始もMDR-MV1と同時に発表されました。
360VMEとは、Virtual Mixing Enviromentと呼ばれるSONYの技術です。既にハリウッドのスタジオで活用されており、ヘッドフォンモニタリングで、スタジオと同様のモニタリング環境を提供する技術として活用されています。今回発表されたサービスは、弊社Media IntegrationのMIL studioでの360VMEのプロファイル測定、及び提供が開始されるというものになります。
具体的には、MIL studioに測定を行う方にお越しいただき、専用の測定用マイクロフォンを使用してスピーカーからの音声と、ヘッドフォンからの音声をそれぞれ測定し、その差分から、ヘッドフォンでのモニター時に、あたかもスピーカーから再生された様に仮想的に再生を行うものとなります。まさにMIL studioのスピーカーでのモニタリング環境をヘッドフォンで持ち帰っていただくというサービスです。
測定を行ったデータのご提供とともに、このデータをヘッドフォンに適用するための360VMEアプリケーションも合わせてのご提供となります。
360VMEの実力はぜひとも体感してもらいたいですが、測定時に物理スピーカーとヘッドフォン内部に存在する仮想スピーカーを聴き比べることが可能です。それはヘッドフォンをしているにも関わらず、目に見えているスピーカーから音が出力されているように錯覚するほどです。ハリウッドでも認められたその実力は間違いないもの。精度の高い係数によるバイノーラル視聴環境は、イマーシブミキシングを行うことにおいて必須とも言える個人最適化されたHRTFを手軽に入手する手段となります。
日本国内においては、MIL studioがサービス開始時点で唯一の測定拠点となります。ワールドワイドで見ても、New York、Los Angels、Tokyoという3拠点でのサービス開始となります。既に様々なメディアでもお伝えしていますが、イマーシブの再生環境としてのMIL studioは高い評価を頂いていて、その環境をヘッドフォンの中に閉じ込めて持ち帰ることができる。それが360VMEサービスです。
この360VMEサービスは、みなさんが普段お使いのヘッドフォンに向けて最適化を行うことも可能です。しかしMDR-MV1はその設計段階から360VMEでの最適化が図られているため、360VMEの実力を最大限に引き出すことのできる製品であるということが言えます。
イマーシブ時代のリファレンスであるということはもちろん、360VMEサービスと組み合わせることでその実力を100%発揮するソリューションとなるということです。
ROCK ON PRO / 前田洋介
★360VMEについての関連リンク
https://www.sony.co.jp/Products/create360RA/360VME/
https://www.minet.jp/brand/sony-360-vme/sony-360-vitual-mixing-environment/
記事内に掲載されている価格は 2023年4月11日 時点での価格となります。
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