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近年、ダンスミュージックやPOPSのみならず、ゲーム・アニメの劇伴制作においても重要視されているローエンドのコントロールと低音拡張。今回、サウンドエンジニア・遠藤淳也氏にLeapwing Audioのマルチバンド・サブハーモニクス・プラグイン『RootOne』をテストしていただきました。今回は、プロのエンジニア目線から見たRootOneの音響特性、マスタリングやアコースティック楽器への応用、そして現代のトラックメイカーや劇伴作家における導入のメリットについて、お話を伺いました。
クリアなローエンド拡張を可能とするマルチバンド・サブハーモニクス・プラグイン!
RootOneは、ローエンドに対してサブハーモニクス周波数を生成するための新しい方法です。オリジナルサウンドの位相に準拠した低音拡張を行うことで、まとまりの良さを維持しつつローエンドをよりパワフルにするための機能を搭載しています。
驚異的なクリアさと立体感。原音の位相とトランジェントを維持する設計

Rock oN : 今回、Leapwing Audio RootOneをお試しいただきましたが、第一印象はいかがでしたか?
遠藤 : とにかく一番最初に浮かんだ印象は「非常にクリア」であることと、音に対する「立体感」でした。従来のローエンド拡張系プラグインだと音群が濁ってしまったり馴染まなかったりすることが多いのですが、RootOneはメーカーが謳っている通り、位相(フェイズ)の問題に非常に配慮して作られているのが音からしっかり伝わってきます。
特にアタック感やトランジェントの制御が絶妙で、立ち上がりのデフォルト設定が非常に控えめかつナチュラルなんです。原音のサブハーモニクス成分やトランジェントを消さずに補強してくれるため、ボーカルに対してショートディレイをかけた時に少し浮き上がるような、独特の美しい立体感が生まれるのが印象的でした。一言で言うと「非常に高級な音」に仕上がります。
下へ刺さる重低音。マスターバスでも威力を発揮する「品の良い」倍音処理
Rock oN : RootOneにはサブハーモニクスを生成・ドライブさせる機能や、3バンドでの周波数分割、1オクターブ上のハーモニクスを調整する機能が備わっています。実際のトラック処理ではどのように活用されましたか?
遠藤 : 最初はキックやベース単体で使用していたのですが、あまりにも音がクリアだったので「これはトータル(マスターバス)にかけたらどうなるだろう?」と思って試してみたんです。そうしたら、マスターにかけた時の印象がめちゃくちゃ良かったんですよね。RootOneはサブハーモニクスによって下に全体の重心がグッと下がりつつも嫌な濁りが少ないので、ボーカルなどの重要な要素を邪魔することなく、全体に自然な潤い感や厚みを与えて安定したマスターに仕上げてくれます。
また、ドライブつまみで生成した歪みをハーモニクスに送る際も、奇数倍音に振り切ったカラー(COLOR)モードに設定しても攻撃的でギザギザした不快なディストーションにはなりません。原音とサブハーモニクスを繋ぎ合わせる「小麦粉」のような役割を果たしてくれて、非常に上品に1つの音として馴染ませてくれます。

ダイナミクス可変と、アコースティック楽器・劇伴へのアプローチ
Rock oN : トラックの性質に応じたダイナミクス制御や、シンセ系以外の楽器へのアプライについてはどのように感じられましたか?
遠藤 : RootOneのダイナミクス(Dynamics)パラメーターは初期状態だと原音のダイナミクスやエンベロープに忠実に追従して動作します。そこからパラメーターを上げていくとダイナミクスが圧縮され、アタックが抑えられてサステインが伸びていくため、よりエレクトリックな質感や音圧重視の調整へ作り込んでいくことが可能です。そして、僕が特に面白いと感じたのが「アコースティック楽器への応用」です。アコースティックピアノや打ち込みのストリングス、ブラスセクションなどのローエンドやローミッドにうっすらとRootOneを混ぜてあげると、EQで低域を持ち上げた時とは全く違う自然な潤い感や高級感が生まれます。まるで映画のサントラ(シネマティック)のようなレンジの広い、リッチなサウンド像へ変化させることができるんです。単なるローエンド補強にとどまらず、音源のグレードを引き上げるツールとしても非常に有効だと思います。
従来製品との違い、そして現代のクリエイターへ届けたい価値
Rock oN : WAVES MaxxBassやRベースといった従来のサブハーモニクス・プラグインとの違いや、どのようなクリエイターにおすすめしたいか総評をお願いします。
遠藤 :私も今だに使うことがありますが、MaxxBassなどのプラグインは、低音を感じさせるために上の広範囲な倍音を出して耳の錯覚を利用する手法が取られてました。RootOneはその手法をよりブラッシュアップして使い勝手を向上させた印象です。3バンドに分けた正確なサブハーモニクスに加え、右側のハーモニクス(Harmonics)セクションで1オクターブ上の倍音を個別にコントロールできます。これによって、小型スピーカーやヘッドホン環境でも音程感や輪郭を補完しつつ、超低域のエネルギーを位相ズレなく再現できるように現代的にリメイクされています。
昨今のトラックメイキングでは、キックやベースを過剰に歪ませてパンチを出す手法も増えていますが、RootOneはこれとはまた違った方向で原音のアタック感をしっかり残したまま、クリアで豊かなローエンドを作ることができるので、EDMやHIP HOPなどのダンスミュージックのトラックメーカーはもちろん、劇伴作家やミックスエンジニアにまで幅広く試してほしいですね。

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記事内に掲載されている価格は 2026年10月13日 時点での価格となります。
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