昨年驚きの低価格で鮮烈なデビューを果たした1176タイプコンプ「WA76」から業界でも高い認知度を誇るに至ったWarm Audioがまたやってくれました!スタジオレコーディング黎明期の1950年代から現場を支えてきたEQ、Pultec EQP-1aを現代のデジタル環境に適応させながら低価格を実現した「EQP-WA」がこの度発売となります!
EQP-1aとは?
Warm Audio EQP-WAのベースとなったEQP-1aはPultec社が初のパッシブEQとして1951年にリリースしたもので、1980年前半のPultec社閉鎖までフラッグシップ機として生産され続けたモデルです。
システムの根幹部分を担うパッシブイコライジング回路に関しては、音声付きの映画上映システム(トーキー)を実用化したことで有名なWestern Electric社からライセンスを受けたものです。そもそもパッシブEQとは予め全ての周波数帯域を減衰させておき、ブーストを行う場合はその周波数帯域を減衰させないように動作させる事で実現させています。つまり、その減衰させた分はロスとなってしまうためにそのままでは通しただけで音声信号が小さくなってしまい、大変使いづらくなってしまいます。そこでPultecは上記のライセンス技術に手を加え、「パッシブEQ+ラインアンプ」という構成でその問題を解決しました。結果、バイパスをした場合にも真空管ラインアンプを通るために「通すだけで音が良くなる魔法のイコライザ」としてエンジニアを魅了するに至ったのです。
その後現在に至るまでにManleyやTubeTechといったビッグメーカーが復刻モデルを発売、UADやWAVESといったプラグインメーカーもこぞってモデリングプラグインをリリースしており、まさにEQの代名詞といっても良い存在となっています。その秘訣はやはり自然な変化・サウンドが得られるからでしょう。デジタルやモダンな設計のアクティブタイプEQでは成しえないものをこのEQP-1aは持ち合わせているのです。
EQP-WAの持つポテンシャルとは
では次はWarm Audio 「EQP-WA」を見ていきましょう。先ず目に入るのは赤い文字で刻印されているChine Mag社のライントランス。アメリカを本拠地とするChineMag社は、スウェーデンのLundahl、イギリスのCarnhillと並ぶ3大オーディオトランスメーカーの一社で、同じアメリカを本拠地とするAPI社の製品に採用されていることが有名です。WA76でも聴くことのできた力強いサウンドの根源と思われますが、EQP-WAにも搭載されることでより一層サウンドクリエイトの幅が広がるのではないかと思います。また、12AX7と12AU7の真空管というオリジナルと同様の構成を採用したラインアンプ回路、ロータリースイッチに直付けされた周波数選択回路と、信頼性の高い現代的な実装ながらも回路構成はあくまでもオリジナルのEQP-1aのものを踏襲したものとなっています。
またEQP-WAは今までのWarm Audio製品で採用されてきたACアダプタ駆動ではなく、ハイエンド機に多く見られるトロイダルコアトランスによる非スイッチング回路を採用しています。真空管をドライブするための高電圧を生成するための変更だと思われますが、こういった構成を見てもとても10万を切るような回路に見えません・・・
Warm Audioの気合が詰め込まれたEQP-WA、いかがでしたでしょうか。プラグインでは物足りない、求めるサウンドが得られないといった方に最初の1台として満を持してお勧めできる1台に仕上がっています。また、機材好きな方であれば電源部分のコンデンサー交換やトランス交換といった各種改造の後に自分好みの改造を施す方も出てくるかもしれませんね。
2015年6月現在、Rock oN Company渋谷店にて絶賛展示中ですので是非ご視聴にいらしてください!
記事内に掲載されている価格は 2015年6月22日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ