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18
Jan.2023
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サウンドプロデューサー・中條謙自氏が語る、NEUMANN KH 80 DSP導入効果 〜ゲームオーディオとの相性とは〜

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これまでNeumann KHシリーズを実際に使用しているエンジニア・アーティストに何度かインタビュー取材をしてきましたが、今回は主にゲームオーディオを得意分野とするサウンドプロデューサー・中條謙自氏に自宅スタジオにて使用しているKH 80 DSP/ MA 1についてお話を伺いました。

幅広いジャンルの音楽制作を要求されるゲーム音楽、さらには効果音や音声、MAなど多彩な用途で活用しているということで、その導入の経緯や使ってみた印象をご紹介したいと思います。

プロフィール

中條謙自(なかじょうけんじ)

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株式会社ATTIC INC.(アティック・インク)代表取締役。ゲームオーディオを得意分野とするサウンドプロデューサー。

ワクワクを生み出す司令塔。音楽/効果音/音声制作/MAと多分野の制作を取りまとめる傍ら、自らもサウンドデザイナー/エンジニアとしても制作に携わっている。

コーエーテクモゲームス出身。『真・三國無双』シリーズの作編曲、『戦国無双』シリーズや『討鬼伝』など数々のヒット作のサウンドディレクターを歴任したのち独立。ATTIC INC.設立後は『ポケモンマスターズ EX』をはじめ数多くの作品を担当。サウンドプロデューサー&クリエイターとしてゲームオーディオの枠に囚われない幅広い活動を行っている。

モニタースピーカーに求める条件とは

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Rock oN : 中條さんがミックスの際に、モニタースピーカーに求める条件は何ですか?

中條 氏 : 私はサウンドプロデューサーとして8割くらいゲーム関連の仕事をしているのですが、オーケストラ系だったりバンド系、エレクトリック系など色々なタイプの音楽ジャンルを扱っています。それ以外にも効果音制作、MAとあらゆるタイプのサウンドを鳴らしますので、特定のジャンルで強みを発揮する個性のあるスピーカーよりは、汎用的に使える優等生タイプの出音のするスピーカーを選んできました。

Rock oN : これまでに色んなモニタースピーカーを使って来られてきたと思いますが、参考までに、機種名やその印象をお聞かせください。

中條 氏 : Focal Twin6 beは、恵比寿にある弊社のATTICスタジオに設置して使用しています。Focalのこのシリーズは中低域に少しクセを感じますが、解像度の高さと余裕のある鳴り方で、ジャンルを問わずに使用出来るので、とても好みのモニターです。

それとATTIC設立時最初に導入したのがADAM AUDIO A7Xです。価格の手頃感もありましたし、元気なサウンドなので特にバンドサウンドが楽しく聴けるスピーカーですね。

Neumann KH 80 DSPを導入した経緯

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Rock oN : Neumann KH 80 DSPを導入するきっかけはどういった経緯があったのでしょうか?

4年ほど前に中古マンションの一室を購入してリノーベーションした際に、施工業者にお願いして、自宅でも制作作業が可能なスタジオを作りました。3畳弱の小さな空間で浮床構造で吸音処理して200Vの電源も引いて、ADAM AUDIOのA7Xを稼働させていたのですが、狭い空間ということもあり、大口径のモニタースピーカーの出音が暴れてしまっていたんです。いい鳴りをするスピーカーを選んでも、それをきちんと鳴らせる環境でないと能力を発揮できないということを反省しましたね。

そこで新たに小口径のモニタースピーカーを探している中でRockoNのスタッフに相談し、いろいろなモニタースピーカーの試聴比較をさせてもらっている時に、Neumann KH 80 DSPに出会って、一聴して気に入りましたね。色々なソースを鳴らしてみて自分の想定した音像で鳴ってくれた感じで、それは実際に部屋で鳴らしても同じ印象でした。

Rock oN : Neumann KH 80 DSPの印象を自由にお聞かせください。

中條 氏 : これが本当に4インチウーファーのモニターなの?とびっくりする解像度と低域再生能力でした。低域も高域も延びている印象で、おそらく中低域や中高域の出音にピークが無いので見晴らしが良くクリアに聞こえるのでしょうね。個性や特徴を押し出している方向性のモニターとは違い、ソースの音像を忠実に再生してくれる方向性で、様々な音楽ジャンルが再生できるし効果音制作にも適しています。コンパクトながらサブウーファーを導入していなくても低域まで把握できる、僕の環境にとって最適なシステムが出来上がりました。

それと声がとてもわかりやすくて、MAでのナレーション位置なんかも決めやすいですね。

MA 1の印象

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Rock oN : モニター設置の計測ツールがいくつかありますが、計測を実施することによって得られる利点はどんなことがありますか?

中條 氏 : MA 1は作られた音がせず自然に補正されている印象ですね。ここの部屋は中域がデコボコする印象だったのですが、そこがうまく取れてスッキリ聞こえるようになりました。他のメーカーの補正ソフトウェアも使ってみたこともあるのですが、低音が持ち上がってどうしても作られた音の印象があったので、それよりも綺麗になって定位感もよりはっきりして全然変わった印象を受けました。

Rock oN : MA 1の効果、メリット、使い勝手など、自由にお聞かせください。

中條 氏 : MA 1発売前は色々なメーカーの補正システムを使用していましたが、それと比べて補正精度と位相感が圧倒的に良いと感じました。サードパーティ製の補正システムを使った時のような「補正感」をほとんど感じなくて、とても自然な補正をしてくれます。

それと何よりプロファイルした測定結果をスピーカーに記憶できるのがいいですね。DAW上のプラグインでオン/オフを入れるのを忘れるリスクも無くなったことは大きいメリットです。

おすすめのユーザーは・・・?

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Rock oN : 最後にKH 80 DSPやMA 1をどんなユーザーにおすすめしますか?

中條 氏 : 自宅のプライベートスタジオで作業しているクリエイターにおすすめしたいですね。僕は様々なジャンルの音楽を扱いますし、効果音制作やMA、ダイヤログ編集も行なっていますので、癖のない優等生な出音がとてもありがたいんです。同じように幅広い音楽ジャンルを手がけていらっしゃる作曲家さんや様々なオーディオ素材を扱うゲームクリエイターのみなさんにも力強い味方となってくれるモニタースピーカーだと思います。

日本のクリエイターの制作環境の多くは狭い部屋とルームアコースティックの影響で、本来のモニタースピーカー性能を発揮させられずにいると思います。特に6~7インチあたりを検討されている場合には4インチのこのモデルも候補に入れてみてください。設置面積も小さくて済みますし良好な結果を生む可能性も大きいと思います。

4インチモニターの価格としては高額ではありますが、価格を抑えるための犠牲を払っていないモニターで、小さいサイズでバランスが整うKH 80 DSP + MA 1 のシステムは有用だと思います。

●製品情報

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・KH 80 DSP(1pair)
NEUMANN KHシリーズ初となるDSPを搭載、4インチ+1インチ、120W+70Wの高効率アンプ
・コンピューターモデリングによるキャビネットの設計と低共振材料(LRIM™)の採用
・最適化された指向性コントロールにより、あらゆる環境下でも優れたディテールを採用
・iPad®アプリのNeumann.Control、もしくはMA 1ソフトウェアを採用することでリスニングルームに合わせた音場調整が可能。

KH 80 DSPは、コンパクトなDSP搭載2ウェイパワードニアフィールドモニタースピーカーです。デジタルコアを用いてフィルタリングやルームアジャストメントを自在に行えるため、どんな環境でもリファレンスクラスのサウンドを実現できます。

NEUMANN
KH 80 DSP(1pair)
¥169,400
本体価格:¥154,000
2541ポイント還元

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・MA 1
DSP搭載のNEUMANNモニタースピーカー用アライメントマイク

MA1はノイマンのスタジオモニター用に開発されたオートモニターアライメントマイクです。 世界有数のオーディオ信号処理研究所であるフラウンホーファー研究機構(IIS)と共同で開発されたキャリブレーショ ン・アルゴリズムは、音響的に処理されていないホームスタジオからプロフェッショナルなコントロールルームまで、個別調整された測定用マイクを使用して、音響環境をガイド付きのプロセスで分析します。あらゆる環境で可能な限り最高のモニタリング品質を実現します。

NEUMANN
MA 1
¥41,580
本体価格:¥37,800
1247ポイント還元

メーカーHP

NEUMANN
https://ja-jp.neumann.com/

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記事内に掲載されている価格は 2023年1月18日 時点での価格となります。

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