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音源ソフトウェアを選ぶにあたって、皆さんはどのような基準で製品を選びますか?市場には製品や情報があふれていて、どの製品が自分に合っているのか迷われている方も多いと思います。
私の場合は、こういうポイントで製品を選びます。(by Synthe Master HATA)
1. 一通りのサウンドが収録されていて、なおかつ音色を探しやすい
2. 音色のロードに、いちいち時間がかからない
3. 何かしらのオモシロい機能がある、そして音色エディットが簡単
こういうポイントから選定して、今回ご紹介するのが現在爆発的な人気(売り切れになる事多し)となっているIK Multimediaのソフトウェア・シンセを3種類パッケージした「Total WorkStation Bundle」です。言い換えると「これ一つでソフトシンセは十分だよ」バンドル、といった所でしょうか(?)。このパッケージには、いずれも人気の SampleTank 2XL、Sonik Synth 2、Miroslav Philharmonikの3種類のソフトシンセがパッケージされています。
前提として、私は基本的に ”作曲とアレンジ” をするタイプです。”1個の音をひたすらエディットし続けて、超オリジナルサウンドを作るぞ”という事はあまりなく、またそういった作業は、最近購入した KORG / R3(これもかなりオモシロい!)で楽しんだり、SampleTank 2XLにオリジナルサウンドを「インポート」して使います。もちろん後ほどご紹介しますが、Total WorkStation Bundleでもかなり音色のエディットは可能です。 Total WorkStation Bundle Upgrade :
1.「一通りのサウンドが収録されていて、なおかつ音色を探しやすい」
先にも書きましたが、Total WorkStation Bundleには3種のソフトウェア・シンセがパッケージされています。
SampleTank 2 XLは 定番のマルチ音源。語弊を恐れずに言えば、RolandのFantomシリーズや、ヤマハのXSシリーズあたりと同じ方式の音源となります。ただし収録し ている音色は、数百MBなんてものではなく、約7.5GB!ピアノやエレピ、ベースもシンセも、ブラスも生ドラム/エレクトリックドラムも、各種のループ なんかも収録。ほとんどの場合、これ一個で行けます。
Sonik Synth 2は、 SampleTank 2エンジンを使用し、Sonic Reality社がライブラリ制作を手がけています。RolandのSR-JVエクスパンションボードシリーズで大ヒットし、今でも根強いファンをもつ 「Keyboards of the 60’s and 70’s」、「Vintage Synth」の制作を行ったのが、何を隠そうこのSonic Reality。その後もAKAIフォーマットのライブラリを多数制作し、今はIK Multimedia社とパートナーシップを組み、こうしてできあがったのがこのSonik Synth 2。約8.5GB。
収録サウンドも 味わい深いエレピや、しっとり美しい響きのピアノ、弦の振動が生々しく伝わるようなベース/ギター、民族楽器、ポップスに適した響きのブラス、ファンが多 いアコースティック/エレクトリックドラムまでを収録。その他、自他共に認めるシンセマニアである彼らが集めた大量のシンセオシレーターを収録し、 Sonik Synth 2の強力なシンセエディット機能を使って、分厚いリードやパッド、複雑なモジュレーションを組んだり…なんて事も簡単にできてしまいます。
最後のMiroslav Philharmonik。 これはオーケストラ/クワイヤの専門ライブラリ。オーケストラ専門のライブラリって、他にもたくさんのメーカーから様々な物がでていますが、この製品の最 も素晴らしいのは、何よりもポップスとの絡みがイイ!という事。ハリウッドムービーでも作るかのような無闇なド派手さもなく、かといって地味という事もな い。そして鍵盤で演奏しているときに、非常に気持ちがいいというのもポイントです。こればかりは言葉で伝えきれない部分なので、ぜひRock oN店頭でお試しください。
ストリングスはソロ/アンサンブルに分けて収録。他にも管楽器、ティンパニなどをはじめとする打楽器、SampleTankやSonik Synthとは毛並みの異なるピアノなどを収録しています。総容量は約8GB。
…と、このようにTotal WorkStation Bundleには3つの製品がバンドルされており、音色のバリエーションに困る事はありません。しかし音色数が増えるとともに付きまとう問題が「目的の音 色を探すのに時間が掛かる」というのがあります。でもTotal WorkStation Bundleならそんな心配もありません。
これがSampleTank 2の音色セレクト部分ですが、このようにまずは楽器毎にリストが用意されています。例えば「Roland TR-808系のヴィンテージリズムマシンの音が欲しいなぁ」と思った時には…
リ ストからDrums>Electric Drums>800 Seriesと選ぶだけ。たったの3クリック。これ、当たり前のように思われるかもしれませんが、SampleTankシリーズは特に直感的で迷う事なく 音をセレクトできます。もちろんTR-808系にも色々なバリエーションがありますから、さらに深い階層から別の物を選択することも+数クリックです。ア イデアが浮かんだ瞬間に、即座に音色をセレクト。目的の音色が見つからずにアイデアが薄れてしまうという事も少ないでしょう。
2.音色のロードに、いちいち時間がかからないこれも大事なポイントです。音色を見つける事が素早くできて も、ロードに時間が掛かってしまっては意味がありませんよね。特に最近はどんどん大容量化が進 んでいます。それに連れてコンピュータの能力も上がってはいますが、音色のロードに数十秒〜数分かかるといった事も、珍しくはありません。で はTotal WorkStation Bundleはどうか。これが実によくできています。それぞれの音色によって多少の差はあるものの、比較的大きめのサウンドをロードしても、ものの数秒、 場合によっては1秒かかりません。もちろん使用するマシンによって変動はありますが、Apple / Power Mac G5 / 2.0GHz Dualという数世代前のマシンでも、ほとんどストレスなくサクサクとロードします。
どこに秘密があるのかというと、これは単純な理由で、一つ一つのサウンドが極力小さめに抑えられているからなんですね。先にも書いた通り、大容量化 が進ん でいる今、安易にその波に乗らないという事を選んでいるように思えます。その代わりに、卓越したシンセプログラマーが一個一個の音色をていねいにプログラ ムしている印象が強く、容量を気にさせない「鳴りの良さ」が感じられます。
● 3.何かしらのオモシロい機能がある、そして音色エディットが簡単
Total WorkStation Bundleは、ただ単に音をならすだけではなく、もっと面白い機能を搭載しています。それは、1つのソフトシンセの中に3つのエンジンを搭載していると いう事!これは、SampleTank 2、Sonik Synth 2、Miroslav Philharmonikすべて共通です。
・エンジン1 – Resampling
ごく一般的なシンセエンジン。ほとんどのハード/ソフトシンセがこの方式です。
・エンジン2 – PS/TS
ピッ チシフト/タイムストレッチの事ですね。ドラムループやボーカルフレーズなどを再生するときに、SampleTankはボタン1つでシーケンサーのテンポ に同期してくれる機能がありますが、従来のエンジンではテンポが変わると(カセットテープのように)ピッチも変わってしまうという事がありました。これを 回避してくれる便利なエンジンです。
・エンジン3 – STRETCH
「ストレッチ」エンジンと読みます。
SampleTank Time REsynthesys TeCHnology の略との事…ちょっと無理矢理感がありますね…(笑)それはさておき。
言葉で説明するのがものすごく難しいので、メーカーサイトのオーディオサンプルを聞いてみてください。音のピッチやテンポ、さらにハーモニクス (フォルマ ントとも言います)を独立してコントロールすることで、これまでのシンセでは失われてしまっていた「表現力」を再現してくれます。
http://www.sampletank.com オーディオサンプルページへのリンク
また、 Total WorkStation Bundleは1つの音源で16パートを同時に扱う事ができます。パート1はドラム、パート2はベース、パート3と4はパッドサウンドをレイヤー(重ね) して…なんて使い方が可能。しかも、各パート毎に5個ものエフェクトをかける事ができます。エフェクトのリストは左の画像をクリック拡大してご覧くださ い。
ここまでくると、もう至れり尽くせりですねー。あとは思う存分作曲して、アレンジに時間をかけ、いい曲をたくさん作る!という事に時間をかけましょう。「シンセの使い方」に時間をかけるよりも、「作曲やアレンジ」に時間を使いましょう!
いかがでしょう。音源選びは音楽を制作する上での重要なツールですから、自分の手足と同様に使いこなせるような物に巡り会いたいで すよね!Total WorkStation Bundleは初心者の方から中〜上級者の方まで、幅広くおすすめできる製品です。Rock oN店頭では、じっくりとお試しいただける環境も用意いたしておりますので、いつでもお気軽にお越し下さい。
記事内に掲載されている価格は 2007年8月9日 時点での価格となります。
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