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NAMM 2016

制作機材の最新動向がここに。現地アナハイムからの熱狂レポート、会場の空気を切り取る動画レポートも多数!

23
Jan.2016
REPORT

SHURE (1)

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SHUREから新製品のカーディオイドのダイナミックマイクKSM8が発表されました!

shure_ksm_logoSHUREのダイナミックマイクといえば大定番のSM58が今年でリリース50周年を迎えます。SHUREがその節目に今まで無かったダイナミックマイクを作りたいという思いを込めて開発されたのがこのKSM8なのです。

商品名にもある「KSM」とは、SM > BETA > KSM というSHUREマイクのグレード最上位を示します。これまでほぼ全てのラインナップがコンデンサーマイクだったKSMシリーズに初めてダイナミックマイクが加わることになります。
ちなみに左のロゴマークはSHURE製品の中でもフラッグシップのKSMシリーズにのみ関されるものです。KSM8はメッシュグリルにこのマークが刻印されているのですが、もう一つ、このマイクの大きな特徴を示す場所にも刻印されています。

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メッシュグリルを外すと現れるKSMのロゴマーク。この誰も見た事がない特徴的な形状のこれこそがSHUREのアコースティック技術の粋、2枚のダイヤフラムを備えたDUALDYNE(デュアルダイン)カプセルなのです。

shure
ロゴマークの刻印された銀色のTopプレートの下にそれを支える黒いプレートがあり、さらにその下に1枚目のダイヤフラムが存在します。このダイヤフラムは一般的なダイナミックマイクとようにコイルにつながっており、固定されたマグネットのすぐ側を前後可動します。

2枚目のダイヤフラムはボイスコイルに接続されず、電気信号を直接生み出すことはしません。しかし2枚めのダイヤフラムはカプセルの中に作られた空洞内の空気を介して1枚目のダイヤフラムにつながっており、カプセル下部からの空気振動を1枚目に伝えます。

ダイナミックマイクの仕組みはよくスピーカーの逆に例えられますが、KSM8の2枚のダイヤフラムはさしずめパッシブラジエーターの逆と例えてもいいでしょう。

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前代未聞の2枚のダイヤフラムが採用されたDUALDYNEカプセルはもちろん優れた音響特性を持つために用いられた技術ではありますが、UNIDYNE 3(ユニダイン 3)カプセルを搭載しているSM58と比較した場合、以下のようなものが挙げられます。

1.近接効果を劇的に改善

SHURE SM58の個性でもあった近接効果が改善されています。音源ソースがマイクから離れて行く際、音量は下がっても音質は極力変わらない特性を実現。(近接効果を利用してパンチある低音を出すボイスパーカッションなどはSM58をセレクトした方が良い結果が得られそうです)

2. スイートスポットが拡大

マイクの軸から口の位置がずれたとしても、一定の音質を保ちます。

3. 周波数特性の劇的改善

SM58など一般的なこれまでのマイクにはその構造上、f特に1kHzあたりにピークとディップを繰り返す特徴的クセがありました。KSM8はそれをよりフラットにワイドレンジにチューニングされ、まさにコンデンサマイクに肉薄する特性を持つことに成功しています。

4. 破裂音の耐性を強化

ボーカル用として口に近い位置で使用されるマイクは強い破裂音を受けることを避けられません。KSM8はロゴが刻印されたプレートがこれを防ぎ、直接1枚目のダイヤフラムに強すぎる音が伝わることはありません。しかしながら歌声はダイレクトにダイヤフラムまでピュアに到達するという魔法のようなセッティングが施されています。

5. 軽量化に成功

SM58に採用されているUNIDYNEカプセルには重量のあるアルニコマグネットが採用されています。さらにグリップ部はハンドリングノイズを軽減させる『ニューマティックショックマウント』が内臓されていることと、マイクを持ったときに重いカプセルとバランスを取るためにわざと重めに作っているため、SM58は298gと比較的重くなっています。

KSM8には最適化されたニューマティックショックマウントが搭載されていながらも、比較的軽量に作ることができるネオジウムマグネットが採用されたため、グリップ部はスリムに軽量に仕上げることができました。


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KSM8はシルバーとブラックの2カラーバリエーション。価格は約$500前後。SM58が¥14,000前後と考えるとやはりハイエンドらしい価格設定ですが、handheld型コンデンサーマイクと比較すると手頃な価格といえるでしょう。

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続いてこちらはワイヤレスシステム用DUALDYNEカプセル(メッシュグリルを外してあります)。ワイヤレスにおいては軽量さが功を奏し、華奢なアーティストが長時間使っても疲れにくいというメリットがあります。


メーカー担当者によると、SHUREの開発部ではイヤホンとマイクは同じエンジニアが開発する機会も多くあるとか。つまりイヤホンとマイクとでは同じノウハウが共有され、より理想的な製品を生み出す礎になっているということです。

開発当時、ワイヤードマイク(ワイヤレスは除くという意味)の開発リソースは全てKSM8に充てられたということで、SM58誕生50周年の節目でSHUREが次のスタンダードを目指して尽力したことが伺い知れます。

Writer . Tomita

※NAMM 2016会場ブースからの動画レビューはこちら!>>

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    記事内に掲載されている価格は 2016年1月23日 時点での価格となります。

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