IK Multimediaからもいくつか新製品の発表があったのですが、特に面白かったものを2つご紹介したいと思います。
T-RackS Sunset Sound Studio Reverb
リバーブと銘打っていますが、Sunset Sound Studioでのレコーディング体験をそのままトレースするためのソフトウェアと言い換えてもいいかもしれません。Led ZeppelinやThe Rolling Stones、Van Halenと言った錚々たるバンドのレコーディングが行われてきたSunset Sound Studioのレコーディングブースやボーカルブース、エコーチャンバー、プレート/スプリングリバーブのインパルスレスポンスを実際にSunsetのマイクとコンソールを通して収録したものがこのSunset Sound Studio Reverbです。運良く別室で実際の音を聴くことが出来たので印象をお伝えしたいと思います。
まず部屋によってダンピングの量が選べたり、マイクポジションが選べるようになっています。狭い場所で録音したドラムにアンビエンスをつけたい、宅録したソロヴァイオリンをバンドアンサンブルに馴染ませたい、なんてことは音楽制作をしていると結構な頻度で起こるかと思うのですが、ブースのIRをかければかなり良い具合にアンビエンス、部屋鳴りを付与することが出来そうです。実際にはリバーブをかけるという行為ではあるのですが、どちらかというとSunsetでのドライな録り音をシミュレートするためのプロセスと言った印象でした。プラグインの中でdry音とwet音の音量を別々に制御出来るため、インサートエフェクトでも気軽に使えると思います。
同様に、例えば宅録のデッドなボーカルのソースが手元に届いた場合であればSunsetのボーカルブースのIRをかけてやれば「Sunsetで録ったドライ音」を生成できるため、ドライなレコーディングを少しだけライブにしてからミキシングを始めることが出来るようになると思います。
こうしたIRのリバーブはIRの品質こそが全てと言っても過言では無いのですが、
こうしてスタジオの監修を受けつつ特定の部屋、機材環境の音を再現することにフォーカスを絞ったIRライブラリというのは使用する上で非常に信頼出来ると思います。
現在予約を受付中で、イントロプライスの17,990円で購入できるようです。発売時期は1月中を予定していますが、2月に少しずれこむ可能性もあるとのことです。
製品ページはこちら
https://www.ikmultimedia.com/products/trsunsetsound/
Z-TONE DI/Z-TONE Buffer Boost
Axe I/Oの登場の際「Z-TONEは面白そうだな〜いいな〜」と思ったものですが、IKがなんとその部分を切り出してDI、バッファーにしてしまいました。エレキギター(特にパッシブ)は出力インピーダンスが非常に高い上に回路構成によって個体ごとに値が異なるのですが、受け側(DI、バッファー、オーディオインターフェース)の入力インピーダンスとのマッチ/ミスマッチ具合によって音質に大きな変化が生じます。このZ-TONEはユーザーが連続的に調節可能な可変入力インピーダンスを採用することによって、使用するギターごとに最適な音色を設定出来るようにしてくれるギタリストの救いのようなテクノロジーです。これまではAxe I/Oでしか使えなかったため、他にメインのオーディオインターフェースを持っているギタリストは恩恵を受けるのが難しかったのですが、こうしてDI/バッファーとして切り分けてもらえると非常に気軽に導入出来るので多くのギタリストにとっての福音と言えるのではないでしょうか。残念ながら試奏環境がかなりうるさかったため劇的な変化を体感するには至らなかったので次は静かな環境で試したいなと思うのですが、インピーダンスがギターのトーンにどのような変化をもたらすかを知るという意味でもZ-TONE DI/Buffer Boostは有益なプロダクトだと思います。
こちらは国内の発売時期、価格については未定とのことです。
製品ページはこちら
https://www.ikmultimedia.com/products/ztonebufferboost/
Writer : 特別寄稿 株式会社ViViX 青木征洋
IK Multimedi メーカーページはこちら
https://www.ikmultimedia.com/
記事内に掲載されている価格は 2020年1月18日 時点での価格となります。
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