昨年発表のSPATIAL MIC。Ambisonicsで収録のできるマイクなのですが、従来のAmbisonics Micは、製品としてリリースされていたほとんどがFirst Order(4ch)でしたが、このVOYAGE AUDIOは2nd Order Ambisonics(8ch)での収録を実現しています。Ambisonicsは少ないチャンネル数で全天球を収録することのできる優れた方式ではありますが、次数(Order)が低いとそのぶん情報が歯抜けになってしまい、再現性に乏しいものとなってしまいます。
実際にリリースされているのがこちらとなります。マイクヘッドにカプセルが8つついていることが確認できるでしょうか。この8個のマイクの出力は、PoE対応のDanteで出力されます。マイク本体内部にMic Preがあり、直接デジタル出力となっています。確かにマイク本体から8chモノアナログケーブルが出てくるというのは想像できません。PoEにも対応させたことでシンプルなセットアップが可能となっています。他にもUSB出力でPCに直結できる製品もあります。
この製品の優れた点はもう一つ。そのAnbisonics A-Formatで出力された信号を、ミキシングで使うためのフォマットへと変化するアプリケーションにもあります。SPATIAL MIC CONVERTERというこちらのソフトはプラグインでの動作。AAX,AU,VST似対応しているので、ほとんどのDAWで利用が可能です。
収録された音声の正面報告を決めたり、ローテーションさせたりという機能はAmbisonics A-B変換を行うソフトにとっては当たり前の機能ですが、このソフトはもう一歩踏み込み、直接Dolby Atmosの7.1.4chへコンバートしたり、ステレオM-Sに変換したり、モノラルのOmni,Cardioid,Figure8にしたり、かなりのバリーエーションを持ちます。やはりその中でも特筆すべきは、7.1.4chOutputでしょう。従来であれば複数の工程を経てやっと7.1.4chの出力にたどり着くのが、Ambisonics A-Formatから直接変換できるというのは、ユーザーにとっても便利!!としかいいようがないでしょう。
かなりの出力バリエーションを持ち、そのサウンドクオリティーも非常に高いものがあります。イマーシブ・オーディオ制作をされる方は、ぜひとも試していただきたいマイクです。
Voyage Audio記事内に掲載されている価格は 2023年4月15日 時点での価格となります。
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