Keep On Burning 第五話
〜アナログサウンドをデジタルのレスポンスで操作する究極のデバイス
Elektron Music Machinesは1998年にスウェーデンのヨーテボリにて設立され、その個性的な音と美しく洗練されたプロダクトデザインによって、世界中のクリエイターから愛されているスウェーデンのハードウェアブランドです。
なかでも同社の代表作であるMachinedrumは発売当初からEminemやThe Chemical Brothersといった大御所アーティストの支持を受け、一躍ハードウェアリズムマシンのトップの座に君臨しました。
2004年発売当時の価格は20万円弱でしたが、そのユニークな出音とライブや製作に置いて新鮮な驚きを与えてくれるシーケンサーなどの素晴らしい性能により、Machinedrumは爆発的にヒットしたのです。
ソフト音源が台頭し始めていた時期に、まさにリズムマシンの真打登場といった感がありました。あのDSPテクノロジーギークのAutechreまでもが飛びついた程でした。
その後もELEKTRONはMachinedrumの兄弟の様なルックスのMonomachineや、ファン待望の8トラックサンプラーOctatrackなどを発表していきます。
現在ではリズムマシン(Machinedrum)、シンセ(Monomachine)、サンプラー(Octatrack)の強力な3つのラインナップを誇り、グルーブマシン市場において、確固たる地位を確立したElektronですが、同社が最初に世に送り出した製品はSID6581を搭載したデジタルシンセだったのです。
その製品の名前はSID STATION。発売は1998年ですからMachinedrumが登場する3年ほど前になります。SID6581というのは1980年代にCOMMODORE64というコンピューターに搭載されていたシンセチップの事です。
チップチューンと言えば今ではメジャーな音になりましたが、当時は一部のマニアックな人達が大切に暖めていた音でした。愛好家達はレアなCOMMODORE64やATARIのコンピューターなどを血眼になって探し出しては、その懐かしくも未来的な音に酔いしれていたのでした。
>しかし SID STATIONは単なる懐古主義には留まらず、自由に設定できるウェーブテーブルやフィルター、EG(ADSR)などを搭載し、オリジナルのCOMMODORE64を遥かに凌駕する音作りを可能にしたのでした。
ここにElektronのアイデンティティーを見る事が出来る気がします。
SID STATIONは大きなヒットにはならず、現在は生産終了してまっていますが、”オールドスクールを愛しつつも現在の最先端のテクノロジーによって全く新しいものを創る”という精神が、後のMachinedrumやMonomachineの大ヒットを呼んだのでしょう。ちなみにSIDサウンドの片鱗は現行のMonomachine SFX-60にも受け継がれています。
Analog Keys 概要
「ヌケが良く、楽器本体のみでそのまま使える実戦的な音質」との評価が高いELEKTRON独自のチューニングされたサウンドカラーと、アナログシンセサイザーの艶かしい暖かさを持ち合わせたキラーサウンドが特徴。
例えば、マスターエフェクトに装備されたリバーブもフロアを知り尽くしたチューニングがされており、ハメる、広げる、驚かせる、など『本物』の効果を効果的に演出できるクリアでワイドなサウンドです。
ELEKTRONでしか実現できない次世代のステップシーケンサー
ELEKTRONユーザーにはおなじみのステップシーケンサーは、ELEKTRONの各モデルに搭載されている機能で、ソフトウェア全盛の今の時代の中、ELEKTRONのマシンをワンランク上のクリエイティブなハードウェアとしている重要な機能です。
トラックの中のループ/フレーズは、変化が無いと面白くなくないし、魅力的なフレーズにならないですよね?
DAW + ソフトウェア音源の場合はオートメーションを書き込んで変化を付けるわけですが、ELEKTRONのマシンに搭載されているステップシーケンサーは”パラメーターロック”という機能を搭載し、カットオフや、エンベロープ、エフェクトなどどんなパラメーターでも、しかも複数のパラメーターをステップごとに設定可能なことにより、変化に富んだ有機的なフレーズを作り出すことができます。
これが、クオリティの高いELEKTRONのリアルアナログ音源、完成度の高いエフェクトと完全にマッチするよう作られているので、ハードウェアならではの”楽器”らしい操作性とリアルタイム感を持ち合わせています。
外部コントロールによりMIDIを搭載していないアナログ機器をコントロールすることが可能。MINIMOOG、Prophet-5、ARP Odysseyなど歴史上の名機を、最新のステップシーケンサーで正確かつ詳細にコントロールすることができます。
パフォーマンスモードによるダイレクトなパラメータへのアクセス、ダイレクト・パターン・チェンジ機能などを駆使して、内蔵アナログ音源だけでなく、外部のビンテージ・アナログ・シンセサイザーをもコントロールした自由度の高いパフォーマンスが可能なのはAnalog Four/Analog Keysだけです。
キーボード & ジョイスティック
Analog Keysは37鍵のセミウェイテッド鍵盤と共にジョイスティックも装備。このジョイスティックは予めアサインしておいたパラメーターをコントロールすることができ、サウンドをモーフィングすることができます。
ボタンを押して切り換えることで、Analog Keysは汎用MIDIキーボードとしても使えます。専用の CV シーケンサーと、CV/Gate および DIN 同期の出力により、従来から今日までのアナログ楽器を正確に演奏したり、シーケンサーでコントロールすることも可能です。
ビンテージシンセの名機をシステムに統合可能!
Analog Fourには、CV/Gateと DIN SYNC出力を搭載しており、MIDI入力の無いアナログシンセサイザーをも正確にコントロール可能!パラメーターロックなどのシーケンサーやアルペジエーターなどが、最新デジタル技術がビンテージシンセサイザーの名機を蘇らせます!お気に入りのTB-303やPROPHET-5を最新システムに!!
いくら技術が進化しようとも、いまなお多くのクリエイターを虜にしてやまないのは、やはりアナログサウンド。
技術向上により、日々進化を続けるデジタル制御。一見相反するように思える二者が融合することで、アナログの振る舞いを完全に掌握した、さらに昇華してよりクリエイティブなサウンドメイキングを提供してくれました。
まさに、アナログとデジタルの融合こそ、これからのスタンダードとなるのは間違いありません。
技術革新を極めるハードシンセのカテゴリーの中で、一足先に、将来のシンセの形を提案するような魅力的な製品を生み出すElektron。今後どのような製品がリリースされていくのでしょうか。今後も目が離せません!
記事内に掲載されている価格は 2014年8月22日 時点での価格となります。
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