本サイトでの Cookie の使用について

閉じるボタン
head-love Created with Sketch. CREATOR
HOW TO

あなたの楽曲制作にヒントをもたらす数々のノウハウ記事に加え、膨大な動画コンテンツは制作トレンド&Tipsの集大成!

20
Dec.2024
HOW TO
  • HOME
  • HOW TO
  • 制作ノウハウ
  • Neumann KH 80 DSPで始める、自宅 Dolby Atmos ミックス 〜エンジニア・前田和哉氏インタビュー〜

Neumann KH 80 DSPで始める、自宅 Dolby Atmos ミックス 〜エンジニア・前田和哉氏インタビュー〜

数年前から話題のDolby Atmos。でもなかなか自宅スタジオに導入するとなるとスピーカーの設置場所、部屋の広さを考えると、導入するのを躊躇する方も多いのではないでしょうか。

今回は現役のエンジニアとして活動しながら、自宅のスタジオにDolby Atmosの7.1.4chのシステムを組んだという前田和哉氏に、KHシリーズのモニタースピーカーを導入したきっかけや、Dolby Atmosシステムの音の感想を伺ってきました。

取材にはDolby Atmos導入を推進しているRock oNスタッフ・バウンス清水も同行!

プロフィール

前田 和哉 / エンジニア
2004年、パラダイススタジオにてキャリアをスタートし、現在はフリーランス。
ポップスからCM音楽、ライブ音源など様々な作品を手掛ける。

https://x.com/kzy_md

モニタースピーカーに求める条件とは

Rock oN : 前田さんにとってモニタースピーカーに求めるものはなんでしょう?

前田和哉 氏(以下、前田氏):よく言われますけどスピーカー単体での色付けが少ないモデルを選んできました。あとはリバーブだったり空間系のかけた具合がしっかりわかる製品がいいですね。

Rock oN : 参考までにこれまでどういったモニタースピーカーを使ってこられましたか?

前田氏:最初はスタジオにあったの103(GENELEC)ですね。そのあとSM100Ak(SONODYNE)自宅作業用にはSM50Akを使ってました。それからはスタジオはYAMAHA NS-10Mを使うことが多かったですが、SC204(EVE AUDIO)とかOne 15(amphion)といった感じで機種の変遷がありました。それからスタジオでの使用を目的としてNeumannのKH 310を購入したんです。

KHシリーズ導入の経緯

Rock oN : スタジオでの使用目的でNeumann KH 310を導入したとのことですが、初めて聴いた時の印象はいかがでしたか?

前田氏:2、3年前トラックダウンのチェックにKH 310のデモ機をお借りして、One 15と聴き比べをしたことがあったんです。その際にKH 310は高域の空間の聴こえ方がそんな遠くないなっていうのと、口径も大きいので低音がしっかり聴こえていたのが印象的でした。3Wayで値段が手頃な機種を探していたのと、KH 310が密閉型だったというのも大きかったですね。NS-10MもOne 15も密閉型だったので、違和感なくスイッチできた感じです。重量も他の機種だと20kgくらいするものも多かったのですが、KH 310は13kgと軽かったのも導入の決め手となりました。

Rock oN : なるほど。そういった理由でKH 310を最初にペアで導入されていたんですね。

前田氏:それから自宅作業用にサブウーファーを導入したいなと思って、いずれはDolby Atmosのシステムの導入も見据えてスピーカーを検討した結果、MA 1での補正ができるという点も加味し、KH750とKH 80 DSPをステレオで購入しました。この時はKH 120 Ⅱもお借りして両方試してみて、KH 80 DSPを選びました。

Rock oN :2つの機種を比較してみて、KH 80 DSPを選んだ理由はなんでしょう?

前田氏:KH 120 Ⅱの方が口径が大きい分だけ表現力があるなと感じましたが、このサイズでサブウーファーまで入れてシステムを組むと、自分の部屋では鳴らし切れないかなと感じたので、最終的にはKH 80 DSPとサブウーファーKH 750の組み合わせにしました。

KH 80 DSPを設置して、自宅にDolby Atmosシステムを導入

Rock oN : それからKH 80 DSPによるDolby Atmosのシステムを導入するようになったのですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?

前田氏:それまでDolby Atmosミックスの仕事をさせてもらうことが何度かあったので自分も導入したいなと考えていたのですが、いきなり全てを揃えるのは金額的にもハードルが高いじゃないですか。当時だとモニターコントローラーも高いモデルしかなくて一台で150万くらいするので、これはちょっと無理かなあ、と思ってたんです。それでもどうしてもシステムを組みたくて、Galaxy 32 Synergy Core(Antelope Audio)とかを導入したりと、少しずつ買い揃えていったんです。

そして今年の春くらいにDolby Atmosでミックスとマスタリングまでやらせてもらってアルバムを一枚制作させてもらったことをきっかけに、自分のDolby Atmosやりたい熱が高まりまして(笑)、自分でやりたいと思う時に一気に揃えてみようと、残りのスピーカーを同じKH 80 DSPで一気に導入しようとシステムを組みました。

バウンス清水:そういう熱が高まってる時の勢いは大事ですね!

Rock oN : MA 1によるDSP補正を使ってみた印象はいかがでしたか?

前田氏:もうバッチリでしたね。自宅でのミックス作業が当たり前になったので、もう今はDSP補正は必須じゃないかと思いますね。スタジオに行って最終チェックする機会も昔より減っているということもありますし。

スピーカーの台数が多くなると位相が暴れるとか、鳴らす部屋でのスピーカーの調整が大事なのでそういう意味でMA 1はこういう小さい部屋でミックスするときはむしろあった方がいいですね。それがないと全部のスピーカーが鳴っているなっていう印象で、センタースピーカーの聞こえ方や奥行き感が変わってしまいますので、MA 1で補正するときちんと真ん中で聴こえるようになるっていう印象に変わります。

Rock oN : Dolby Atmosのシステムを構築するにあたって、苦労した点は何でしたか?

前田氏:やはり部屋の広さがそんなにないので、スピーカーの置き方ですね。特に上に設置してある4本は清水さんに「マイクスタンドだとうまく設置できますかね?」というご相談をしたところ、この突っ張り棒をご提案いただきました。トラスというのも考えたんですけど、ここは賃貸なので引き払う時にバラすのが大変かなと。

Rock oN : 突っ張り棒は音響機材ではないものですか?

前田氏:そうですね。日用品として売ってるものです。設置してから何回か地震も来てますが、大丈夫でした(笑)新たに設置したスタンドも高級品ではないですが、元々ステレオで置いていたスピーカースタンドと高さを合わせて調節できるものを買い足しました。

バウンス清水:実際にスタジオを拝見させてもらったところ、とても安定感があるので自宅でのDolby Atmos導入も一気に身近になった感じしますね。

Rock oN : 6畳くらいの部屋で音楽制作されている方も多いと思うので、それくらいの広さでもこういうレイアウトでDolby Atmosのシステムを組めるという事例は参考になると思います。

バウンス清水:リスニングポイントまではだいたい1mくらいですか?

前田氏:1m3cmとかくらいです。上に設置したスピーカーはもう少し距離がある感じですね。

自宅にDolby Atmosシステムを導入した効果は・・・!?

Rock oN : 現在のところ、Dolby Atmosのミックスの依頼はありますか?

前田氏:少しずつご依頼を頂けるようになってきました。やはりこの部屋の様子を見てもらうと皆さん興味を持ってくれて、「やってみたい!』というお声を頂くことが増えてきましたね。Dolby Atmosのミックスは高価なスタジオを使って予算がかかるイメージがあると思うので、そういったハードルを下げてDolby Atmosのミックスがもっと身近なものであると知ってもらいたいなと思っています。

Rock oN : Dolby Atmosのシステムを実際に導入して気づいたことはありますか?

前田氏:色々リファレンスとなる音源も聴いてみましたけど本当にスタイルがいっぱいあるなと感じました。ステレオベースの音源もあれば、完全に包み込むような広がりのある音源もあって、千差万別でこれという確立したものがまだないところが面白いなと思っています。

これまではヘッドホンで仕込んだものをスタジオ持って行って確認してみると、やはりほとんど全部やり直しということが多かったんですが、KH 80 DSPでこのシステムでやり始めてその差がだいぶ減りましたね。

Rock oN : 今後このシステムでやっていきたいところはありますか?

前田氏:個人的には全体で包み込むようなサウンドが好きなので、そのアプローチを色々と突き詰めてやっていたいです。それとせっかくここまでシステムを組んだので、これからさらにスピーカーを買い足して360のミックスとかもやっていきたいですね。

Rock oN : KHシリーズによるDolby Atmosのシステムを、どんな方におすすめしたいですか?

前田氏:MA 1でのアライメントもいいですし、スピーカーが再生する帯域のバランスもいいですので、小さい部屋でミックス作業されている方におすすめですね。KH 80 DSPはよく言われることかもしれませんがリバーブとかの調整も把握しやすいですし、空間の広がりも見えて下の厚みもしっかり聴こえるので、サイズの割にしっかり確認することができます。

●製品情報

00000184_main
・KH 80 DSP(1pair)
NEUMANN KHシリーズ初となるDSPを搭載、4インチ+1インチ、120W+70Wの高効率アンプ
・コンピューターモデリングによるキャビネットの設計と低共振材料(LRIM™)の採用
・最適化された指向性コントロールにより、あらゆる環境下でも優れたディテールを採用
・iPad®アプリのNeumann.Control、もしくはMA 1ソフトウェアを採用することでリスニングルームに合わせた音場調整が可能。

KH 80 DSPは、コンパクトなDSP搭載2ウェイパワードニアフィールドモニタースピーカーです。デジタルコアを用いてフィルタリングやルームアジャストメントを自在に行えるため、どんな環境でもリファレンスクラスのサウンドを実現できます。

NEUMANN
KH 80 DSP(1pair)
¥139,600
本体価格:¥126,909
1396ポイント還元

・KH 750 DSP
DSPエンジンが出力を最適化しリファレンスクラスのサウンドを実現。 iPad用コントロールアプリにも対応したNEUMANNサブウーファー
KH750DSP

KH 750 DSPはスタジオ、ブロードキャスト、ポストプロダクションにてトラッキング、ミキシング、マスタリングなどの使用用途を想定しています。コンパクトな設計ですので、ホームレコーディングやブロードキャストスタジオなど限られたスペースには最適です。

・コンパクトなキャビネット
・DSPエンジンが出力を最適化し、リファレンスクラスのサウンドを実現
・システムのセットアップ、調整、操作を行うためのiPad用コントロールアプリ®に対応

NEUMANN
KH 750 DSP D G
¥257,400
本体価格:¥234,000
2574ポイント還元

00000197_main
・MA 1
MA 1は個別に調整されたノイマンの測定用マイクと、それに対応するMacおよびPC用のソフトウェアで構成されています。NEUMANNのオートモニターアライメントは、KHシリーズのすべてのDSP制御ステレオシステムで利用可能です。世界有数のオーディオ信号処理研究所であるフラウンホーファー研究機構(IIS)と共同で開発されたキャリブレーション・アルゴリズムを採用し、測定用マイクを使用してスタジオの音響特性をガイド付きのプロセスで分析。その結果をもとにスピーカーの音響特性を補正し、あらゆる環境で可能な限り最高のモニタリング品質を実現します。

NEUMANN
MA 1
¥41,580
本体価格:¥37,800
1247ポイント還元

一気に揃えるならこちら!イマーシブバンドルキットも好評発売中!

NEUMANN
KH 80 DSP 5.1KIT
¥709,500
本体価格:¥645,000
10643ポイント還元
NEUMANN
KH 80 DSP 7.1.4KIT
¥1,217,700
本体価格:¥1,107,000
18266ポイント還元
NEUMANN
KH 80 DSP 9.1.4KIT
¥1,387,100
本体価格:¥1,261,000
20807ポイント還元
NEUMANN
KH 80 DSP 9.2.4KIT
¥1,673,100
本体価格:¥1,521,000
25097ポイント還元

メーカーHP

NEUMANN
https://www.neumann.com/ja-jp/products/monitors/kh-80-dsp-a-g/

関連記事



「Neumannをめぐる冒険 -Road Of Neumann-」第1章:KH 80 DSP導入&MA 1挑戦編

20230702_Neumann_i
音楽プロデューサー JUVENILEが語る、Neumann KH 80 DSP + KH 750 DSPの可能性

20220623_Neumann_i
Neumannスピーカーで作るDolby Atmosの可能性 〜エンジニア米津裕二郎インタビュー〜

20220420_Neumann_i
サブウーファーとキャリブレーションツールでいかにモニター環境は改善するか?
〜作曲家 和田貴史氏が語る、NEUMANN KHシリーズ導入効果〜

20220304_Neumann_i
音響ハウス・エンジニア櫻井 繁郎氏が語る、NEUMANN KHシリーズの魅力

記事内に掲載されている価格は 2024年12月20日 時点での価格となります。

最新記事ピックアップ

ハイエンドマイクを嗜む会 2025 Winter 新世代ハイエンドマイク頂上決戦…
世の中にある音を形にする入り口=マイクです。その音が重要であればあるほど、マイクの性能やキャラクターが重要になってきます。一度録音された音はずっと残ります。 その貴重なチャンスを完璧な相性で録音することが作り手たるものが [……
Neumann KMS 105 Matte White(限定カラー) 〜アーティ…
KMS 105 Matte Whiteは、数量限定で登場するNeumannのスタジオグレードボーカルマイク KMS 105に、新たな限定カラーという魅力を加えた特別モデル。エレガントなマットホワイト仕上げは、パフォーマー [……
AlphaTheta / pioneer DJ人気機種がRock oNに来店!?…
セミナー内容 世界中のDJ現場を支える「pioneer DJ」ブランドを送り出す日本を代表するオーディオ機器メーカー「AlphaTheta」の新製品「XDJ-AZ」をゲストDJとしてokadada氏をお招きし、メーカーに [……
「Neumannをめぐる冒険 -Road Of Neumann-」第2章:憧れの…
「自宅のグランドピアノやアップライトピアノの演奏をマイクで録音してみたい!」と考えてる方は多いと思います。 ハンディレコーダーやスマホで手軽に録音している方も多いかもしれませんが、せっかくの高級感あふれる生ピアノの演奏を [……
『田辺恵二の音楽をいっぱいいじっちゃうぞVIDEOS Vol.262』2024年…
音いじ第262回は2024年に買ったプラグイン(エフェクト編)!
『田辺恵二の音楽をいっぱいいじっちゃうぞVIDEOS Vol.261』2024年…
AT5040/AT5045/AT5047を使ってボーカルレコーディング!
YAMAHAのモバイル・オールインワンギア「SEQTRAK」でトラックメイキング…
「ドラムからシンセ、サウンドデザイン用コントローラーにシーケンサーまで、これ一台で」という触れ込みで、プリセットサウンド2,032、プリセットサンプラーサウンドが392搭載されていて、発売以来注目が集まっているYAMAH [……
『田辺恵二の音楽をいっぱいいじっちゃうぞVIDEOS Vol.260』Audio…
AT5040/AT5045/AT5047を使ってボーカルレコーディング!
『田辺恵二の音楽をいっぱいいじっちゃうぞVIDEOS Vol.259』Audio…
今回はAudio-Technica 5040/5050/5047を使って、アコースティックギターをレコーディング!
『田辺恵二の音楽をいっぱいいじっちゃうぞVIDEOS Vol.258』iZoto…
クリエイティブなプリセットや、シンプルかつ最大の効果が得られるアンマスク機能の実力を試して頂きました!
『田辺恵二の音楽をいっぱいいじっちゃうぞVIDEOS Vol.257』Audio…
楽器間の干渉を経た残響もシミュレートできるという新しい視点のリバーブを試して頂きました!
ノイジークロークが語る、Neumann KHシリーズ導入秘話 〜ゲームサウンドに…
Dolby Atmosのモニタリングシステムを構築するために、Neumann KHシリーズのスピーカーを導入するメーカーについてこれまでいくつかご紹介してきました。その中でもゲームサウンドに携わっている方は導入に積極的な [……
Copyright © Media Integration, Inc. Rock oN Company