「ギター、ベースがミックスの中でぼやけてしまう」「ボーカルが埋もれて音量を上げても前に出てこない」、、。楽曲のミックスでそういう経験をされた方は多いと思います。ボーカル、ベースなどはもちろん、ドラム、、パーカッション、シンセなどの存在感がうまく出せず、プラグインエフェクトを色々と試してみるものの、セッティングでいつも堂々巡りになってしまう方も多いはず。各楽器の特徴を考えたエフェクトがあれば悩まなくてよいのに、、そんな夢をかなえてくれる助っ人がいるんです!有名なエンジニアのワークフローをひとつにパッケージした即戦力プラグイン Waves Signature Seriesです 。
Waves Signature Series
名エンジニアのノウハウがひとつのコンポーネントにまとめられた Waves Signature シリーズを使えば、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、シンセなど、楽器の特徴に合わせた音作りが素早く簡単に行えます。そこで今回は Waves Signature Series の中から Tony Maserati と Jack Joseph Puig のプラグインを使って、ベース、シンセ、ボーカルを簡単に目立たせることができるのか、音作りを試してみました。
今回ご紹介するプラグイン
Tony Maserati Signature Series
トニー・マセラティは R&B やヒップホップのヒットチャートを席巻する稀代のエンジニアです。ヒットサウンドの秘密は彼の制作手法そのもので、特定の機材のモデリングではなく、制作ノウハウそのものがプラグインに収められています。
Jack Joseph Puig Signature Series
U2、ブラック・アイド・ピーズ、ジョン・メイヤー、レディ・ガガ、ベック、そしてローリング・ストーンズといった錚々たるアーティストを手がける、グラミー賞プロデューサー/エンジニアのジャック・ジョセフ・プイグ(JJP)。彼の制作手法が手に入るプラグインです。
☆ベースを際立たせたい!
Maserati B72
バラエティ豊かな低音域を生み出すベース用プラグインです。設定は DI / Synth の2つあり、DI設定ではライブ感をキープしながら丸みを出せ、Synth設定では分厚いステレオ感と倍音フレーバーを加えます。今回は音源がシンセベースということもあり、Synth 設定を使用しました。
BASSノブをプラス方向に回していくと低音域がブーストされ、マイナス方向ではカットされます。ベースを目立たせるのであればプラス方向でブーストし、どっしりとした低音域がベースの存在感を一気にレベルアップしてくれました。今後はベースがもの足りないなと思ったら、まずはこの BASS のブーストから試してみようと思います。低音域のほか、高音域をブースト/カットする TREBLE ノブもあり、ベースのアタック感を出すのに役立ちました。
JJP BASS
JJPシリーズは、各プラグインにサウンドキャラクターを加えるスライダーが多数用意されていて、ボトム感や抜けの良いミッドレンジ、エッジの立たったベースなど、どんなシチュエーションにも柔軟に対応できます。
サウンドを太くして前に押し出すスライダー「EDGE」が特に強力で、骨太でガッツのあるサウンドになりました。Maserati B72 に比べると重心がやや高めで、ゴリゴリしたロックベースや、アタックを重視するシンセベースなどに合いそうなサウンドです。低音域が目立ちすぎると感じたときには左下にある LOWS ノブを少し下げると、中音域の迫力感を残しながら低域をタイトに仕上げることができました。「LENGTH」スライダーではベースのサステインが伸びるので、指弾きエレキベースなどにも活用できそうです。
☆シンセを際立たせたい!
Maserati GRP
グループバスチャンネルでサウンドを仕上げる事を想定したプラグインです。過度な変化は与えずソフトなEQ効果を設定でき、艶と存在感を自然にコントロールできます。プラグイン下部に7個のボタンが配置された中から今回は「KEYS」を選択し、単体のシンセトラックで使用しました。
MIDSノブをプラス方向に回すと中域が加わった温かいサウンドに変化し、マイナス方向に回すと中域がカットされ、相対的に高域が強調されたすっきりとしたサウンドになりました。MIDSノブをプラスに回すだけで「音が冷たい」と言われがちなソフトシンセの音が温かくなり、シンセトラックの存在感が増しました。SENSITIVITY ノブの値を大きくすると更にファットな質感が得られ、まるでアナログのイコライザーを触っているような感触です。
JJP Strings and Keys
キーボード、ストリングス、ピアノの音作りが直感的にできるよう設計されています。プラグイン下部にある4つのボタンの中から SYNTH を選択して試しました。
「GIRTH」スライダーがサウンドをきらびやかにし、それと同時に力強さと立体感を与えてくれました。シンセに限らずサウンドが埋もれ気味だと感じたら、「GIRTH」を加えると大抵のサウンドが息を吹き返してくれました。「PRSNCE」スライダーを上げるとさらに高域が強調され、エキサイターのような効果も得られました。
☆ボーカルを際立たせたい!
Maserati VX1
Tony Maserati が選び抜いたエフェクトとボーカルミックスのワークフローを1つの画面に集約したプラグインです。特性が異なる3つの CONTOURタイプが用意され、CONTOUR 1と2にはコンプレッサーを搭載しています。CONTOUR 3 には AIR ノブが用意され、上に抜ける開放的な高域を付加することができます。今回はボーカルの声質に AIR ノブ の相性が良さそうだったので、 CONTOUR 3 を試してみました。
AIRノブを回して行くとボーカルがクリアーになり、バックトラックとの馴染みが良くなりました。少しもったりとしていたボーカルに AIRノブ を加えることで、エアリーな声の魅力がさらに増して楽曲の印象も変わりました。AIRノブを強めにかけて低音が物足りなくなった時には BASS ノブを少し上げると程良くなります。そのほかボーカルを自然に前に出したい場合には、CONTOUR 1に搭載されたコンプレッサーがとてもナチュラルで、サウンドのまとまりも良くなりました。
JJP Vocals
Jack Joseph Puig がアーティストの直感と本能で音作りできる事を目指した、ボーカル向けのオールインワンプロセッサーです。
「MAGIC」スライダーでボーカルがとても聞きやすくなりました。ボーカルをしっかりと前に出したい時にはこのスライダーで、一瞬にして魔法のようにボーカルが前に出てきます。「PRSNCE」スライダーはサウンドにエアー感を与えて、MAGIC の力強さに加えて抜けるような高域を付加する事もできました。
今回ご紹介したプラグイン
記事内に掲載されている価格は 2022年6月29日 時点での価格となります。
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