今年のNAMMも空間オーディオの展示が盛りだくさん。今回は6ブースそれぞれのフォーマットや仕様をご紹介します。
AVID
フォーマット: 7.1.4 Dolby Atmos
スピーカー構成
写真をクリックすると拡大します。
AVIDは試聴目的のルームではなく、S4やその他I/Oなどをトータルで接続した多機能デモショウケースという構成。自己にベースマネジメント機能を持たないスピーカーを採用している事から、キャリブレーションはMTRX系のSPQで行っていると予想しますが、見切れたところにPrism Sound / ADA-128の姿も。カード構成がわからないので残念ながらこれが接続されているかは不明。
AMS Neve
フォーマット: 7.1.4 Dolby Atmos
スピーカー構成
写真をクリックすると拡大します。
Neumann / MA1ソフトウェアが最大7.1.4フォーマットをサポートしたことにより、こちらはスピーカーの機能でキャリブレーションが取れます。genesisには測定結果を手動で入力することも出来ますので、やはりコンソールは強いですね。コンソールの詳細はDay3のレポート記事(https://www.miroc.co.jp/report2/namm-2024-day-3-ams-neve/)をご参照ください!
AMS Neve
https://www.ams-neve.com/
PMC
フォーマット: 9.1.4 Dolby Atmos
スピーカー構成
写真をクリックすると拡大します。
SSLのSystem-Tが会場のどこにも無いなぁと探していたら、なんとPMCの9.1.4のコントローラーとしてお部屋にあるじゃ無いですか。PMCのリスニングルームは連日視聴で埋まっており、最終日にこの企画を説明して交渉の末、やっと写真撮影だけという事でお邪魔させて頂きました。夥しい数のミドルレンジPMCスピーカーを黒い部屋に設置しているので、見た目にもエッジが効いていて格好良いです。ウォールマウントのシーリングスピーカーciシリーズをトラスのポールに固定しているのは良いアイデアで、もともとエンクロージャーが軽いPMCだとしても更に軽くなる事で天吊が容易に。来場者がぶつかりそうな平面サラウンドもciになっていました。(1度ぶつかりました。ごめんなさい。)
PMC
https://www.pmc-speakers.com/
SONY
フォーマット: Sony 360 Reality Audio, 13.2ch(5.5.5)
スピーカー構成
SONYブースはAMS NeveやAVIDと同じメインフロアでトラスを組んでいます。スピーカーはモニターアライメント機能がついているGenelecを採用。Genelecの型番は、100の位が3であればモニターアライメントが可能なSAMシステム対応機種です。明日使える豆知識です。LsやRsの設置レイアウトがやや後方に構えているのはトークセミナーがあり着席するからでしょうか。AVIDやAMS Neveは天井トラスから2本垂れ下がる形で下ろしていましたが、Sonyは後方支柱部分にこれらを配置。
SONY 360 Reality Audio
https://www.sony.co.jp/Products/create360RA/
Sennheiser/Neumann
フォーマット: 9.1.6 Dolby Atmos
(ハイトのKH80DSPとトップサラウンド位置に来場者に向けられていたKH120 iiはセミナーの音声用)
スピーカー構成
写真をクリックすると拡大します。
今回のNAMM SHOWでは大きな壁沿いのブースを構えたNeumannのスピーカーは勿論Neumann。しかも少し様子がおかしい。会場に入ってスピーカーの数とモデルを数えていると、数え間違いかな?と何度かなったところで今回の9.1.6 Atmosフォーマットからライズアップされた10.2.6構成だということに気づきました。スタッフに自分がメディアだということを伝え、このレイアウトの理由を聞いたところ、9.1.6から溢れたスピーカーにはその間の信号を割り振っているとか。セミナーが始まる間近と言うこともありシステム関係まではヒアリングできませんでしたが、2023年にSennheiser傘下となったMERGINGのI/Oでコントロールしているのかな?と予想します。映画館的に言えば真ん中より少し後ろの席でセミナーを聴いていましたが、3Dパンニングの繋がりが非常に良い。前後左右の定位は理想的な円が実現されていて、Neumann(と言うかKlein Hummel)らしい優しくも説得力のある音でたいへん貴重な経験ができました。
NEUMANN
https://www.neumann.com/
Genelec
フォーマット: フォーマット: 7.1.4 Dolby Atmos
スピーカー構成
写真をクリックすると拡大します。
リスニングルームに入ると爆音でPolyphiaのAtmosバージョンが流れていたゴキゲンなGenelecブース。他のブースと比較してスピーカーの異種混在が最も多いシステムでした。LRには噂の新製品にしてThe Onesシリーズ最大サイズの8331が、Cにはそれまでのフラッグシップモデルの8361がチョイスされていましたが、トップの8331がやや力不足かなと思いきやGLMのおかげで繋がり、音量バランスどれも良かったです。
Genelec
https://www.genelec.com/
まとめ
空間オーディオのスピーカーレイアウトと機種選定のトレンドとして、LCRとそれ以外、と言う方や、ステレオミックスも行うからLRとそれ以外、などモデルの異なるスピーカーを選ばれる方も居ますし、全て同じ型番のスピーカーで行う事こそパンニングの正確さを担保出来る最も近い方法!と考えられる方もいらっしゃいますが、今日1日で5部屋いろいろな環境が異なる部屋で試聴した感想としては、しっかり決められた位置に設置して、しっかりキャリブレーションを行えばOK!と言う事なのかなと。
NAMM SHOWはお祭りでもありますが、その本質は世界最大の楽器/音響機器展示会。出展メーカー側はこの機会にできるだけ多くの製品を展示したい。と言うことを鑑みると、スピーカーメーカーでないSONYさんのGenelec / 8330統一と言うアプローチもなるほどとなる事でしょう。映画のフォーマットから音楽のフォーマットとして空間オーディオが旅に出てまだ数年。これだ!と言うメソッドや、それを簡単にサポートしてくれる製品が今後たくさん出てくるといいな!と思いました。
Text by Vツイン多田
記事内に掲載されている価格は 2024年1月29日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ