ドイツフランクフルト ミュージックメッセ2011にて発表のROLAND 「JUPITER-80」が遂に国内お披露目!
シンセファンなら誰もが知る銘機JUPITERという名前の再来からもRolandの本気具合がひしひしと伝わってくる本製品の発表会とあって緊張感に包まれたRoland新製品発表会の模様をレポート! JUPITER-80はそんな期待を大きく超えた稀代のシンセサイザーでしたよ! 是非最後までお読み下さい!!
さてここでそもそもJupiterって何?、という方のためにも、そしてJupiter-80の魅力を深く知るためにも少し過去を振り返っておきましょう。
1981年、旧JUPITER-8は当時のアナログシンセサイザーの常識を覆す存在としてリリースされました。JUPITER-8はモノフォニックシンセサイザーが主流の時代に複数同時発音を可能にしたポリフォニックシンセサイザーの銘機。
波形を重ねる斬新なユニゾン機能を使った豪華なシンセパッドサウンドはJUPITERの代名詞として名立たるアーティストに愛用され、今なお多くのソフトウェアメーカー達がその再現を試みています。(Arturia JUPITER-8 V2のプリセット1番などなど)
しかしサンプルメーカーによる銘機の再現は裏をかえせば、ハードウェアよりはるかに安価な値段でサンプルが手に入るソフトウェア全盛時代の象徴。そんな時代である事を熟知した上で今「Jupiter」の名を冠した新製品をリリースするだけの自信がRoland 「Jupiter-80」にはしっかりと秘められていました!
Jupiterのコンセプトはシンセサイザーを熟知した人向けの音作り専用機でも、楽曲制作に特化した1台完結型のワークステーションでもありません。
Jupiter-80はその場で演奏し、その場で音を操る楽器本来の姿と言える「Liveシンセサイザー」。
プレイヤーが鍵盤を弾くつよさや速さ、レガート奏法、コードバッキング、その全ての動作が音の変化に直結するというキーボーディストにとって魔法のような面白さが詰まっています。
JUPITER-80は当たり前のように演奏に応じた音色変化を実現していますが、これまでRoland社のフラッグシップキーボードですら一部音源にしか搭載出来なかったSuperNatural音源を全ての音源に採用しています。
RD-700NXのSuperNaturalピアノ&E.PIANO、Fantom-Gシリーズの拡張カードとしてリリースされていたDrumやBrassセクション、AX-SYNTHなどに一部搭載されていたバイオリンや二胡、その他イリアン・パイプス、シタールなどの民族楽器からギター、ドラム、シアター・オルガン、オーボエ、マリンバなどなど。(ギターはコードを抑えるだけでバッキングやカッティングが出来ますよ!)
その全てが演奏に応じて無段階の音色変化を実現するモデリング+PCMのハイブリッド音源だというのだから既製品と一線を画したJUPITER-80の演算能力が伺えます。(※しかもオルガンはVKシリーズやV-Combo直系のバーチャルトーンホイールによるコンボオルガン搭載!! まさにモンスターマシンです!)
さらにシンセサイザーではRoland歴代のビンテージアナログから各時代を演出した最新デジタルまでの波形(SuperSAWなど)を網羅! OSC等All3系統の強力シンセサイズにはJupiter-8お馴染みのUNISON機能も備えるなどコアなRolandファンも納得の仕様となっています。
どうしてもJUPITERの音源話をすると最新モデリング技術による音色変化のみになってしまいがちですが、それが最も真価を発揮するのは異なるモデリング音源をレイヤーしたときなのです!
これまではシンセサイザーで複数の音色をレイヤーしたとき、それぞれが全く別の響きをしてうまく混ざらなかったことがありませんか? これまでは音色を変更したり、それぞれをEDITして調整するしかありませんでした。言わば指揮者(プレイヤー)を見ない演奏者(音源)が複数いるオーケストラのような印象。
しかしSuperNatural+Behaviorモデリング音源(演奏者)はプレイヤー(指揮者)の動きに呼応して変化します。つまり異なる音色がまるで一つの作り込まれた音源のように混ざり合って新たな音色を生み出すのです!
お馴染み篠田元一氏のデモ演奏でもそれが顕著に現れていたのは和楽器の尺八+シンセリードというシンプルで型破りなプリセット。本来ならただのレイヤーサウンドで終わりそうなところですが、シンセリードでありながら尺八のような味のある音色変化を実現するという何とも興味深い変化を実現していました。
(※今回は動画撮影禁止のためドイツミュージックメッセ2011にて撮影のデモムービーをご覧下さい!)
そして次はシンセパッド+SFXのレイヤーサウンド。アルペジエイターも絡んでそれだけでも壮大なAtmosphereサウンドの出来上がりなのですが、鍵盤を弾く強さや抑えるノート、コントローラー類やアフタータッチ、その全てに応じて大きく変化する様はハードシンセでありながら最新ソフトウェアすら軽く凌駕するだけのパワーに満ちあふれています。
コアなシンセファンを納得させる懐の深さだけでなく、これからシンセを始める方や音作りよりもまず演奏したいという方にもJUPITER-80の直感的で独創的な音色合成は受け入れられるのではないでしょうか。
まず目を引くのはこれまで各メーカーが鍵盤のすぐ上に配置した音色切替スイッチが鍵盤の下に配置された点。これにより鍵盤を弾きながら音色切替が出来ます。4バンク×8パターンの32種類を手元で変化可能な上、音色切替時の音切れもありません。(しかも同時発音数256音とワークステーション級の処理能力)
レジストスイッチと名付けられた本スイッチは音色切替だけでなく、4種のパート切替も可能になっています。これまで紹介してきたスタック可能な2パート以外にもソロ演奏用の音色を配置出来るソロパート、ポン出しにも使えるパーカッションパートなども準備。(楽曲の途中でソロがあるからとパートを残しておく必要はありません!)
特にシンセジャンキーな方々に是非使いこなしてほしいのが膨大なパラメーターを一括変化させることで破壊的な音色変化を生み出す新機能「トーン・ブレンダー」。
写真の様にD-Beamアサインされた音色を使うとそのトリップ感にはまるはずです。これがソフトシンセならフリーズするんじゃないの?というような膨大なパラメーターがリアルタイムに動く様もJupiter-80の演算能力を物語っていますね。
ソフトウェア全盛機の昨今、良い音である事は当たり前、単なる生楽器のリアリティ再現だけなら100GB近い大容量ライブラリーのソフト音源をハイスペックPCとMIDIノートで再生すれば可能です。しかしJUPITER-80が目指した音源システムは単なる再現ではなく、技術の頭打ちのように思えたサウンドコントロールを一歩先へと推し進めるものと言えます。
プレイヤーのイメージに呼応する複数のサウンドが組み合わさり、劇的に変化し、新たなサウンドが生み出されていく様子はJUPITER-8を知らないキーボーディストであっても十分に凄いと感じられるはずです。特に賞賛したいのはそのシステムがシンセの構造を深く知らなくても、鍵盤に触れる事から誰もが感じられるように出来ているということ。
アコースティック楽器や歴代シンセのサウンドを高次元で再現するだけでなくプレイヤーの数だけ「その先の音」を生み出せるJUPITER-80は今後のLIVEや楽曲制作における重要なファクターとなるに違い有りません。
個人的にはPCによる音楽制作が基本となった今だからこそ、マルチなソフト音源ともワークステーションシンセとも違う働きをしてくれる尖ったマスターキーボードや音源が欲しいと思う今日この頃。JUPITER-80の代わりはどんなハイスペックPCを用意したって出来ませんよ。
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