2011年9月のRoland新製品発表会でもお伝えさせていただいた注目の新技術V-Remastering。サウンドを解析/可視化することで、楽曲から特定の音を抜いたり、変化させたり、また加えたりと、従来の楽曲制作では考えられないより直感的アプローチが可能となります。音を可視化するV-Remasteringと音を自在に操るVariPhrase技術のインテグレートが可能にするRolandが描く楽曲制作の形に迫ります!
●STEP1:R-MIXで可視化した音をつかんでみる。
R-Mixではまず画面の通り、楽曲やサウンドを、周波数(縦軸) 定位(横軸) 音量(色)によって二次元上に表示します。たとえばセンターのソロ演奏だとグラフの真ん中に位置、上下左右の幅を持った固まりで音量によって色変化をしながら粒の集まりとして現れます。音の粒(青が弱く、白、黄色、赤と強くなっていく)をリアルタイムに処理しながら分布をみる事を可能にしたのがV-Remastering技術です。
もはやこの時点でクリエイター心がうずく方も多いと思いますが、まずは見えるものをつかんでみましょう。
取り出す領域について、横は定位、縦は周波数で直感的に選択が可能。選択された領域(円や四角が選択可能)の画面左にレイアウトされたフェーダーでコントロール可能と驚くほど簡単、わかりやすいですね! (ちなみに別のフェーダーで囲んだ枠の外を除去したりも出来ます。小1時間サンプルだけで遊べます)
この時点で注目したいのは境界線近辺の切り分け技術。通常この部分の処理を誤ると、フランジングが発生しサンプル自体の品質を損なうことになりますが、そこはさすがRoland。MIXのなかから一つ一つ楽器が浮き出すように解析、様々なサウンドプロセスまでもが解析する事で品質の劣化を最小限に抑えます。ミキサーエンジニアの技までも見える化してしまうそうですよ!
●STEP2:ヒスノイズの低減、切り出したサンプルの加工、縦横無尽にR-MIXを使ってみる。
STEP3:V-Remastering技術の登場で、実際に楽曲制作はどう変わっていくのか。
ノイズの除去や特定サンプルへのアプローチ、R-MIX単体でも十分楽曲制作を革新するだけのポテンシャルを感じさせてくれますが、同じくらいエポックメイキングな製品があったなぁと思い出したのがCelemony社のMelodyne Editer。この製品が持つDNA(Direct Note Access)機能ではサンプルのピッチ解析をmonoでもpolyでも実行してくれます。
つまりV-Remasteringで解析したサンプルをMelodyne Editerでピッチ単位に解析すればサンプル単位の差し替えだけでなく、詳細な編集が可能になります。(※もちろんDNA機能はヘビーなディストーションギター等全てのサンプルを解析出来るわけではありませんが)
ableton LIVEなどループベースでのRemixなどの制作手法も流行りましたが、上記のようなアプローチはこれまででは考えられない楽曲制作方法が可能になると言えるのではないでしょうか。R-MIXがあれば世の中には楽曲素材とアイデアが無数に溢れているといっても過言ではないのですから。
最後に
V-Remastering技術は今後もRolandでは開発を続けて行くとのことですが、その可能性と応用範囲はクリエイターの心をくすぐるには十分すぎるほど魅力的な技術と言えます。(先駆けて発売されたR-MIX TabでもV-Remasteringによるマイナス・ワン機能を搭載しており、バンドマンの耳コピーなどにも活用が期待出来ますね。)
そして遂に発売となるソフトウェア「R-MIX」は2トラック対応仕様で、WindowsとMacどちらのOSでも使用が可能。V-Remastering技術を応用した初期製品ということもあり、非常にお求めやすい¥15,800という価格でのリリースとなりました。なんといっても-50%スピード再生でもピッチが滲まない高度なVariPhrase処理を組み合わせる事でR-MIX単体を手にするだけでも楽曲制作のアイデアは無限に広がります。現在はStandaloneのみですが今後はPlug-insへの可能性も期待できるなど、V-Remastering技術の未来から目が離せません。
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