InterBEE最大の注目プロダクト,YAMAHA「NUAGE」。遂にNuendoがスタジオの中核となるソリューションの登場。会場も熱い熱気に包まれました。それでは、その詳細を機能毎にIn Deepにご案内!!
2013年2月のリリース開始を予定するNuageシステム。Nuendoをコアエンジンとし、コントロール・サーフェスとDante採用のI/Fを組合せ、まさに業務運用のコアとなるシステムとして登場!ポストプロダクション向けの多機能さ、サラウンドへの柔軟な対応など評価の高いNuendoがいま、業務スタジオの中心となることの出来るシステムを手に入れました!
★ Nuendoと完全なる統合を果たした専用設計のコンソール
Nuageシステムは、単体使用も可能な16ch仕様のNuage Faderと、センターセクションにあたるNuage Materの2機種、それからそれらをつなぐブランクモジュールで構成され、最大で3台のNuage Faderを接続し最大48ch仕様の構成が可能です。物理的なフェーダーの数は限りがありますが、実際に使用出来るチャンネル数はNuendoに依存します。
Nuendoの画面に表示されるミキサーにつながる形で設置されたNuage本体上のボタンの配置等、Nuendoユーザーにとって違和感なく配置され上部の2段のノブにより、スピーディーなオペレーションが可能。PAN、AUXを横一列に表示することも、選択されたチャンネルのパラメーターを32個のノブに展開することも可能です。
★ チャンネルセレクトは、AGENTとリボンコントローラーで
Nuendo 6に搭載された強力なミックス支援機能”AGENT”。この機能を使用すれば、音の鳴っているチャンネルのみを表示させるなど、触りたいチャンネルだけを瞬時にソートして、表示させることが可能です。横方向へのナッジはリボンコントローラーで直感的に行うことが可能ですが、もちろんBANK、AGENTといったボタンも用意されているので今までのコントローラーと同様の使用方法にも対応します。
★ Dante採用Audio I/F “Nuage I/O” で大規模システムにも対応!
Nuageシステムと同時に、最大256chの伝送を可能にするDanteシステムを採用した、DAW用Audio I/F “Nuage I/O”が登場し、Nuageシステムのバックボーンを支えます。
Nuage I/O”Nio-500シリーズ”はAnalog 16ch In/Out仕様、Analog 8ch In/Out & Digital 8ch In/Out仕様、Digital 16ch In/Out仕様の3機種があり、複数台の同時使用が可能となっています。接続はDanteが採用されていますが、実際にはEthernet Hubを使用して回線をまとめ、PCにセットしたPCIe接続の”Dante-Accelarator”(AIC-128D)に接続されます。
Dante自体は256ch@48kHz、128ch@96kHz、64ch@192chの同時使用が可能。1枚のAIC-128Dで型番の通り128ch@48kHzの新号を受け取る事が可能です。このI/Fの特徴は、カスケード接続を行うことによりI/O同士で回線が直結され、ダイレクトモニタリングも可能だということ。
MacではASIOを使用しないために、NuendoではI/Fのダイレクトモニタリング機能が非常に使いづらい物となってしまっていましたが、Dante I/Fは独自のカスケード接続でハードウェアを跨いでダイレクトモニタリングがシステムとして完結するため、直接のコントロールが可能なNuendoを使用することで、Mac/Winの違いなく利用が可能となります。
更に、近年のHD化により需要の増加の見られるPullUp/PullDown機能も96kHzまでのサンプリングレートであれば対応可能です。スループットレイテンシーもNativeシステムとして最速の部類に入る”3ms”。接続もリタンダント(2重化)可能な業務向けのインターフェースとなります。
★ Nuendo標準のControl Room Mixerをモニターセクションに
煩雑になりやすいモニター周り。外部ハードウェアなどを使用するとこの部分だけでかなりの予算が必要となります。しかしNuendoのControl Room Mixer機能を使用すれば、I/Fの入出力を利用した、柔軟なシステムアップが可能となります。Nuage MasterにはTB MICも装備されていて、その信号をNUAGE I/Fに入力することでモニターシステムが完成します。
また便利な機能として、モニターセレクトのボタンは簡単に取り外せるように設計されていて、ユーザーがボタンに自由にラベリングすることが行えるように工夫されています。
★ Nuageの画面に表示されるNuendo
Nuageと完全に一体となり連動する液晶画面はコンソールに統合されているのではなくNuendo側のPCが表示。この液晶ディスプレイは市販品を使用するため、画面の表示範囲に合わせ、横幅などが微調整できるように工夫がされています。またNuageは複数画面出力となりますが、推奨ディスプレイカード等の情報は発売開始までには案内されるとのことです。
★ DAWの必需品!キーボードも収納します!
PCベースで動作するNuendoをコアとするNuageには、マウスとキーボードが必需品です。マウスのためには、ブランクモジュールにUSB Hubを仕込むことでスマートに対応。キーボードはハンドレスト部分に仕込まれていて、手前に引き出すことでキーボードが出現する仕組みです。この引き出し部分は誤動作を防ぐため、しっかりとしたクリック感のある部材が使用され、高級感があることを付け加えます。
★ 最大3台のDAWをスイッチして利用可能
NuageはNuendoと専用のプロトコルで接続されますが、他のDAWとの接続性も確保されています。この機能を実現するためにはHUIが利用され、Pro Tools、LogicといったDAWをサブマシンとして接続することが可能です。
DAW切り替えボタンはNuageシステムを変えるだけではなく、RC232からのタリー信号によりKVMをコントロールし、正面のディスプレイの画面表示を一括して切り替えることも可能です。同時にNuageの各モジュールごとの切替も可能なので、システム構築の柔軟性は非常に高いと言えるでしょう。
★ 日本語表示が可能なフェーダー情報(漢字もOK!)
NuageはNuendoに対応したトラックカラーの表示だけではなく、フェーダー名で日本語表示が可能です。しかも漢字にも対応となっているため、トラック名を暗号化したような英語表記でなくとも、高詳細のLEDで見やすい表示が可能です。自由度の高い操作ができるこういった機能は、Nuageを利用していない環境で作られたプロジェクトも文字化けせずに開くことが出来るため、作業のストレス軽減に貢献します。
★こだわりが満載、YAMAHA / Steinbergの集大成
YAMAHAの永年にわたるコンソール設計の技術とSteinbergのDAW技術。ソフトと、ハードの融合をメーカの垣根を超えて実現したNuageはその存在が光ります。国内メーカーYAMAHAらしい、物としての作りの良さ、さわり心地、感触と言ったところにも大きなこだわりを持って設計されているということを、実機に触れてみて感じました。
特筆すべきはJOGダイヤル。使用頻度が高くなるであろうこの部分はコスト度外視で、アルミの削りだしで製造されたこだわりの逸品です。是非ともその感触を確認してもらいたいところです。フェーダーノブもCLシリーズで採用された人間工学に基づいた新設計のもので、ひっかかりがよく、指先の感覚をダイレクトにミキサーに伝えることが可能です。適度な重さを持ったフェーダータッチと共に、優れたオペレーションを約束します。
YAMAHAは先にCLシリーズでDANTE接続製品をリリースしているので、相互接続性はあるのかと確認を行った所、接続も認識も出来るとのこと。しかし、Rioシリーズに搭載されているMic Preに関しては、コントロールするすべがないためゲイン固定になってしまうということでした。マイクプリをシステムに持たないというこの部分は対応が待たれるところですね。
駆け足で紹介をしたNuageは、YAMAHA/Steinbergへ大きな期待を感じるプロダクトです。Nuageの誕生こそが、「Nuendoが真にポストプロダクションの中核となるソリューションに進化した瞬間」であると言っても過言ではありません。今後、発売までに更なる詳細情報をお伝えしたいと考えていますので、ご期待ください!
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