国内外のあらゆるイベントをいち早くレポート! またブランドや製品誕生の秘話に迫るDEEPなインタビューを掲載!
2004年より始まり昨年10周年を迎えた九州最大のプロ機器/放送機器の展示会『九州放送機器展』をRock oNレポート!
天候は昨年に続きあいにくの雨となりましたが、来場者は昨年よりも多いような印象です。
九州初上陸はもちろん日本初披露の製品もいくつか展示されるとの噂も飛び込んでいますよ!さっそくレポートをスタートしましょう!
Avid
S6
話題のS6に続々と新機能追加!成長し続けるコンソールがさらにパワーアップ!
VCA Spill機能
FADER上からVCA Spill機能が出来るようになりました。ICONではVCAトラックのロータリーエンコーダー上に、VCAグループのトラックが展開されていましたが、今回のS6 ファームウェアバージョンアップで、VCAトラックの右サイドもしくは左サイドへトラックを展開出来るようになりました。5Knob構成のS6でもノブの数を気にせずにVCAトラックを展開出来る様になります。また、ノブではなくFaderへ展開されますので、微妙なニュアンスのコントロールが容易になりますね。
オートメーションモードの切り替えが簡易に
オートメーションモードの切り替えがボタン一つで可能になりました。今まではキーコンビネーションが必要でしたが、これで簡単にオートメーションをコントロールが出来る様になりました。
プラグインの拡張表示
プラグインのパラメーターがノブモジュールへ展開可能になりました。以前のICONで搭載されており、大好評の機能が搭載されました。今までは、マスターモジュールやPro Toolsのモニタ画面でのコントロールでしたが、この機能が搭載されましたので、場所をいちいち移動しなくてもプラグインのコントロールが可能になります。
エディットモード機能
なんと、コンソール上からProToolsセッションを編集出来る様になりました。これはS6ならではの機能の更新ですね。編集出来るようになった機能は下記の5つです。
・クリップ単位でのクリップゲインの調節
・クリップのトリム
・クリップのFade In/Fade Out調節
・クリップのナッジ
・編集時のナッジバリュー調整
これらの編集が、コンソール上から出来る様になりました。これらの編集は、ナッジバリューで設定した値ごとで編集となります。編集モードでいうと、スリップモードではなく相対グリッドというイメージでしょうか。
もちろん、編集したいクリップもコンソール上から任意のクリップを選択する事も可能です。反映した結果はディスプレイモジュールにリアルタイムで表示・確認出来ます。日本では2マン・オペレートも多いので、まさにこの機能は重宝されるのではないでしょうか?DAWとコンソールが同一メーカーだからこそ出来る機能ですね。
Dynamicsの表示機能向上
マスターモジュールでは今まではDynamicsのカーブ表示のみでしたが、それに加えて、ゲインリダクションとバウンシングボールの表示が増えました。リアルタイムでの表示なのでかかり具合が確認出来ます。これらはディスプレイモジュールにも反映しますので、視認性が向上します。
レイアウトモード対応
待望のレイアウトモードに対応しました。System5に搭載されていたこの機能を待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか?しかも、S6では同じセッションに対して複数のレイアウトセッティングを設定出来る機能が搭載されました。S6で設定されたレイアウトはPro Toolsセッションには影響しませんので、ミキサーがミックスし易い様に並び替える事が可能です。ICONではCustom Faderという名前で搭載されていた機能の様に、通常モードと複数のレイアウトモードとを併用することで、スムーズにミックス作業が進みます。
また、S6では最大8台のワークステーションを認識する事が可能ですので、SYSTEM5の様に「このチャンネルにはPro Tools、このチャンネルにはNuendo、次のチャンネルにはLogic・・・」など、DAWを問わず任意のトラックをマッピング可能になります。この機能が搭載されているコンソールはS6とSystem5だけです。他のコンソールでは、表示されているトラック全てを切り替えないと出来ない機能ですね。
ソフトキー機能
マスターモジュールに搭載されているキーがソフトキー機能として活用できるようになりました。今まではプリセットキーのみの操作でしたが、ソフトキーが使用できるようになりましたので、任意のプリセットキーをユーザー自身がソフトキーヘ自由に配置出来るので、利便性が増します。
XMON機能向上
今回のバージョンアップで、XMONとXMONソフトウェアの機能が向上し、ほぼ全ての機能をS6からコントロールが可能になります。マスターモジュール上からソースを切り替えたり、各アウトプットトリムが調節可能など、XMONをフル活用出来る様になりました。
このように、大幅バージョンアップとなったS6。下記動画では新機能が実機で説明されております。言葉で表現する以上にS6がどう変わったかを実感して頂けると思います。まさに成長し続けるコンソール S6を是非ご覧ください!
★2014年4月、Avidが描く夢「Avid Cloud」の全容がプレゼンテーションされました。その詳細はこちら!
★ROCK ON PRO主催 Avid Creative Summit 2014!プロ講師によるセミナーセッションの模様をムービーと共にお届け!
★デモンストレーターによる実働ムービーも掲載!AES2013で北米したS6の姿はこちら!
YAMAHA
今年6月にアップデートが発表されたばかりのNuendo 6.5と、Nuage1.5が九州に上陸!!
展示会としてNuendo6.5は初公開ということで話題性十分のYAMAHAブースですが、なんとNuageもバージョンアップとの情報を入手いたしました。ネットでも未公開ということで、YAMAHAブースは常に人集りです。
Nuage 1.5
今回展示のNuage 1.5は、Nuendo 6.5の新機能キャッチアップだけではなくNuageにもより便利な機能を搭載されたバージョンです。
ADRテイカー機能2.0
Nuendo6.5でVersion 2となったADRテイカー機能がNuageのタッチパネルから直接コントロール可能になりました。また、Free Run機能も搭載され、NUNEDO単体ではマーカーごとの録音だったのがマーカーを超え、次の場面まで録音されるような動作が可能となりました。
トラックビジビリティの機能対応
Nuendo6で、編集画面からもトラックの表示・非表示の切り替えが可能になりましたが、
この機能がNuageのタッチパネルからコントロール可能になりました。ミキサーと連動しており、表示・非表示を切り替えた際にNuage フェダーモジュールも連動して動作します。
その他、既報となっているNuendo 6.5の新機能である自動ラウドネス処理機能など、注目の機能が目白押しでした。まだホームページでも公開されていないということなので、情報が入り次第、随時お知らせいたします。
Nuendo 6.5
Nuageとのコンビネーションが生み出すソリューションにより、圧倒的にスピーディーなワークフローを手に入れた業界定番ポスプロDAWのNuendo。最新v6.5では
・ユーザーが指定した任意のラウドネスレベルへノーマライズ(そして最大トゥルーピークレベル設定)が行える「自動ラウドネス処理」
・低域のルーティング/フィルタリングを行いサラウンドミックスでの低域処理に威力を発揮する「Bass Managerプラグイン」
・定評あるADRテイカー機能をさらにブラッシュアップしアフレコやフォーリーのワークフローを改善する「ADRテイカー 2.0」
を始めとした機能を増強しました。
Nuageでもご紹介したADRテイカー機能2.0は、「複数のマーカーを同時編集」「複数テイクを一つのバッチ処理内で録音」、ADR マーカーリストのマーカーやテイク構造とは独立して、タイムラインのどのポイントからでも録音を始められる「Free Run モード」、ファイル検索に役立つ「ファイル名への属性付け機能」など機能が向上。大量のファイルを扱うことになるFXのダビングやフォーリーなどの作業負担が軽くなる改良がされています。
またv6.5から標準搭載されるBass Managerプラグインが良くできていると感じました。メインLR/Cからウーファーへ送る際の周波数可変式ローパスフィルターの搭載はもちろん、LFEにハイパスフィルターをかけて取り出した中高域のサウンドをメインLR/C (LRとCは独立してON/OFFできます)へ送ることができたり、サブウーファーに+10dbのスイッチが付いているなど、痒いところに手が届く便利な仕様となっています。
Bass Managementはサラウンド音源の低域をコントロールして理想的なサウンドを作るための重要な作業となりますが、このBass Managerプラグインならばそこのワークフローがより早く直感的に操作できるようになりそうです。
MA2030 & PA2030
「Smart Simple Solution」を謳うコンパクトで多機能な小規模設備用D級パワーアンプのMA2030 と PA2030。
量モデルとも出力は30W×2(1kHz, 20m秒バースト, THD+N=1%)、1ステレオスピーカーOUTとなっていますが、MA2030は3ステレオin、アンチフィードバックとダッカー機能付きの2マイクin、2バンドEQを備え、小規模アミューズメントやショップなどで、ミキサー無しでも便利に使える賢いパワーアンプとなっています。
PA2030は入力が1ステレオラインinのみとなりますが、これとMA2030のラインoutとをつなぐことで、MA2030の拡張パワーアンプとして使うことも想定され設計されています。
このコンパクトさによる設置のしやすさや使いやすさの気配りなどはさすがYAMAHAといった感があります。MA2030は¥35,000(税抜)、PA2030は¥30,000(税抜)となっており、発売は7月です。
NEUMANN
TLM107
Sennheiser Japanが代理店を務めるNEUMANNブランド。注目はやはりAES 2013の展示からずっと発売が待たれていたNEUMANN TLM107。
6月にようやく日本で発売開始となり、ここ九州放送機器展でも堂々の展示です!
TLM107はNEUMANNのトップライン・デジタルマイクロフォンD-01のカプセルの設計踏襲した新設計の2枚のラージダイアフラムカプセルを搭載。D-01の持つシャープで立ち上がりの良いサウンドを継承しています。
こちらは、同モデルの背面ですが、特筆すべきはセンターに位置するナビゲーションスイッチです。
このツマミを上下左右にスライドさせることにより、40Hz/100Hzの2ポジションのローカット、-6dB、-12dBの切り替え式Pad,そして2枚のダイヤフラムから生成される5種類のポーラーパターンを選択することができます。(無指向性、ワイド カーディオイド、カーディオイド、ハイパーカーディオイド、双指向性)
このポーラーパターン切り換えとパッド、およびローカットのon/offは独自のナビゲーション スイッチで行い、パッドとローカットの状態はスイッチの左右に配置されたLEDにて表示されます。
(*シンガーが気にならないようにするため、スイッチおよびディスプレイは、マイクロフォンの背面にあります。15秒後に、ディスプレイは自動的にオフになります。)
この操作性とデザイン性を兼ねた新しい試みは接点不良によるトラブルからの開放を意味し、NEUMANNの新世代マイクの開発に対する挑戦心を感じますね。
音質は色づけを少なくおさえ、且つ空気感をしっかりキャプチャーできるNEUMANNの全く新しい哲学で作られた新生代のMICという位置付けに。それは、周波数特性からも読みとることができ、非常にフラットな特性を実現しています。
ラージダイヤフラムでこの特性は驚異的とも言えるでしょう。録音ソースを選ばずあらゆる魅力的にキャプチャーでき、””Freedom of Sound”とのキャッチコピーからも自身が伺えます。今から期待が高まりますね。
またシャープなシルエットのショックマウントのデザインも新しいNEUMANを感じます。こちらは別売とのことです。
★TLM107お披露目の瞬間を捉えた、AES2014ショーレポートはこちら!
エレクトリ
代理店エレクトリのブース。おなじみApogee、SPLと共に話題のPeluso Microphoneの新作を展示!
Peluso Microphon
ビンテージのNEUMANNマイクを最新の技術で現代に蘇らせたPeluso Microphone。
創始者のJohn Peluso氏は、戦前のNEUMANNであの伝説のマイクCMV 3を開発したVerner Ruvalds氏に師事。マイク作りの全てを伝授されます。師のRuvalds氏が開発したCMV 3は名機U 47が生まれる礎になったマイクですが、弟子のPeluso氏が自身のブランドでそのU47のサウンドを再現したというのはドラマを感じます。
U 47のサウンドを基にしたモデル3機種を含む合計7種類が従来のラインナップでしたが、今年5月にTELEFUNKEN ELA M251スタイルの「22 251」、AKG C12スタイルの「P12」という2種類のマイクが加わりました。九州放送機器展では初展示となるため、来客者も高い感心を持って担当者に質問をしていました。
22 251
世界中のエンジニアが垂涎するヴィンテージマイクと言えば、TELEFUNKEN ELA M251。まともなコンディションであれば中古市場で数万ドルで取引されるほどの希少価値があり、そのサウンドも高域から優位機にかけてのシルキーな伸びと全体の温かなサウンドは他の何にも代え難いものがあります。
22 251は34mm口径のデュアルサイド金蒸着マイラーカプセルと6072A三極真空管を使用し、ELA M251に極めて近いサウンドを再現しているとのこと。ペアマッチングでの販売もされており、9種類の指向性切り換えを使ってオリジナルではできなかったサウンドメイクが可能です。(オリジナル ELA M251はCardioidとOmniの2種類のみ)
ただのビンテージサウンドの再現に止まらず、その音を活かしながら現代のニーズにマッチしたマイクセッティングも可能なPeluso Microphoneは、いま注目すべきマイクブランドです!
Apogee
Apogeeテクノロジーの集大成、フラッグシップのSymphony I/O。Apogeeならではの卓越したサウンドクオリティと拡張性が評価されロングセラーを続けています。プロスタジオはもちろん個人ユーザーも増加中です。
TASCAM
最近続々と高コストパフォーマンスで優秀なアイディアが光る機器をリリースしているTASCAM。
絶賛発売中のビデオシンク/マスタークロックジェネレーターCGシリーズと共に、新製品のCDプレイヤーCD-240、FTPクライアントに対応し、サーバーへのアップ/ダウンロードが可能になった業務用レコーダーHS-20という2種類の新製品を展示!
CGシリーズ
CG-1800は長年業務機器の開発に携わってきたTASCAMだからこそ生み出せた、実用的なアイディアと高い信頼性を持つビデオシンク/マスタークロックジェネレーターです。
これまで高品位なクロックジェネレーターは海外製のものが占めていましたがサポート体制で不便なこともあり、国産の製品が特に放送業界内で望まれていたしました。そこで登場したのがCGシリーズというわけです。
最上位級機種のCG-2000は放送局のニーズに応え現場にターゲットを定めたビデオシンク/マスタークロックジェネレーター。CG-1000はビデオシンクを搭載しない音楽制作用とに最適なシンクジェネレーターとなっています。
CGシリーズは共通仕様として、WordclockのオシレーターはOCXOを搭載。アナライザー機能やログ取得機能、セルフ校正機能まで装備。クラス最大の12系統のワードクロック出力を装備。その他にAES3/AES11、S/PDIFデジタル出力を2系統搭載して各種システムに対応できます。さらに10MHz対応の外部入力端子を搭載。
(Amphenol製のナット締め付けタイプのBNCコネクターを使用するなどのこだわりにも注目したいところ。)
特徴的なCG-2000は放送局等の現場へ訴求する仕様のビデオシンク/マスタークロックジェネレーターとなっており、電源とVideoRef/WCのリダンダント機能を有し、もしもの断線時にはユーロブロックからのアラート信号が送出される機能。4系統のビデオ出力も装備しています。
★CGシリーズ初登場のMusikmesse 2014ショーレポートはこちら!
CD-240
店舗などのBGM再生にもってこいの新製品CD-240。CDのを始め、USBメモリ内の音声データ、DLNA(Digital Living Network Alliance)を使用してのネットワーク上の音源を再生可能。面白いのは、LAN経由でインターネットに接続することで、地上波のラジオ放送(AM/FM)のネット配信サービス「radiko.jp」や世界中の約24,000もの音楽専門局の音を選んで聴ける「vTuner」に対応しているということ。聴けない曲は無い、と言っても決して大げさではないでしょう。
HS-20
HS-20は業務仕様のレコーダーHSシリーズの最新作。
FTPクライアント対応でサーバーへのアップ/ダウンロードに対応。イベントに合わせた定時での再生/UP/DLプログラムなどを自動コントロールが可能とのこと。店内BGMの再生、定期的なアナウンスやBGMなどの再生で活躍しますね。当然回転機構は持っていないのでメンテナンスフリーで耐久性も十分ですね。
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記事内に掲載されている価格は 2014年7月3日 時点での価格となります。
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