今回は改めて、Pro Tools 11より可能となったオフラインバウンスについて掘り下げてみたいと思います。これはPro Toolsユーザーなら誰もが待ち望んだ機能だと思います。(私も待ち望んでいた一人でした。)
方法は、以前のPro Toolsとほとんど一緒で、ファイルメニューからバウンスを選ぶのですが、バウンスのメニューが微妙に変わっています。
オフラインバウンスをするには、ここ。左下のチェックボックスにチェック入れるだけです。
また、Pro Tools 11からのバウンスの新機能の一部としてですが、バウンスソースを複数選べるようになりました。
以前のバージョンですとボーカル入りのいわゆる完パケとカラオケを作るためには、リアルタイムバウンスを2回繰り返さなければなりませんでしたが、このバージョンからは、一度に作る事が出来ます。
ボーカルを含む全トラックはメインのアウトプットバスに出力させ、カラオケの部分にあたる、ボーカル以外のトラックはアウトプットをメインのバスとは別のアウトプットに重ねます。(アウトプットを重ねるには、アウトプットバスをControlキーを押しながら、重ねたいバスを選んでください。アウトプットバスの頭に『+』マークが現れたら成功です!!)
このようにアウトプットバスを組むとミックスのバランスそのままにボーカルありの完パケとカラオケが一度に出来てしまう訳ですね!!
AAXプラグイン対応によって…
さて、皆様はPro Tools 10からプラグインの形式がAAXというフォーマットに対応した事はご存知でしょうか?実は、このAAXプラグイン対応こそがオフラインバウンスを可能にするためのキーポイントだったんです。Pro Toolsを64bit化するためにもPlug-Insの64bit化が必要だったのですが、オフラインバウンスを実現するためにもTDM/RTASフォーマットをAAXへ移行することが必要条件となっていました。
DSP向けのTDMとCPU向けのRTASという別のプログラムだったのが、DSPもCPUもAAXで同じになることがキーポイント。現に、Pro Tools 10ではAAXプラグインとTDM、RTASプラグインが混在出来るために、オフラインバウンスが出来ていません。(それだけの理由ではないんですけどね)
Pro Tools 11になってTDM、RTASの壁がなくなった(使えなくなった!?)事によって、晴れてオフラインバウンスが実現出来たと言っても過言ではありませんよ。
オフラインバウンス時にAAX DSPのプラグインはプロセスされるのはご存知かと思いますが、実はAAX Nativeとして処理されているんです。HEATなどのDSP版のみのプラグインも一時的にNativeとして処理されるのです。プラグインがAAXフォーマットになったことにより、演算方法が共通のものとなりました。
DSPとNativeはそれらがどこで演算されるかの違いだけなのです。TDMとRTASの様な差(処理解像度も違いましたよね)がなくなり、AAXでオフラインバウンスが出来るようになったとしても、音色が異なっているのでは、実用的ではありませんね。それが、AAXで全く同一のアルゴリズムを使用した演算を実現したことによって、音質的にも安心して使用できるんですね。
みなさんもぜひ、Pro Toolsのオフラインバウンスを使用してみてください!
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記事内に掲載されている価格は 2014年1月24日 時点での価格となります。
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