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HOW TO

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01
Oct.2015
HOW TO

Korg electribe レビュー!制作とライブの垣根を飛び越える、最速クリエイトマシン!

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Korg の最新版electribeがすごいらしい。その噂を嗅ぎ付けた私IH 富田はKorgさんからデモ機を借りて実際に試してみることにしました。

シーケンサー付き音源の単体機と言えばこれまでMPC2000(無印)を使ったことがありますが、それ意外はほとんどプリセットを切り換えてサウンドチェックをする程度しか使ったことしかありません。DAWでの制作に慣れきってしまった私にelectribeを使いこなすことができるのか!?

electribeって何?

electribeは

・シンセサイザー
・ドラム音源
・シーケンサー
・ドラムパッド
・カオスパッド

これらが一つになった制作/ライブマシンです。これ1台でエレクトリックミュージックの制作からライブ演奏迄を可能にします。

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音源

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この手のオールインワン楽器を評価するのに一番重要なことは『本番で使える音かどうか』。これに尽きます。これまで何億人もの観客を踊らせてきたヒット曲が鳴り終わった後、同じステージでelectribeでライブができるのかどうかが一番大事ですよね。先に感想を述べてしまうと、手元のミキサーやPAさんに手伝ってもらってある程度音の重さを出す処理をする必要はあると感じましたが、シンセサイザーを中心としたトラックなら充分にステージや本気の制作で使えると思います。音色一つ一つのクオリティはこの価格では信じられないくらいに良いものなのですが、それを後述するシーケンサーにノブやボタンの動きを記録させて有機的な動きのある音にできるところなどポイントが高いと思います。

さて、electribeは主にEDMなどのエレクトリックミュージックを得意とする音源が内蔵されていて、その数はアナログモデリング音源とPCM音源を合わせて409波形!あくまでこれは波形の数であって、これらにフィルターやエフェクトをかけることでそのサウンドバリエーションは未知数となります。

PCM音源を中心としたリズム音源は Kick 56個、Snare 58、Clap 16、HiHat 42、Cymbal 14、Tom 16、Perc. 55の合計257個。これらはピッチやEGを自由に作れるので、4つ打ち系をやるには充分ですね。

ほかにも声ネタのVOICEやFX音、ピアノやキーボード系のサウンドもPCM音源で収録されています。これらは以下の超実力派サンプリングメーカーとコラボレーションしたものが取り揃えられているということ。。

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改めて音を聴いてみて納得ですね。トレンドを意識しながらも定番をしっかりと押さえたサウンドだと思います。肝心のドラムなら予めレイヤーされたキックやシンプルでいじり甲斐のあるスネアが便利ですよ。

また、アナログモデリング音源が中心のシンセ/ベースサウンドもKorgらしく太く使いやすい音ですね。SAWやPULSEなどの基本波形を元にEGやフィルタリングを施して音を作って行く他、Dual、Unison、Sync、Ring Mod、Cross Modなど音を厚くしたり複雑な倍音を加えることができるモジュレーションも付いているのでクラシックに終わらない、現代的なサウンドを生み出すことができます。EDM系には太いリードサウンドが必需品ですものね。これはとても大事。

実際にプリセット音からスタートしてオリジナルサウンドを作ったり、ドラムキットを組んでみたりしましたが、スタンダードなヒットチャートものから変態アングラ系まで、多分これまで耳にした事のあるエレクトリックミュージックのサウンドの多くをカバーすることができるのではないかと思えました。充分ですね。これは。ただ、生ドラムや生ピアノのサウンドも入ってはいますが、シンセサイザーとのマッチングが良い音にプロセスされているので、耳を疑うほどのリアルな生ドラムサウンドは期待できません。electribeはやはりエレクトリックな楽曲が似合います。

ライブに強い、速攻シーケンサー

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ではこれまで紹介したパワフルな音源をどう鳴らしていくのか。作曲はどうするのかというところにいきましょう。

electribeは最大16のパート(楽器)で楽曲を構成します。ドラムもキック、スネアなど一つの楽器で1つのパートと数えます。これらを使い、数小節でできた演奏単位であるパターンを作ります(最大250パターン保存可能)。このパターンを繰り返したり次から次へと切り換えるなどして曲を進行していきます。つまりはループを主体とした楽曲に強いということですね。

打ち込みの方法はいくつかあって、一つ一つの数値を丁寧に入力していく『ステップ録音』直感的にパッドを叩いて入力する『リアルタイム録音』が基本となります。ノブやスイッチの動きもデータとして記録されるため脈動感ある有機的なフレーズも簡単に作れます。タッチパッドを使った『ゲートアルペジエイター』や楽曲全体に壮大なエフェクトプレイを施す『マスターFX』などもパターンとして記録可能。DAWで同じ事をしようとするとちょっとした手間ですが、electribeならば気軽にチャレンジできます。

パターンを複雑に出し入れする場合は、ドラムパッド一つにパターン一つをアサインすることができる『パターンセット』で曲を展開していくといいと思います。

ここで、オールインワンタイプのトラックメイキング機材が初めての方にご注意いただきたいのがこのシーケンサーの専門性の高さ。

前述のようにループを主体としたエレクトリックな楽曲を作るために特化したelectribeはそのイメージを素早く形にできる素晴らしいシーケンサーを持っていますが、いわゆるダイナミクスたっぷりのピアノ1本の楽曲や本物と聴き分けができないギターソロなど、1tick単位でのヴェロシティやデュレイションの調整はできません。やはりelectribeではガンガンに踊れるエレクトリックミュージックを打ち込んでいくのが正解。

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そしてトラックメイカーに嬉しい機能が、パッド一つを押すだけでロジックに沿ったコードが演奏される『chord演奏』と、タッチパッドとドラムパッドがその楽曲に合ったスケールで自動的に演奏できるモードをもっていること。

IMG_0167つまりは指1本でピアノやシンセPADを美しく鳴らせ、メロディも決して音を外す事無く演奏ができるということ。ビートを組むことに長けていながらも和音の演奏が苦手なトラックメイカーも多いのでは?electribeならまるでサンプリングネタをアサインするように簡単に理想の和音感とメロディを作ることができます。

できあがったパターンはSDカードに保存可能。.wavとしても書き出せるのでちょっとした音ネタ作りにも利用できますね。そして驚くことにelectribeはパターンをableton Live形式のファイルとして書き出せるのです!

ableton Liveとの連携で可能性は無限に!

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electribeでザックリと作り上げたパターンをLiveインストゥルメンツを使ってさらに練り直したり、そこにボーカルを入れたりしてさらに楽曲を発展させることもできますね。electribeにはableton Live Liteがバンドルされているので誰しもが皆Liveユーザーとしてelectribeを使えるというのもすごい。このコンビネーションはたまりませんね。

electribeは0の状態から再生して、そのまま音を止めずに音作りやフレーズの入力ができます。慣れてくるとリアルタイムに楽曲を構築してそれなりの展開を付けることができるので面白いったらありませんでした。

electribeはダンスミュージックのツボである、制作とライブの垣根を無くすことができる機材だな、と思いました。この状態を目指してableton LiveのようなDAWも出てきたわけで、electribeはダンスミュージックのクリエイティブツールとして非常に優れていると思いました。

簡単マニュアルであっというまに electribeマスター!

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また付属するマニュアルが秀逸で、electribeの基本を知り、音を出し、演奏、演奏を記録してエディットする、というこの流れがたった10ページほどにまとめられています。

マニュアルを頭から読みながらその通りのことを行えば、1時間後には操作方法をほぼマスターしているという簡潔さには驚きました。もちろんelectribeの分かりやすいワークフローと理解しやすいボタンの配置など、細やかな設計がうまくできているのだと思います。


総評として、このelectribeは「サウンド」「操作性」「分かりやすさ」がすべて想定外のクオリティの高さでした。electribeは有名ソフトシンセやドラム音源と同価格帯ということでそれと比べると心が揺れる方もいると思いますが、降ってきた曲のアイディアを即形にできるelectribeの即効性はDAWの比ではないと思います。

オーディオ録音や追い込んだミックスができないなど、もちろんelectribeだけで全てが完結できるわけではありませんがこれは触ってすぐ音が出る『楽器』として非常に強力な製品なので、ライブ派はもちろん、室内で制作Onlyの方にもデスクや膝の上にいつでも置いてほしい製品だと思いました。



¥ 0 (本体価格:¥ 0)

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    記事内に掲載されている価格は 2015年10月1日 時点での価格となります。

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