これが業務 / 放送機器の最前線だ!年々盛り上がりを見せる、「九州放送機器展(QBEE)2012」リポート第一弾!



本日7月4日から5日まで、九州はマリンメッセ福岡で開催されている「九州放送機器展(QBEE)2012」は、2004年から一般社団法人日本ポストプロダクション協会九州支部によって開催されている、業務用・放送用機器の展示会!年々その規模は拡大を続けいる、九州の業務映像音響機器を支える賑やかな祭典の模様をお伝えしましょう!

朝早く、できあがったばかりのProceed Magazine最新刊をひっさげて、意気揚々で会場に到着したのですが、会場は降りしきる梅雨の雨。本日お披露目されるProceed Magazineが濡れないように大切にかばいながら入場!(午後には雨もやんでほっとしました)

● 東陽テクニカ

九州ラウドネスサミットが同時開催される中、展示の中心は、やはりRTW社のラウドネスメーター。フラッグシップのTM9/TM7はもちろん、高い注目を集めるスタイリッシュ且つ、スマートフォン的な操作を実現したTM3。

そして最新のソフトウェア「Kanon」。これは、ラウドネス解析のための強力なツール。ファイルベース、オーディオ・インターフェースからの入力等、様々なソースに対応。最大8系等のラウドネスの同時測定が可能。複数の放送局にまたがっての同時測定、本線とオンエアーの同時測定等用途は広がります。ストレージサイズに依存しての無制限のログの保存。過去のログからの一定部分の解析など、ラウドネスロガーとして求められる機能を盛り込んだ意欲作です。注目のお値段はソフトウェア単体では¥95,000(税抜)と魅力的な価格。放送局には、必須となること間違いないでしょう。

九州放送機器展では、最新の「Kanon V3」のリリースがアナウンス!!従来は、WAVのみであった、ファイルベースの解析がMXFにも対応、ログの結合、過去のログから一定部分の再計測等、ニーズに合わせた更新が行われ、近日リリースされるとのことです。手軽にMXFからラウドネス値を解析できるということで、今後のファイルベースのワークフローにも合致します。

4月のNABレポート模様はこちら!



● ヤマキ電気

1軸2芯針式ラウドネスメータが人気のヤマキも、ラウドネスメータをフルラインで展示。存在感を示していました。あくまででも据え置きの測定器としての存在を追求。コンソール上、デスクの上での取り回しのしやすさにも定評があります。視認性にこだわるこのメーカー、実機を確認頂ければ、そのエンジニアのこだわりが感じ取れるはずです。



● DSP Japan

まずは、国際的に高い注目を集めるMerging Horus。Pyramixの専用インターフェースとしてだけではなく、汎用のAudio Interfaceとして仕様出来ることも判明。Ravennaと呼ばれるEthernet Audio規格を採用しNetwork Audioのコアとしても活躍が可能。

概要をおさらいすると、24channelのEthernet経由でのリモート・マイクプリを搭載し、PCMであれば44.1kHz-384kHz、DSD ×64-×256、DXDへの対応と高すぎる機能を持つAD/DAを搭載。Digital I/OはMADI,24chのAES/EBUを備え、LTC/MIDI/RS422といった、シンクソースまでもEthernetにエンベデッド可能。まさに、モンスターマシン。エジプト神話の1000里先を見通すHorus神に由来する、そのプロダクトネームに負けない先進の機能を盛り込んでいます。

DSDに関しては、史上初の×256(11.2MHz)をマルチチャンネルで実現。その音質は、何者にも代えがたい魅力を放ちます。まさしく、アナログを超えた、デジタルだからこそ実現できた高精細、高再現性がそこには広がります。

余談ですが、Horusの展示台のこの丸いマークは、先を見渡す目玉がモチーフとのことです。

4月のNABレポート模様はこちら!

続いて、昨年のAES,InterBEEでデビューしたTANGO 2。今回の展示で、その巨大な22inch Touch ScreenになんとDAWの画面が!!!詳細はわかっていませんが、TouchでDAWがコントロールできるとしたら、まさに次世代と呼べるコントローラーに進化したといえるでしょう。

※詳細は、ROCK ON PROレビューを御覧ください>>>



● Media Integration

ご好評頂いているSymproceed SP-MP4はデジタルオプション発売間近!!PCM44.1-192kHz & DSD ×64-×128の出力を可能とする最新のソリューションです。Mic Preの持つ高い再現性をアナログでのワイヤリングでロスすることなく最高の音質で残すため最高グレードのAD Converterを開発、搭載を可能としました。


ピアノ専用という特殊な設計で高い評価を得ているEarthworksのPM-40T。40kHzまでのフラットな特性と無視校正のマイクの持つ自然なサウンド表現で、アーティストからの評価の高いマイクです。また、ピアノの内部に仕込むことも出来るため、ハウリングの影響を受けないようフタを閉めてのセッティングも可能な高音質マイクロフォンです。

今ならEarthworksマイク全製品にVOVOX社製ケーブルをプレゼントするキャンペーンを実施中。Earthworks マイクのハイ・ディフィニション・サウンドをピュアに伝導するVOVOXケーブルキャンペーンのこの機会に是非ご検討下さい。



● DENON

業務用のレコーダーで実績のあるDENONがデジタルレコーダーを参考出展。業務用の市場に再び参入を考えているようです。音質には定評のあったDENON。復活が楽しみです。



● DDP

広い面積のブースに巨大なサーバーシステムを持込、デモを行なっていました。Pro Tools,MediaComposer,FinalCut等エンタープライズで使用されるほぼすべてのクライアントのデータ共有が可能。Ethernet Cable1本で100MB/sのスピードを可能とする独自のAVFS formatを持ち、2本の接続で200MB/sといった、柔軟のシステム設計が可能です。

また、拡張性も確保されており、16DEXと呼ばれるシャシーを追加しての容量、スピードの拡張。システムヘッドの2重化、バックアップ用のMirror、ポータブルなmicroとラインナップを拡張しています。
日本以外のアジア圏でも販売は好調とのこと、10台規模の納品が相次ぎ好評いただいているとのこと。日本国内ももちろん、順調に導入実績を積み重ねており今後のVideoとAudioの融合というトレンドに向けて、準備が加速していることを実感できる展示となっていました。



● エレクトリ

音響/映像機器の総合商社エレクトリのブースは、ApogeeNeumannKRKSPLBricasti Design など、著名ブランンドが顔を並べます。

ApogeeのフラッグシップI/O Symphony I/Oは発売当初から様々な種類のI/Oカードやオプションが次々とリリースされてきていますが、今ユーザーが一番首を長くして待っているのは、Symphony I/OをThunderboltに対応させるオプションインターフェース「Symphony 64 Thunderbolt」の発売ではないでしょうか。NAMM Show 2012でその存在が公開されましたが、なんと今秋に発売予定という情報をキャッチしました!

Symphony 64 Thunderboltを介してSymphony I/OとMacを接続する事で、Symphony I/Oは64チャンネルの送受信が可能となります。MADI、Danteなどの汎用の伝送技術を使用せずに、これだけの多チャンネル入出力を備えるのは画期的で、Apogeeの技術力とThunderboltならではの可能性を大いに感じます。

同社が扱う製品はレコーディング機器が多い印象ですが、SR/ブロードキャストの展示会である本イベントのカラーに合わせて強くプッシュされていたのがNeumannのステージ用ハンドヘルドコンデンサーマイクKMSシリーズと、デジタルマイクKM Dシリーズです。

KMSシリーズは、スーパーカーディオイドモデルのKMS 105がノラ・ジョーンズの使用する定番マイクになっていたり、ハンドヘルドコンデンサーの中でも比較的早くから製品化されていたため知名度が高いですね。他のモデルと比較してふくよかなローエンド特性を持つKMS104plusはその特性から、女性ボーカルの声をより太くキャプチャーすることができるので人気があります。(ロック系のボーカルにも有効です)何より、録音時に使用しているNeumannのサウンドがそのままステージで再現できることも魅力です。
インイヤーモニターの仕様が普通になり、ハウリングマージンが増えたことからも、最近はライブステージでボーカルがコンデンサーマイクを使っているシーンをよく見かける機会も増えてきましたね。

デジタルマイクのKM Dは、交換可能なカプセルの直後にD/AコンバーターとDSPを搭載し、音信号をAES42で出力され、外部からのノイズに強いデジタル信号で録音システムまで転送できる利点を持ちます。また専用デジタルマイクプリDMI-2とリモートコントロールソフトを使う事によって離れた場所から内蔵のDSPを操作でき、マイクの特性を最適化できるのもデジタルならではの機能です。このAES42は国際規格としての汎用性を持ち、SENNHEISER、SCHOEPSといったメーカーからも同一企画のDigital Micのリリースが行われています。

今回のようなSR/ブロードキャスト機器の展示会に来るたびに、年々現場のデジタル化が加速しているのを肌で感じます。マイクからスピーカー、照明や特効まで、あらゆる機器を一つのコントロールサーフェースで一括管理してコントロールする、なんていうことももうすぐそこまで迫ってきています。



● YAMAHA

YAMAHAブースは、Steinbergの主流製品、NUENDO 5、Wavelab7、Cubase 6.5とその専用コントローラーCMCシリーズなどをズラリと並べながらも、長年世界中の現場で評価されてきた伝統のノウハウと最新のテクノロジーを融合したデジタルSRコンソール CLシリーズを中心とした展開となっています。

CLシリーズは音響機器の基本である「音質」にこだわりぬき、内部クロックやFPGAにまで及ぶ音質チューニングを施した「Natural Sound」を実現しています。そこにSteinbergと共同で開発したVCM技術によるRupert Neveプラグインを始めとしたプラグインで色づけを行う思想は、これまでのSRコンソールには無かったであろう発想です。

現在主流になりつつあるiPadを使ったリモートコントロールも装備。汎用の無線LANアダプターとiApp「CL StageMIX」がインストールされたiPadがあれば、会場やステージ上を歩きながらスイートスポットごとのサウンドメイクを施すことができます。

様々な技術が投入され、YAMAHAからSR業界への新提案とも受け取れるCLシリーズですがその最も大きな特徴がDanteを使用した外部I/O Rackの存在でしょう。最大4台のコンソールと8台のI/O Rackのシステムを構築することが可能。複数のコンソールから同一のI/Oをコントロール(共有)できるため、FOHとStageコンソールをフルデジタルでつないだ柔軟でシステム構築が可能です。またDante回線を2重化することで万が一のシステムダウンに備えるリダンダント機能も有します。

シリーズ最小サイズのCL1(入力:モノ×48、ステレオ×8)を単体で使用するような小規模ライブハウスから、最大サイズのCL5(入力:モノ×72、ステレオ8)をFOHに、CL3(入力:モノ×64、ステレオ×8)をモニターコンソールにシステムアップされた劇場クラスの会場にまで対応するCLシリーズ。競合他社の同グレードコンソールはもちろん、上位機種でもなし得なかった高音質とシステム構築性は今後のSRコンソールの行く末を変えてしまったと言っても過言ではないでしょう。

さて、このCLシリーズのもう一つの利点である最大64トラック録音機能の核となるのがSteinberg Nuendo Live。8月1日に単体で発売されることも話題となっていますが、「ライブ録音に最適化されたDAW」という立ち位置にあのNuendoの名を冠した製品が旗を揚げたこと自体が衝撃的なニュースと言えます。CLシリーズとのシームレスな連携による操作感はもちろん、単体DAWとして考えてみた場合でも、最大384kHz、32bit浮動小数点内部処理のNuendoサウンドエンジンは演奏者の息づかいまでも忠実に録音し、シングルウィンドウによるシンプル設計はスピードが要求される中での的確なマニピュレートを助けます。SR現場からの声を具現化したNuendo Liveは、YAMAHAコンソールを使用しないシステムであったとしても、今後SR現場のファーストチョイスDAWとして定番化する可能性が大いにあります。

そしてこのYAMAHAブースにROCK ON PROが発行するProceed Magazine 最新刊の姿を発見!この九州放送機器点でお披露目となるProceed Magazine2012 Summerは、「次世代 High Definition(高精細度)」をテーマに、プロフェッショナルやスペシャリストのための未来を見据えた最新情報をお届けしています!他にもミニチュアを使った音響実験を行った「パーソナル・スタジオ設計の音響学」や、A/Dコンバーターの仕組みに辛口なメスを入れたChiba Labなど、人気の連載も含め総ページ数100頁を超す内容!この記事でご紹介したYAMAHA CLシリーズの特集も一読の価値ありですよ!Proceed Magazine2012 SummerはRock oN渋谷店店頭で無料配布中です。さらに専用お申し込みフォームにお申し込みいただくことで日本全国どこでも無料でお届けいたします!(7月中旬頃から随時発送)お見かけの際はぜひご覧ください!

※ PROCEED MAGAZINEの詳しい情報はこちら!>

国内発表会の模様はこちら!



● 1日目を終えて

最終施行日を目前にして、地方局が最も注目するラウドネス関連製品。同会場敷地で九州ラウドネスサミットも同時開催中ということで、その盛り上がりをひしひしと感じた1日目のリポートでした。展示は音響が1/3、映像関連が2/3という割合の展示となっていますが、デジタルによる冗長性と、CPU制御による「集中管理/コントロールシステム」により、様々な分野の機材がネットワーク上でつながる融合化が進んでいる感想を持ちました。



東陽テクニカヤマキ電気DSP JapanMedia IntegrationDENONDDP
エレクトリYAMAHA



Roland共信コミュニケーション/TAC systemCanonBlack Magic Design
SHUREAutodeskASKオタリテック日本SGI有限会社CINEMAX
コスミックエンジニアリングテクノハウスGrassValleyAudio-technica
SONY報映産業PanasonicManfrottotektronics池上通信機



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