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皆さん、こんにちは。
今回はAshun Sound Machinesから昨年12月に発売した8ボイスシンセサイザー、Hydrasynth Explorerをご紹介します。
あまり聞き慣れないメーカーということで詳しくは知らない方も多いかもしれませんが、このHydrasynth Explorerは、37鍵盤のコンパクトサイズながら上位機種(Hydrasynth)と同じサウンドエンジンを搭載し、ポリフォニックアフタータッチ(鍵盤を押し込む強さでパラメーターを変化させる機能)にもこのサイズでは珍しく対応していたりと、非常にコストパフォーマンスが高い製品です。
液晶ディスプレイやパネルレイアウトもわかりやすいので、シンセファンだけでなく、シンセサイザーの音作りをこれから学びたいビギナーにとってもおすすめしたいシンセサイザーです。
早速ご紹介したいと思います。
ASMについて
まず簡単に開発メーカーについて触れておくと、こちらのAshun Sound Machines(以下ASM)は米国カリフォルニア州ロサンゼルス/香港に拠点を置いており、2019年に初めてとなる製品HydraSynthを発売したばかりの新興メーカーです。
ASMでの開発の中心人物が元Arturiaであったり、プロダクト・マネージャーが元Novationのスタッフであったりと、業界でそれなりの経歴を持ち、なおかつシンセマニアがスタッフとして集まっていることから、シンセサイザーの開発については並々ならぬこだわりを持ったメーカーです。今回実際に触れてみてそのシンセマニアぶりの熱意やこだわりを製品を通じて感じることができました。
Ashun Sound Machines
https://www.ashunsoundmachines.com/
外観
Hydrasynth Explorerは、バーチャルアナログによるデジタル・ウェーブモーフィングシンセサイザーです。37鍵盤で、幅55.4cm×奥行き24.7cm(A3サイズより少し大きいくらい)のコンパクトサイズで、重量も3.46kgで、キーボーディストがライブやレコーディングへの持ち運びも簡単(軽いと本当に移動の際に重宝しますよね)。
鍵盤タッチの印象としてはARTURIA KEYSTEPシリーズに近い感じで、軽快なレスポンスで長時間使っても疲れない印象です。
(個人的にリボンコントローラーも欲しかったところですが、それは上位機種Hydrasynthの特権ということでしょう。Hydrasynthではリボンコントローラーによるピッチ変化やテルミン的な効果も楽しめるので、使ってみたい方はぜひそちらを試してみてください)
ディスプレイとパネルレイアウトがわかりやすい!
深い予備知識を持たず触わってみたのですが、とてもわかりやすくて操作がしやすいというのが第一印象でした。
まず便利に感じたことは中央に位置する液晶ディスプレイで、音色の波形をはじめとするエディットの状況やプリセット名などが確認できることです(KORGのMinilogue-xdなどにもありましたね)。フィルターやLFO、エンベロープなどもここにディスプレイに表示されるので、ビギナーにとっては純粋なアナログシンセよりも、音を視覚的にイメージしやすく使いやすいと思います。
次にわかりやすい点は、オシレータから始まりフィルターを経てエフェクトを経てアウトプットに送られるという音のワークフローが、一目でわかるパネルレイアウトになっていることです。それぞれのModuleボタンを押すと、上にある液晶ディスプレイにModuleのページが表示され、ツマミにアサインされたパラメータのエディットが可能になります。
このサイズのデジタルシンセだと多くは階層式になっていてエディットに時間がかかる印象がありますが、そういった煩わしさはなく、アナログシンセの流れを汲んで、直感的に操作しやすいレイアウトになっています。
サウンドエンジン
●3つのオシレータ
各ボイスには3つのオシレータが搭載され、オシレータ1と2はシングルと、ウェーブスキャンの2つのモードで、オシレータ3はシングルモードのみで動作します。
シングルモード
シングルモードでは219の波形から選べます。その一覧が下記です。
シングルモードだけでも数が多いので、それだけで十分な気もしますがそれで終わらないのがこのシンセ。選んだ波形をさらに「ミュータントモジュール」と「リングモジュレーター」によって様々な効果をかけることができ、これがHydraSynth Explorerを特徴付けるサウンドの一つになっています。
ミュータントモジュールは様々な用途に合わせたモードがあるので、ここを理解するとサウンドのバリエーションを増やせます。その一部を抜粋して魅力的な機能をご紹介すると下記になります。
ウェーブスキャン
シングルモードだけでもかなり幅広いことができますが、さらにそれに留まらず、ウェーブスキャンモードで波形のモーフィングを行うことが可能です。ウェーブスキャンモードではシングルモードと同じ波形がすべて提供され、最大8つの波形をWavelistで選択することができます。
Mod Matrixを通じてLFOやその他のソースを使用して、Wavelistのポジション間で徐々にモーフィングを行い、ウェーブテーブルらしい波形の変化が豊かなサウンドが生み出せます。
搭載されているアルぺジエイターを組み合わせることでも、かなり斬新なサウンドやフレーズが次々作り出せる印象でした。
●フィルター12種類から切り替え可能!
サウンドエンジンだけでなく、フィルターにも嬉しい機能が搭載されています。
フィルターは2基あって、それぞれ特徴が違います。この1と2を直列に供給使用することも、それぞれを並列に使用することも可能です。
まずフィルター1は12種類もあることが大きな特徴です。通常シンセではローパス、ハイパス、バンドパスが切り替え可能というのが多いかと思いますが、このシンセではラダーフィルターやMS-20のフィルターなどへの切り替えが可能になっています。
12種類それぞれに特性があって、音の変化の仕方や明るさの違いを聞き比べるのがとても楽しいです。
フィルター2は古典的な2poleフィルターをASMにアレンジしたもので、フィルター1を補完するタイプとなります。ローパス-バンドパス-ハイパスか、ローパス-ノッチ-ハイパスの2種類のフィルターを切り替えて使用することができます。
★主なサウンドの特徴などがわかる、動画はこちら
●INDEX
・ポリフォニックアフタータッチの効果 0:00〜
・シングルモード 0:41〜
・ウェーブスキャン 1:30〜
・フィルターの切り替え 2:45〜
・LFOとアルペジエイターの効果 3:55〜
・オシレータシンク 4:41〜
プリセットには往年のシンセファンにはたまらないネーミング!
プリセットには、128パッチ5バンクで、合計640の音色が収録されています。
ひととおり見て回りましたが、音色のネーミングが往年のシンセファンならニヤリとしてしまうものばかり。ざっと見ただけでも「Blade Titles」「Kraftwerkian」「OB-X Brass Stab」「P5 Hello Hard Sync」といった、名機のサウンドをモデリングしたものやシンセ好きならイメージできるであろうネーミングが並んでいました(「Blade Titles」はポリフォニックアフタータッチ機能を存分に満喫できました)。さすがシンセマニアが集まって作られた製品、作り手のこだわりを感じました。
他にもこのシンセの機能を存分に活かしたプリセットが多数入っていますので、まずはそれらの音色からサウンドを研究してみることも楽しいと思います。
設置について
ハードウェアのキーボードは台数が増えていくと部屋のどこに置くか、レイアウトで案外迷いますが、Hydrasynth ExplorerはPCのデスクトップにも置くことができます。オーディオインターフェイスに接続して次々とレコーディングしていくことができます。
また幅55.4cmなので、13インチのノートPCを置くスタンドにも乗せることが可能です。メインのMIDIコントローラーのサブ的なポジションとして活用することもできますね。
こんなユーザーにおすすめ
総じて私の印象としてはHydrasynth Explorerはわかりやすいけど奥が深い!シンプルながら飽きの来ないこだわりが随所にあって、メーカーのシンセサイザーへの愛情を感じる、魅力に溢れた一台でした。
音にこだわるシンセファンにはもちろんですが、直感的に幅広いシンセサイザーの音作りを楽しめるので、単純にこれからDTMを始めるビギナーやソフトウェアシンセのサウンドとはまた違ったサウンドを求めている方にもにもおすすめです。
このサイズでポリフォニック・アフタータッチにも対応しているので、鍵盤演奏に慣れたキーボーディストが求める表現力に対応できるのも大きなポイントです。ライブでしっかりと演奏を聞かせたい場合にも強い味方です。
デスクトップでのレコーディングに導入することももちろん、CV/GATE接続ができるのでモジュラーシンセサイザーやアナログシンセサイザーなどハードウェアと繋げて音楽制作をすることも可能です。
触れればわかるその魅力!Hydrasynth Explorer、ぜひ店頭でお試しください。
Writer.宮崎ティンバーレイク
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記事内に掲載されている価格は 2022年3月11日 時点での価格となります。
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