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インタビュー
09
Apr.2020
インタビュー

創業40周年を迎えた Focal社 CEO / Christophe Sicaud 氏インタビュー

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創業40 周年を迎えたFocal 社、それを記念したイベントがフランスで催された。ご存知の通りでFocal はプロフェッショナル向けのモニターのみならず、ハイファイオーディオやカーオーディオなども手がけている。現地に揃った顔ぶれも、国や地域はもちろんその業種も実に幅広いもので、総合的なスピーカーメーカーとしての躍進を続けていることがうかがえる。今回はそのFocal のキーパーソン、CEO/Christophe Sicaud 氏に将来への展望を聞いた。

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私たちのDNA とも言えるもの

RockoN(以下R):今回はお招きいただきありがとうございました。早速ですがFocal に入る前のことなど、バックグラウンドをお聞かせいただけますか。

Christophe Sicaud(以下C):私のこれまでの仕事をシンプルに表現すると「メカニカルエンジニア」になります。ただ、音響の業界のみだったわけではなくフランス国内で様々な業界にいました。たとえばですがLigne Roset(リーン・ロゼ)というソファブランドであったり、化学繊維の会社であったり、多様な業界を見てきたことでマネジメントの手法も幅広く身に付けることができました。また、私は職人技で作られたものであったり機械としてよく設計されているものが好きで、それは車や時計だったりするのですが、Focal の製品にも90 年代前半から注目していましたよ、初めて買った車にもFocalのスピーカーを入れました。ただ、楽器を演奏したりとかは全然ないんです(笑)。もちろんたくさんの音楽を聴いてきましたし、家族はみんな楽器ができるんですけど、私はただもっと機械的な部分に興味が湧くんですよね。

R:ほかの業界経験も豊富なんですね、CEO としてFocal へ入った後にその経験は活きましたか。

C:そうですね、高い専門性を持った人材やエンジニアによって、そのクオリティをユーザーにフィードバックできる製品を作ることがとても重要です。これはいろんな分野の会社で得られた経験に基いた私の考えです。Focal では「音楽を聴くことを愛する人のために」というフィロソフィーがあります。アーティストのプロデュースをリスペクトし、その作品が純粋にリスナーに届けられる、ライブやコンサートの現場にいるときの感動をラウドスピーカーを通じて提案する。これは私たちのDNA とも言えるもので、私たちがスピーカーを設計する際の理念として根付いています。カーオーディオ向け製品もハイファイオーディオでも、もちろんプロフェッショナル向けのモニターでも同じ魂を宿らせて世界中の人々にクオリティの高いサウンドを届ける、そう、フィードバックしていくんです。

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フランス国内ですべて完結する理由

R:Focal はここ5,6 年で大きく成長しました、特にプロオーディオの業界にいるとそう感じるんですが。

C: たしかに、工場やオフィスも各地に広がり、今ではSaintÉtienneやBourbon-Lancy、イギリスやドイツのハンブルクにもオフィスがあります。私がFocal 社に入ったころからしても、クオリティは開発チームのおかげで進歩しています。先日リリースしたTrio11はプロフェッショナルが毎日長時間使っても問題なく、Focal の製品に信頼をもたらすプロダクトになっています。

R:そうですね、R&D と生産もフランス国内の自社で行なっていているからクオリティコントロールも柔軟にできそうです。

C:やはり、フランス国内で開発から生産まで完結して、独自の技術を自社内にキープできるのは大きいです。もちろん海外で生産すればコストメリットもありますが、開発した技術はFocal チームの資産ですので、フランスで開発と生産を行うというのはそれを守る我々の方法です。

R:フランスの中でもリヨン近くのSaint-Étienne に長く拠点を置いていて地域にも根ざしていそうですよね。

C:コミュニティは深い交流を生みます。Focal はひとつのファミリーのようなもので、みんなで同じ生活感覚を共有しているようになるんです。工場に勤めるスタッフの平均年齢が42 歳なのですが、62 歳で定年となるフランスでは若い層からベテランまでいて、コミュニティとしてのバランスも取れていると言えるのではないでしょうか。SaintÉtienneでのクオリティ・オブ・ライフは高いのかもしれませんね。

R:フランス国内生産によって結果的に輸出のウェイトが増えますよね、海外に向けてのビジネスで重要なことはなんだったんでしょうか。

C:まず現地のビジネスをよく知る必要があって、それぞれの異なるニーズをちゃんと見分けてそれに応えることです。アメリカではストリーミングがすべてで、その大きなマーケットに膨大な販売量がある。日本では質を重視していて、音楽の聴き方もハイレゾであったりクオリティに重きを置いているように見られます。もうひとつ、重要な原則は「Think global, back to local.(グローバルに考えて、ローカルに還元する)」です。世界中のビジネススクールで教わることですが、ここを間違えると輸出事業は難しいものになってしまいます。

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創業40 周年を記念したイベントが開催され、世界各国のディーラーが一堂に会した。

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イベントでは生産工程の見学のほか最新モデルの試聴など幅広いカテゴリにおけるFocal のラインナップが披露された。

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サウンドクオリティを進化させ続けましょう

R:Focal はホームオーディオ・プロオーディオ・カーオーディオなどカテゴリも幅広いですが、共通したところでイマーシブオーディオはひとつのキーワードになってきますよね。

C:このマーケットについては発展していて、ユーザーのためにいくつかのアイディア実現したいと考えています。今はある一人ではなく、すべてのユーザーにとって最も良い3D サウンドとはどのようなものかベストポイントを探しているといったところでしょうか、もちろんたくさんのスピーカーに包まれるわけですからその部屋の音響環境も大切ですし。New York の近くのPrinceton にいるチームが3D サウンドを研究しているんですが、今年はハイエンドのAV プロセッサーを発表できそうですので期待していてください。あとは、壁の中に埋め込むインウォールシリーズですね。ホームシアターのマーケットも大きくなってきていて、Focal の中でも成長分野になっています。

R:そうですね、再生される環境も重要ですよね。その点ではDSPや音場補正を取り入れていくこともあるのでしょうか。

C:カーオーディオの分野では車の構造も複雑ですからDSP が応用されています。ただ、いまプロフェッショナル向けのFocal のスピーカーにDSP は必要ありません。再生環境が管理されている制作現場では、DSP で補正しても場合によっては結果が得られないかもしれませんし、音楽を本質的に作り直してしまうのは良い判断と思えません。もし、スピーカーのクオリティがとても低いものだったとすれば別ですけど(笑)。それよりは良いスピーカーのために新しい素材を探したほうがいいですよ。

R:新しい技術でいえば、5G やワイヤレスなども挙げられますね。

C:ご存知の通り、スピーカーのLR の間には最大2ms の時間差が出てきます。デバイスにこのようなクオリティのものが出てきたらサウンドを制御することも難しくなってしまいますので、Bluetooth、Wifi、5G はまだ新しいテクノロジーなのでなんとも言えませんが、研究は行なっていますよ。

R:最後にFocal は今年で40 周年ですが、これからの40 年について教えてください。

C:少しでも多くの人にFocal を知っていただきたいですね、そのために年齢の若い層にもユーザーを広げていきたいです。アメリカやヨーロッパではよりシンプルなものが求められています。Naim Audio の製品が持つようなストリーミングのプラットフォームと関係なくひとつのシステムでリスニングシステムが完結するもの、そこにFocal の音響設計を加えて最善の形を提案していきたいですね。そして、サウンドのクオリティを進化させ続けましょう、これが私からのメッセージです。

経営者としてマネジメントも求められるCEOとしての視点は、製品を開発するストーリーだけではなくビジネスとしての成長も見据えた幅広いものだった。ただし、その裏にはメカニカルエンジニアの素地で培われた技術的な見識が活かされている。マーケットとともにテクノロジーを捉え、それを実現しユーザーにクオリティをフィードバックする。インタビュー冒頭にもあったその言葉がFocal の次の40 年を創っていくだろう。

※この記事の内容は2019年に行われたインタビューで、Proceed Magazine 2019-2020 NO.21号に掲載されたインタビューより抜粋しました。

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