現代のサウンドメイキングにマッチする NEUMANNのKHスタジオモニター
個性的で可変自在、数々の名作を生み出した401スタジオを擁し、アーティストやクライアントの欲求を完全具現化できるリソースを完備するビクタースタジオ。NEUMANNのスタジオモニター KH 310とKH 80 DSPをビクタースタジオのエンジニアである 安田博城 氏、 渡辺洋介 氏、 渡辺佳志 氏にお使い頂いています。その導入の理由、そしてNEUMANNを選んだ背景となる現代のサウンドメイキングにおいて重要とされることについて、お話を伺うことができました。
自宅環境に最適なKH 80 DSPと音場補正の重要性
ゼンハイザージャパン
本日はお時間を頂きありがとうございます。まずKHスタジオモニターKH 310とKH 80 DSPについて、使ってみての印象や、導入の理由、用途についてお聞かせ下さい。
安田
みんなで最初に試聴会をしまして、とても良かったのでKH 80 DSPはそのまま自宅に持ち帰って自宅で毎日使っています。ボリュームはすごく出るんですけど、スタジオのコンソールに置いて使うとなると若干物足りない。でも自宅ではサイズ的にもサウンド的にもぴったりだったので、使い始めました。
佳志
あのサイズであのボリューム感、特に低音が出るのにはかなりびっくりしました。しかも無理やり出しているのではなくて、ナチュラルにローが出ているのがすごい。このサイズでこのクリアさ、このローエンドはどうやって作ったんだろうとさえ思ってしまいました。衝撃的でした。
若手のアレンジャーさんが家で作業するのにはいいと思います。今の時代はプロデューサーさんがローエンドを求めることも多いので。
安田
派手さはないけど作業ができる。音もクリアです。家だとそこまで鳴らせないんですけど、NS-10Mみたいな感じでしっかり聞き分けられるスピーカーです。他のモニターだとドンシャリで下も上も聞こえるんだけど中域がわからないことが多いんですがKH 80 DSPはそういう感じじゃなくて、中域がちゃんと聞こえるのでストレスが無いです。KH 80 DSPで作ってスタジオに持ってくれば綺麗なバランスで鳴る印象があります。
ゼンハイザージャパン
KH 80 DSPはアレンジャーさんなどに使っていただけそうなことがわかってきました。KH 310についてはいいかがでしょうか。
佳志
KH 310はKH 80 DSPだとちょっと苦手かもしれない生音とか、オーケストラっぽいものにはフラットに聞こえるし、すごくいいと思います。楽器の細部と空気感みたいなものはあるなって思いました。KH 310はマイクでいうとU 67に似ている感じがしますね。
安田
ロックとか打ち込みよりも、クラシックとかジャズのジャンルがやりやすそうな気がします。素のままどーんと来るスピーカーですよね。低音をサブウーファーに任せたら良い感じになるのかな。
佳志
ジャズとかのウッドベースとかのローだとタイトに処理する必要もないのでいいかもしれないね。
ゼンハイザージャパン
KH 310だけはエンクロージャーが密閉型になっていることもあって、シリーズ内でもちょっと違うスピーカーになっています。放送局さんやMAさんでは評判が良いスピーカーです。
ちなみにKH 80 DSPをご自宅でお使いになる時は背面パネルでのEQ調整はされていますか?コンソールなど反射するものがある環境でお使いの時はスイッチで調整していただくようになっています。
安田
一通りの調整で聴いてはみましたが、置いただけで良い感じだったのであまり調整する必要性は感じませんでした。そういえばDSPで補正もできると聞いてたんですが。
ゼンハイザージャパン
KH 80 DSPとサブウーファーではできます。やはり補正できるというのは重要なのでしょうか。
安田
最近は音場補正でsonarworksを使うことが多いんですが、プラグインなのでDAWを立ち上げておく必要があるんですよ。スピーカー単体で補正できるというのはすごくいいですね。
洋介
補正は重要です。僕はsonarworks以外にも組み合わせて使って試行錯誤しています。レコーディングの時はGenelec SAMシステムだけで、ミックスの時は両方使ったり、片方だけ使ったり。色々なスタジオに行くので、どこに行っても同じ音で聞けるというのは助かります。しかもスピーカーだけで補正できるというのはレコーディング中もずっと使えるということになりますよね。
安田
スピーカー自体でやってくれると誰にも迷惑がかからず恩恵を受けられますよね。使わないという選択肢ももちろんありますし。
ゼンハイザージャパン
補正も重要ですが、色々な環境で使うことがある現代においては置き場所の影響も大きそうですね。どんな環境に置いてもあまり影響を受けないで、同じ音になることはエンジニアにとってはやはり嬉しいものなんですね。
佳志
最近のスピーカーはマニュアルにもすごくシビアに置き位置のことが書いてあるよね。でも部屋の環境が良くないこともあるし、いい音にならないとテンションも上がらないし。
安田
あまりに置き場所の影響を受けすぎると、何か正しいのかよくわからなくなりますよね。ポンと置いていい音で鳴ってくれたらストレスは無いです。置き場所を調整しようと思ってもコンソールの裏に入れないようなスタジオもあったりします。そのような環境で壁から何cmとかシビアな置き位置を指定されても大変というか。
佳志
あとは最近コンソールの無い、PCだけっていう環境でミックスすることの方が多いんです。そうなると、コンソールがないとこんなにローが出てるのか とか、環境ですごく左右されてしまいます。
ゼンハイザージャパン
なるほど、色々な環境において同じ音で聞けるというのはかなり武器になりそうですね。
音量を上げずにローエンドを見ることができるサブウーファーの有用性
佳志
ローエンドに関してはサブウーファーを使ってる人も増えたよね。僕は使ってないんですけど、GENELEC勢は使っている人が多いかな。
ゼンハイザージャパン
サブウーファーの用途、導入の目的とはどんなことなのでしょうか。
佳志
部屋の大きさで低音の出方って変わるじゃないですか。ボリュームが小さいと低音は出なくなるし。でも狭い部屋で作業しなきゃいけないってなると、サブウーファーが必要になってきます。狭い部屋で音量が出せないけど低音がちゃんと聞きたいってなると、サブウーファーはいい選択肢だと思います。
安田
低音を感じたくてボリュームをかなり上げる時も、サブウーファーが低音を担ってくれると音量もそんなに上げずに作業できて、内容が聴き取りやすいです。サラウンドのMIXにはサブウーファーを必ず使うんですが、低音がドーンってあるとやっぱり気持ちいいなって思います。
ゼンハイザージャパン
サブウーファーの要不要というのは、みなさんが作っている音楽のジャンルの影響を受けているのでしょうか。
佳志
ジャンルの影響はあまり受けていないと思います。僕の場合はATCの結構大きいスピーカーを使っているので、低音も結構出るんです。なので、僕はジャンルを問わずなくてもいいかなって思っています。
洋介
どんなジャンルでもローエンドはちゃんと聞きたいですよね。
安田
ゲームとか映画とかライブ関係だと低音はあったほうが臨場感あっていいです。
佳志
やっぱり下は感じたいよね。
ゼンハイザージャパン
KH 80 DSPの用途やサブウーファーの有用性はよく理解できました、ありがとうございます。価格についてはどう思われますか。プロの方には安いと言ってもらえるんですが。
佳志
普段接しているプロデューサーさんとかだとペアで15万はそんなに高いって言われないんじゃないかなと。NEUMANNだし、妥当な値段だなと思います。
安田
結構頑張ってる値段だなと感じます。値段を考えるともうちょっと広まってもいいかなと思うけど。特にヘッドホン。高いといえば高いんですけど、最近の高価格帯のヘッドフォンに比べたらそんなに高くないじゃないですか(笑)。すごく造りもいいんですよ。圧倒的高級感で、お客さんに見せるとやっぱりNEUMANNだよね、ってなる。
ゼンハイザージャパン
ありがとうございます。ニーズに応えられる製品をお届け出来るよう尽力していきますので、ぜひ今後もNEUMANNのモニターシステムをご愛顧ください。
今回の対談で強く感じられたのは、「どんな環境でもローエンドを見たい」ということ。リスナーの聞き方も音楽も変化した現代において、低音処理の重要性が高まっていることを強く感じる対談となりました。
様々な環境への対応能力の重要性も然り。ラージモニターの無い環境が一般化した昨今、音場補正の重要性がさらに高まっていくことも必至と言えるでしょう。
音を知り尽くしたNEUMANNがお届けするKHスタジオモニターは、アレンジャーの楽曲制作や自宅でのミキシングに最適なソリューションとなります。ぜひご自宅の制作環境でご活用下さい。
記事内に掲載されている価格は 2021年3月2日 時点での価格となります。
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