新型コロナウイルスの状況下、国内のライブハウスがその営業危機に直面しているのはご存知だと思いますが、「配信/無観客ライブ」といった形態でこの状況を乗り越え、新たなライブのあり方を見出そうとしています。Rock oN渋谷の店舗からも近いライブハウスの老舗、エッグマンもその1つ。ライブ配信サービススタートまでについて、今回、株式会社エッグマンのみなさんにお話をお伺いすることができました。今回、配信機材の中核として採用されたのがBlackmagic Designプロダクト。「これから配信を始めてみたい」と思っているアーティストも多くいると思いますので、ぜひ、ご一読ください!
(この取材は、2020.5.28 オンラインにて実施しました)
エッグマン様 取材協力
レーベル 志賀 正二郎氏
レーベル 武田麻衣子氏
レーベル 近江徳人氏
レーベル 瀧口和志氏
ライブハウス 木村敬介氏
配信サービススタートの経緯
Rock oN : ライブ配信サービススタートまでの経緯を教えてください。
エッグマン 志賀氏 : 元々は今年3月18日に新木場スタジオコーストにてレーベルナイトを行うはずだったのですが、この新型コロナウイルスの状況を見まして、実施は不可能ということになり、「何か出来ることはないか?」ということをスタッフ間で検討しまして、ライブ配信を行うことに決めました。
いわゆる無観客ライブですね。当然ですが、アーティスト、スタッフ共に密にならないように細心の注意を払い、かつ十分な換気が行える配信スペースを社内オフィスに構築しました。配信時の演奏は基本的にアコースティックメインですが、スペース自体は防音の設備があるわけではないため、音量には気を付けて実施しています。今後は、できればエッグマンのライブハウスでも、通常通り、大きな音で配信を行いたいと思っています。
Rock oN : 視聴者からのレスポンスはどうですか?
エッグマン 志賀氏 : 視聴者からのレスポンスはチャットを通してフィードバックされるので、配信中は常に複数のスタッフでチェックしながら、投げられた質問などに対しても答えていくかたちで進行しました。SUPER BEAVER ( http://super-beaver.com/ ) の渋谷が出演した部分では、同時接続数が7,000人ほどあり、チャットの雰囲気も非常に良く、多くのリスナーが反応してくれた、いい配信になりました。 SNSで事前に質問を受付ていたのも、進行がスムーズにいった要因だったと思います。
Rock oN : 7,000人はすごいですね! 音響面はいかがでしたか?
エッグマン 志賀氏 : ライブハウス(エッグマン)でPAをやっている木村が、ライブ配信でも担当したので音は非常によく、アーティストからも良かったと言ってもらいました。今回、配信を始めるにあたり、クオリティの高い映像で実施できた要因にBlackmagic Designさんのカメラ、スイッチャーを導入したことがあると思います。正直、スタッフのほとんどがカメラに関しては素人だったんですが、Blackmagic Design Japanさんの方にもお手伝いいただき、現場に合った調整・設定をきっちりと仕上げたことが大きかったですね。実際、かなりDIY的な感じでスタートさせたんですが、「ライブ配信したい」というアーティストの声に応えられるよう、社内部署の垣根を超えて協力し、テストを繰り返し行いました。現在も、さらによくなる試行錯誤を行なっているところです。
システム構成 : サウンド
Rock oN : では、システム構成について教えていただけますか?
エッグマン 木村氏 : アコースティック編成ですので、アコギによる弾き語りが多いですが、キーボードやパーカッションが加わることもあります。それぞれにマイクをたて、ミキサーに立ち上げバランスをとるのは、日頃のライブハウスでの業務と同じです。演奏者への音の返しは、演奏者の後ろに立てたバナーの裏にスピーカーを置いて対応しました。返しの音量、バランスも普段のライブハウスと同じ感じで設定しています。
Rock oN : 音響面については、普段、ライブハウスで行われているクオリティーがそのまま配信にも活かされているということですね。これは、エッグマンさんの配信にとって大きなアドバンテージですね。音圧的な部分はどう処理されましたか?
エッグマン 木村氏 : 全体の音圧に関しては悩んだ部分でした。ミキサーに搭載されているコンプを使って音圧コントロールを行なったんですが、通常のライブではあまりかけないようなコンプの使い方をしています。配信本番中は、演奏される音のレベルを注視しながら、常に、レベルとの戦いを行なっていた感じです。
システム構成 : 映像
エッグマン 武田氏 : 正直、配信に関しては、iPhoneを使って簡易的なものを行っていた程度で、知識はありませんでした。今回、ライブ配信を行うにあたって、映像系はBlackmagic DesignのPocket Cinema Camera4K 3台とスイッチャーのATEM Miniを採用したのですが、幸いなことにBlackmagic Design Japanの方にセットアップを手伝っていただいたんです。初めは、扱い方がチンプンカンプンだったんですが(笑)、セットアップしたその日には、概ね、自分たちで使えるようになっていました。そういった導入のしやすさも、Blackmagic Designの魅力ですね。
Rock oN : 映像初心者ですと、スイッチングがなかなか難しそうに感じますよね?
エッグマン 近江氏 : スイッチングは私が担当したんですが、ATEM Miniはボタンの配置など、直感的に使える作りで非常にわかりやすかったです。最初は、右も左もわからない状況でしたが、ボタン1つで対応でき、わかりやすいインターフェースだと感じました。私の普段の業務は、アーティスト・マネージメントなので、技術的な部分に関してはあまり知識がなかったんですが、仕事柄、日頃から アーティストのLIVE映像などはよく見てるので、スイッチングやパンニングについては、感覚的にですが分かっていたのかもしれません。特に所属アーティストであれば、楽曲も把握してますので、 本番中は撮影を担当した瀧口とアイコンタクトを取りながら、いいカットを狙ってスイッチングでき、楽しみながら行うことができました。
Rock oN : エッグマンさんのライブ配信スタートにとって、Blackmagic Design製品の導入が大きな役割を演じたようですね?
エッグマン 武田氏 : そうですね。導入のしやすさのみならず、高いクオリティで配信を行うことができたのは私たちにとって、とても助かりました。ライブ配信を録画し、後日、編集を施して公開したんですが、Pocket Cinema Camera4Kの映像クオリティーが非常によく、こちらにも役立っています。
エッグマン 志賀氏 : ATEM Miniにはマルチビュー機能が付いていないのですが、個々のカメラの画を確認することができるATEM Mini PROの導入を検討し、さらにクオリティを上げようと思っています。
オフィシャルHP
Shibuya eggman
http://eggman.jp/
(株)エッグマン/murffin discs
http://murffindiscs.com/
Blackmagic Design
https://www.blackmagicdesign.com/jp
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記事内に掲載されている価格は 2020年7月22日 時点での価格となります。
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