マイクプリ NEUMANN V 402 ~サウンドエンジニア 速水直樹によるファーストインプレッション~
速水 直樹
サウンドエンジニア
バズーカスタジオの前身であるスタジオ450でエンジニアとしての基礎を学び、フリーランスを経て、湾岸音響に参加。同スタジオが2012年に閉鎖して以降は再びフリーランスとなる。the band apart、たをやめオルケスタ、Sunaga t Experienceなど、ジャズやレゲエ、奄美島唄から河内音頭まで幅広いジャンルを手掛けている。
twitter:https://twitter.com/naoki_hayami
NEUMANN V 402
V 402 : デュアル・チャンネル・マイク・プリアンプ
DI入力と高級ヘッドホンアンプを搭載した最先端のマイクプリアンプ
- すべてのノイマンマイクを完璧に補完する最先端デュアル・チャンネル・トランスレス・マイクプリアンプ
- 非常に高いインピーダンスを持つ2つのスタジオ品質のインストゥルメント入力
- 切替可能なローカットにより、信号を劣化させることなくランブルを除去
- 極めてクリーンなスタジオ品質のヘッドフォンアンプ
- 各チャンネルの音量調整が可能なイージー・モニタリング・ミックス
- ドイツでのハンドメイド生産
マイクロフォンの真の性能を引き出す
V 402は、スタジオグレードのヘッドフォンアンプを内蔵した最先端のデュアルチャンネルマイクプリアンプです。トランスレス回路は、最大の透明度と音の純度を目指して設計されています。このようにV 402は、声や楽器の真の個性を引き出すために、すべてのノイマン・マイクを完璧に補完します。
パーフェクトマッチ
V 402はノイマン初のスタンドアロン型マイクヘッドアンプです。ノイマンは1980年代の伝説的なV 476 Bのように、ミキシングコンソール用の最高品質のプリアンプモジュールを何世代にもわたって開発してきました。その間、技術は進化してきましたが根本的な問題は残ったままでした。ノイマンをはじめとする高品質なスタジオマイクに最適なプリアンプは何か?ノイマンのマイクはすべて、クラシックなものから現行モデルまで、非常にユニークなサウンド特性を持っています。そのため、V 402プリアンプはマイクの音像の完全性を維持するように設計されています。どのようなゲイン設定であっても、何かを足したり引いたりといったことはいたしません。完璧にすることもできません。
ナチュラル・スプレンダー
V 402は、最高度のリニアリティと音の純度を目指して設計されています。マイク信号を不要な色付けやノイズや歪みなどの音のアーチファクトなしに増幅します。最近では、安価なプリアンプでさえも「リニア」や「ニュートラル」を謳っていますが、それらのプリアンプは繊細さや音のディテールを欠いていることが多く、特に高いゲイン設定では出力信号に「鈍さ」や「不純さ」が見えてしまいます。Neumannの名にふさわしいプリアンプを開発するためには、広範囲にわたる一連の測定とクリティカルなリスニングテストを経て、入念な開発プロセスが必要でした。V 402は、元の信号を細部まで再現し、本来の色を輝かせています。
DI入力も音の純度を高めるために設計されており、エレキギターやベースギターをはじめ、他の楽器のサウンドを色付けやディテールの損失なく捉えます。洗練された回路と非常に高い入力インピーダンスにより、可聴ノイズのない鮮やかなサウンドを実現しています。
切り替え可能な20 dBパッドにより、V 402は28 dBuまでのハイレベル・ソースにも歪みなく使用することができます。ハイパス機能は、信号を劣化させることなくポップやランブルを除去するように慎重に設計されています。
モニタリングを容易にするため、V 402にはスタジオグレードのヘッドフォンアンプが搭載されています。録音段階での優れたモニタリング品質を実現します。各チャンネルの独立したボリューム・コントロールにより、録音された信号に影響を与えることなく、レイテンシーのないモニタリング・ミックスを設定することができます。
速水さん考える「レコーディング時におけるマイクプリアンプの重要性」について教えてください。
速水直樹氏 (以下 敬称略):どんなに高性能なマイクでも、その性能を発揮するにはプリアンプが必要です。そのプリが貧弱なパフォーマンスしかできなければ、まともな収録はできません。マイクでピックアップした音を、イメージに限りなく近ずけるための重要なツールです。昨今多くなったコンソールレスなスタジオ環境ではイコライザーが不足していることが多く、マイクの種類、マイキング、ヘッドアンプで欲しい音を決めなければなりません。そうした中、ヘッドアンプのキャラクターは音を決定づける大切なポイントだと思います。
速水さんがマイクプリアンプに求める条件を教えて下さい。
速水:マイクで拾った情報量を如何に多く記録できるか。原音に忠実な再生ができているか、あるいはイメージに近い音色になっているか。また、ファンタム電源がきちんと作られているかというのも気になります。ハイパスフィルターやフェイズ切り替えの機能などもあって欲しい。
普段はどんなマイクプリアンプ製品をお使いですか? それらの使用用途、選択理由を教えてください。
速水:Vintech x73 :
全般的に使いますが、そもそもの明るい音色に足してEQできるので特にドラム周りによく使います。
Chandler TG2 :
ほどよく倍音がつくのか厚みと抜けが出るので、センター定位したいメインパート、ヴォーカルやギターソロに。
AEA RPQ :
AEAがリボンマイク用に開発したものですが、他のマイクにも好んで使います、トランスレスらしいクリアさが気に入っています。ハイファイを意識したいときに選びます。
Neumann V 402をお使いいただいた印象をお聞かせください。
速水:一言、「リアル!」音源とマイクの距離感や、どんな部屋で録音したかすら伝わってくるような解像度の高さがあるとおもいました。仕上がったサウンドは、まるで目の前で楽器が鳴っているような生々しさを伝えてくれます。ハイパスの60Hzというのも、今まであまり目にしたことのないポイントですが実に丁度いい。キーボードでステレオDIとしても使ってみましたが、全く問題なくとても便利。
Neumann V 402はどのような用途(レコーディングソース)に効果を発揮しそうでしょうか?
速水:雑味のないクリアなサウンドは、数多のアコーステイックに向くと思います。
小さな音にも存在感があるので、ステレオ・ワンポイントでの収録などにもってこいなのではないでしょうか(ヘッドフォンでのチェックもできますし)。
今回はバウンダリーマイクによるピアノ収録や、ギターの弾き語りなどで使ってみましたがどれも好印象でした。
Neumann V 402と相性がいいマイクはありますか?
速水:自社マイクの性能を遺憾なく云々と能書きにあった通り、ノイマン製品は間違い無いようです(笑)
残念ながらV 402をチェックしたスタジオにはU 87 Aiしかなかったので他の検証ができませんでしたが、確かに良かった。
よくU 87でヴォーカル録音などしていると、時折中低域に重たさを感じることがあったのですが、V 402とではそういった感触は気づきませんでした。
Neumann V 402をどんなユーザーにお勧めしますか?
速水:クリアな質感を求めている方。x73のような明るさや、TGのような太さ、トランスの出すいい意味での訛りではなく、純粋なサウンドを求めている向きには満足できるのではないでしょうか。