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自宅レコーディングや音楽制作の機材選びにお悩みの方へ向けて、Rock oNスタッフがホームレコーディングに必要な機材をご紹介する
Let’sホームレコーディング!
ホームレコーディングにスピーカーは必要不可欠ですが、深夜の作業では周囲の迷惑を気にして音を出せないという方も多いと思いますので
第3回はプロが選ぶヘッドフォン編!音楽制作の現場で定番となっているモデルやアーティスト向け、究極のヘッドフォンをご紹介します。ヘッドフォンの種類や音の傾向を踏まえて、ご自分に合ったモデルを見つけて下さい!
ヘッドフォンはスピーカーと同様に、音を出すドライバーユニット(ウーハーやツイーター)と、エンクロージャー(本体)に相当するハウジングから構成されています。ドライバーユニットはマイクと同様にダイナミック型とコンデンサー型があり、エンクロージャーには密閉型(クローズド型)と開放型(オープンエアー型)があります。中間のセミオープン型もあるのですが、一番多く採用されている組み合わせは、ダイナミック+密閉型、もしくはダイナミック+開放型 の2種類です。それでは2つの特徴を見ていきましょう。
密閉型と開放型の違いを見て行くと、用途によって向き・不向きのある事が分かります。上記の基礎知識をふまえて自分の用途に合ったヘッドフォンの選び方をご紹介します。
高性能なヘッドフォンの特徴
・周波数の高低→周波数レンジが広い
・音の大小→ダイナミックレンジが広い
・フラットな周波数特性で音に色付けがない
・音源の定位がはっきり分かる
・解像度が高く、各楽器の音が聞き分けられる
・空間の広がりや奥行きが分かる
・長時間使っていても耳が疲れない
・本体重量が軽く、頭が疲れない
などありますが、高性能であっても重量が重く高価で気軽に使えなかったり、安価で性能の低いモデルはミックスで役に立たなかったり、、、。用途や自分の志向、予算と性能のバランスをどう取るかが重要です。
レコーディングや音楽制作に使われているヘッドフォンの中から、お勧めのモデルをご紹介します。
業界標準、SONY MDRシリーズ(密閉型)
MDR-CD900ST
数多くのレコーディングスタジオで愛用されている音楽業界のハイスタンダード MDR-CD900ST は、CBSソニー信濃町スタジオ(現:ソニー・ミュージックスタジオ)で使用することを目的として開発され、後にスタジオユースの業務用として販売されました。その後、スタジオ関係者のみならずアーティストからも絶大な信頼を得て、TV・ラジオ・雑誌などでも数多く取り上げられ、その結果、一般の方からの購入希望が殺到し、その要望に応えるべく1995年より消費者向けに販売も開始、現在に至っています。
私これまで見てきた音楽制作の現場で、その使用率は100%。低域と高域が強い「ドンシャリサウンド」などと賛否両論はありますが、レコーディングエンジニアが録音時にノイズを確認したり、ハイエンドのオーディオインターフェースやクロックジェネレーターの比較時など、高域をシビアに確認したい時にはCD900STの「耳に張り付く音」が求められます。
このモデルは事実上、業界基準となっているので持っていて全く損はありません。ヘッドフォンは何を使っているの?と聞かれたら「CD900STです」とあたり前に答えられるモデルで、外部スタジオに自分のCD900STを持ち込んだり貸し借りする際にも重宝します。それでいて非常にリーズナブルな価格。音楽制作向けヘッドフォンを初めて導入するには文句の付けようがないアイテムです。
SONY MDR-M1ST
ハイレゾの高音質環境が整うなか約4年半もの開発期間を経て2019年発売され、中域の骨太感と全体の音が俯瞰できる音像を両立。音楽で重要な中域へのフォーカスをしつつ、低音域や高音域もしっかりと聴こえます。これはレコーディング用途である CD900ST とはアプローチが違うヘッドフォンなので、CD900STユーザーは買い替えではなく買い足しとして購入するケースがほとんどです。
CD900STで仮ミックスを行っていたエンジニアは実は多く、これはCD900STの特性を耳が覚えた上でフラットなミックスを行うという職人技でした。この M1ST は、ミックス・マスタリングにも活用できるヘッドフォンとして、新たな業界標準になりつつあります。ドライバーが耳から少し離れ、振動を伝える空気層が増えた事によりスピーカーの鳴りに近づいた印象で、中域の再現性向上と高域のナチュラルさ、そして特に低域がしっかり聞こえるようになりました。3インチ以下のスピーカーで制作をするのであれば、場合によってはMDR-M1STを使用した方が正確なミックスを行えるという事もあり得る能力の高さです。
予算が許すならば、レコーディングからミックス、マスタリングまで対応できる MDR-M1ST の導入がお勧めです。スピーカーが不要という事では決してなく、最終確認はスピーカーで行うに越した事はありません。しかしホームレコーディングの良い所は、いつでも自分の好きな時間に制作出来る事なので、深夜でも早朝でも、MDR-M1STを使ってワンランク上のモニタリング環境を手に入れて下さい。
SONY MDRシリーズがオススメの理由
YAMAHAモニタースピーカーのフィロソフィーを受け継ぐスタジオヘッドホンHPH-MT8
すべての音を、見るために
どこまでも原音に忠実であること、音色や音像定位の微細な変化を厳密に再現できること。 業務用ニアフィールドモニタースピーカーの世界的なデファクトスタンダードとなったNS-10MシリーズからMSPシリーズ、HSシリーズに至るまでヤマハが一貫して譲らないスタジオモニターの設計理念をヘッドホンに凝縮しました。
スタジオモニターヘッドホンMTシリーズは、高品位で確かなモニタリングを可能とする精確な再生能力、長時間の作業でも疲労の少ない快適な装着感と作業に集中できる高い遮音性、そして過酷な現場にも耐えうる高い耐久性を実現。プロフェッショナルな音楽制作やレコーディング、ライブSRの要求に高い次元で応えます。
森﨑雅人氏 使用モデル
Rock oNセミナーなどでおなじみのマスタリングエンジニア 森﨑雅人氏 もこのヘッドホンを使用しています。以下、インタビューからの抜粋です。
「YAMAHA HPH-MT8を使用しています。このヘッドフォンは0.1dB、1Hzの違いが聴き分けられるぐらい、とても解像度が高いヘッドフォンです。密閉型でこの奥行、立体感、ローエンドの再現性は素晴らしいですね。」
インタビューはこちらの記事でご覧頂けますので、ぜひチェックしてください。
PHONON:チューニングの施されたスタジオモニター(密閉型)
国内・国外のレコーディングエンジニア、マスタリングエンジニア、アーティスト、DJから絶大な支持を受け成長して来た株式会社PHONON(フォノン)は、2009年に「音楽のイマジネーションを正確に伝えること」を使命として日本で誕生。ヘッドフォンの常識を覆す、スピーカーに近いモニタリングが可能なSNB-02は、NYのThe New York Times紙、ドイツのGroove紙など各紙面で“ヘッドフォンの聖杯”と賞賛され、フランスのクラシック雑誌Pianiste magazineでも、”音楽好き向けのヘッドフォン”に選ばれるなど、発売以来、音質で世界から評価され続けて来ました。長年のオーディオ研究で培ったノウハウとマスタリングエンジニアの耳でチューニングされ、Grammy受賞サウンドエンジニアまでもが惚れ込んだ圧倒的な再生音は、まさにチューニングの施されたスタジオモニターです。
PHONON SMB-02
皆さんはヘッドフォンを選ぶ際に、何を基準に選びますか?例えばヘッドフォンを聴き比べて自分に合ったモデルを選ぶ際、普段使っているスピーカーとの比較をしない事がほとんどだと思います。しかし、ヘッドフォン同士だけで比較を続けると「高音が強調されているモデルの方が良い音」と錯覚してしまいます。これはリスニング用途であれば問題ないのですが、ミックスやマスタリング時に高音が強調されたヘッドフォンを使用すると、そのヘッドフォン以外で再生した時にモコモコな音になってしまいます。私も最初、店頭のヘッドフォンをiPhoneにつないで次から次へと20モデル近く試聴しましたが、音の基準を失って迷子になりました。
そこでスタジオのスピーカー達と比較してみた所、ほとんどのヘッドフォンがスピーカーに比べて高域が強く出ている事に気づきました。ヘッドフォン同士の比較試聴では、PHONON SMB-02は低音が強くこもったサウンドに感じて検討リストから外していましたが、しかし改めてスピーカーとの比較を行っていくと、SMB-02が一番スピーカーのサウンドに近くて衝撃を受け即購入。その感動を PHONON代表でありマスタリングエンジニアの熊野さんに伝えると、製品にかける熱い想いを教えて頂き、やはり目指したのはスピーカーの再現との事でした。
PHONON Kurumi
響き/空間を感じるなめらかなサウンド kurumiは、ハウジングにウォールナット材を使用。天然素材による心地良い自然な響きにより、音楽鑑賞からプロのモニタリングまで幅広く使えるPHONONの最新ヘッドフォンです。SMB-02との比較試聴記事をご覧ください。
SMB-02 と kurumi 比較記事はこちらPHONON SMB-02がオススメの理由
Focalの専門的技術が凝縮したヘッドフォン(開放型)(密閉型)
最高のモニター・スピーカーに匹敵するリスニング体験 Focal Clear Professional(開放型)
フランスを拠点とするFocalが2年という年月を経て送り出した Clear Professional。このオーバーイヤー型ヘッドフォンは、Focalの並外れた進化を見せるスピーカー製品と同様の技術を取り込み、まるで『ヘッドフォンが消えてしまう』と感じるほど、非常にオープンな設計構造を目指しています。Clear Professionalヘッドフォンの快適性は、かけていてもその存在を忘れてしまうほど。開放型の弱点である低音の弱さもクリアーされており、最高のモニター・スピーカーに匹敵するリスニング体験を提供してくれる究極のヘッドフォンです。
レコーディング&ミキシングエンジニアの ニラジ カジャンチさん(https://twitter.com/NKSOUNDTOKYO)も愛用している、そのお値段19万円!! ヘッドフォンで最高のリファレンス環境を手に入れたいという方には、迷わずこれをお勧めします。音楽プロデューサー保本真吾さんも、完璧なモニター環境が叶ったとインタビューで語られています。このインタビューは次にご紹介する Listen Professional についても参考になりますのでぜひご覧ください。
Listen Professional(密閉型)
ヘッドフォンが消える、音楽だけを聴く
Listen Professionalは、Focalの専門的技術が凝縮したヘッドフォンです。フランスにおいて6年以上にわたり開発・設計を行ってきたハイパフォーマンス・トランスデューサーの知識と技術が、ヘッドフォンという新たな専門分野へと注がれています。独自のコーン技術により、高い透明度と優れたダイナミクス、精緻かつニュートラルなサウンドには色付けがありません。低品質のヘッドフォンでは中域が強調されたり、位相が不自然だったり、音場が狭くなったりと、ヘッドフォンで聞く独特の音がします。ヘッドフォンの存在感を消し去る事をゴールに見据えたListen Professionalでは、自分が聞いている音に対する信頼感から音源に対するジャッジに迷いがなくなります。
audio-technica初のプロ用リファレンスモデル ATH-R70x (開放型)
装着感No.1 長時間作業でも全く疲れないヘッドフォン
40年来のヘッドフォン技術に基づく新設計ドライバーと最適化された音響回路により全音域を正確に再現する開放型モデル。3D方式ウイングサポートで、頭頂部には全く不可がかからず頭にヘッドフォンがそっと乗る感覚で、一晩中の制作でも全く疲れません。開放感のあるナチュラルなサウンドで、低音が少し弱いですがオーケストラや生楽器を扱うのには最高です。耳の疲労感も少なく、作曲用やリスニング用にもお勧めです。
交換用イヤーパッド
SONY MDR-CD900ST用
レザー仕様の交換用イヤーパッド
SONY MDR-CD900ST用
レザー仕様の交換用イヤーパッド(青赤色つき)
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記事内に掲載されている価格は 2020年4月17日 時点での価格となります。
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